「ローリン&タンブリン(Rollin' & Tumblin')」という曲があります。ブルースの名曲で、グルグル盛り上がっていくような、高揚感のあふれていく曲です。歌詞の内容は、ものすごくいい加減に説明すると、「のたうちまわってギャーギャーギャー」みたいな感じです。
この曲は、いろんな人がやっています。一番有名なのは、クリームのかもしれません。でも、マディ・ウォーターズもやってます、というかマディ・ウォーターズに憧れて、クリームがやったのか。とにかく、格好いい曲で、どんな人がやっても良い感じがするのだけれども、個人としては、クリームのは、そんな好きではありません。それよりも憂歌団の「Rollin' & Tumblin'」が格好いいです。あと、リトル・ウォルターのも良くて、ハーモニカを吹いてない時は、「あーあー、うーうー、わうわう」唄っているだけで、これも良いのです。ほかに、ボブ・ディランも『Modern Times』で「Rollin' & Tumblin'」をやっていますが、なんだか普通です。エルモア・ジェイムスの「Rollin' & Tumblin'」も格好いいです。最初、ドラムのシンバルが「チャカンチャカン」と乱暴に鳴っている感じとか最高、唄い方も、「アッ、ローッリエンダ、タンブラーン!」とコブシがまわっている感じなのも最高です。
それでもって、自分が好きなのは、R.L.バーンサイドの「Rollin' & Tumblin'」で、この人、いろんなアルバムで「Rollin' & Tumblin'」をやっているのですが、『Mississippi Hill Country Blues』のアルバムでは、なんだか若々しくて、『First Recordings』というアルバムでは、悪魔に取り憑かれたような感じで唄っていて、自分はこれが一番好きです。また『Burnside On Burnside』では、ドシっとしたドラムにのせて、大人な感じ、んでもって『Mr. Wizard』というアルバムでは、凶暴な感じの「Rollin' & Tumblin'」をやってます。この凶暴な感じも好きなのですが、これよりも凄いのがあります。
そこで、今回は一番凶暴な「Rollin' & Tumblin'」を紹介したいのです。日本人で、ドイツ在住のKyokaさんの『Is (Is Superpowered)』というアルバムに入ってる「Rollin' & Tumblin'」です。これまで紹介したものは、ブルースを基調としてましたが、Kyokaさんのは電子音楽で、毛色が違い、インストゥルメンタルなのですが、低音が響いて、まさしく「のたうちまわってギャーギャーギャー」の「Rollin' & Tumblin'」なのです。
とにかく、これまで「Rollin' & Tumblin'」を演奏してきた人たちが、亡霊で、あっちこっちに浮かび上がってきそうな、Kyokaさんの「Rollin' & Tumblin'」、是非、大音量で聴いてください。また、Kyokaさんは、新しいアルバムを最近出したみたいなので、これも聴いてみたいです。