もう夏ですね。夏になると聴きたくなる音楽といえば、日本だとチューブとかでしょうか。「ストップ ザ シーズン イン ザ サン」とくれば、ああ夏が来たのかと思ったこともありました。でも、ちょっと古いでしょうか。
わたしは、チューブを、自ら意識して聴いたことがありませんけれど、一大旋風を巻き起こしたわけですから、脳のどこかにチューブは確実に刻み込まれているのです。というか、夏が来たので聴きたくなるというより、聴いてしまうと無理矢理、夏を意識させられてしまうのかもしれません。
学生時代、チューブのことを大好きな同級生がいました。彼は冬でも夏を意識しているような格好をしたり、すぐにタンクトップになったりと、俺は夏男だということを、やたら主張していて、いろいろと大変そうでした。
他には、夏といえば、サザンオールスターズという人もいました。自分はひねくれ者だったので、国民的バンドであるサザンオールスターズもあんまり聴いたことがなかったのですが、あるとき、広島から出てきた同級生のアパートに行って、酒を飲みながら、サザンオールスターズのデビュー作、『熱い胸さわぎ』を聴かされて、ビックリしたのでした。
それまでサザンオールスターズといえば、「いとしのエリー」とか「真夏の果実」とか、皆がやたらカラオケで唄う歌ばかりだと思っていたけれど、『熱い胸さわぎ』に入っていた曲は、もう、なんだか、歌詞はメチャクチャだし、変な歌がたくさんあって、とても楽しかったのです。「いま何時? そうねだいたいね」とか「女呼んで揉んで抱いていい気持ち」とか、それまでに聴いたことがあるものもあったけれど、改めて聴くと、凄いなと驚いたのです。さらに、そのようなメチャクチャな歌詞がリズムにバシッとのっていて最高なのです。これがサザンオールスターズの醍醐味なのか、なんて、遅ればせながら、ひとり悦にいったりしてしまいました。以来、もう何十年も『熱い胸さわぎ』は、聴きつづけております。
とにかく好きな曲は、「いとしのフィート」です。いとしでも「エリー」じゃないです。エリーのよりも、なんてったってフィートです。とにかくこの曲、もう、出だしの歌詞から、もう最高、「ラーメンラーメン昨日はラーメンも食えないで、朝から晩まで、ひとりで樽酒を飲む」こんな格好つけてない歌詞が、格好良いリズムにのって、格好良くなるものなのかと、聴くたびに惚れ惚れしてます。
それ以降、ほんとうに、よく聴いてます。サザンの新曲とかまったく興味なくて、申し訳ないと思うくらい、これしか聴いてないし、サザンのアルバムは、これしか持っていません。
そして夏になると、必ず『熱い胸さわぎ』を聴きます。ちなみに「いとしのフィート」は、正月の歌なんだけど、夏なのに、正月で、構わねぇやと思わせるのが、『熱い胸さわぎ』のすごいところ、とにかく楽しい名曲ばかりなのです。「サザン、ふーん、国民的バンドね」なんて、斜に構えている人がいたら、この一枚目を是非聴いてみてください。