テナーサックス奏者の片山広明さんが亡くなられました。片山さんといえば、RCサクセションで、忌野清志郎さんの左後方で「ブヒブヒ」と、ぶっとい音を響かせていたのが印象的でした。そして渋さ知らズでも大活躍されていました。
わたしは面識があるといったほど、知り合いであったわけではないのですが、もう20年くらい前、風煉ダンスという劇団が横浜の空き地で行なった野外劇に参加したことがあり、そこで舞台装置を作ったり、裏方したり、出演したり、さらには公演中に怪我をして救急車で運ばれたりと、思い出深い出来事がたくさんあったのですが、このときの劇バンが渋さ知らズだったのです。もちろん片山さんも、約1カ月間、毎日演奏しに、横浜まで来てくださっていました。
というか、そこに参加することに至った経緯をすれば、わたしが渋さ知らズのファンで、自らやっている間抜けなパフォーマンス集団、鉄割アルバトロスケットに、渋さ知らズの皆様を招待したくて、招待チケットを大量に送ってみたら、ダンドリストでリーダーの不破大輔さんがやって来てくれまして、そんなこんなで、横浜の空き地で行なう野外劇に参加することになったのです。
とにかく当時の渋さ知らズのメンバー、いまにして思うと凄かった、ROVOの勝井祐二さんとか、芳垣安洋さんもいました。泉邦広さんもいた。でもって、そこには片山さんもいたわけなのです。
しかし当時は、おそれ多くて片山さんには、あまり近づけなかった。でも、公演が終わって、お酒を、ニコニコしながら飲んでいる姿が、とんでもなく素敵だったのを覚えています。
そこで今回紹介したいのは、当時の渋さ知らズの雰囲気が知れ、11人の精鋭たちが録音をした『BE COOL』というアルバムです。とにかく演奏がとんでもなく格好いい。ツワモノたちの個性のぶつかり合いみたいな演奏で、もちろん片山さんも参加しています。
また、アルバム・ジャケットの裏、それぞれのミュージシャンの頭の後ろ姿が撮影された写真が、えらく格好良かったのも覚えています。
それにしてもこのアルバム、いま見たら、1998年の録音で、もう一昔前なのです。なんというか、時が経つのは早い。とにかく片山さんを偲びつつ、ゆっくり、その激しい演奏を今晩は聴きたいと思います。
あとあと! 片山広明カルテットの「ハレルヤ」の演奏も、涙がちょちょぎれるくらい最高なので、ぜひ聴いてみてください。