よく頼まれて若手のドラマーを見るのだが、前回書いたリズムの4種類を叩き分けられる人はほぼ皆無で、ゴーストが入るとさらに悲惨なことになる。と言うかゴーストの位置が混乱しまくっているので、ビートの種類も叩き分けられないのである。
たいていのドラマーはゴーストをやたら「タメ」てしまう。ゴーストを「タメ」てしまうと次に来るキックも遅れてしまう。こうなると拍もビートもありゃしない。なんだかジタバタしているだけ。一緒にやる周囲もお客さんも災難である。
16ビートでシングルノートのゴーストを入れるならハットとスネアで軽く「チタチタチタチタ」と16を叩く、その左手の叩く位置が16裏だから、ゴーストもそこに入れればノリは壊れない。ハネモノならハットとスネアでシャッフルのパターンを「チッタチッタチッタチッタ」とやって、その左手。「タラッ」というゴーストは、ハットとスネアでプレスロールで32分音符を叩き、「チチタタ」の2番目の音を抜いて「チッタタチッタタ」と叩く。この「タタ」がゴーストとして入れて良い。あるいは「チタタチタタ」という6連符上。ハネモノでプレスロールを使う場合は16の時と同じである。
ま、他にもあるのだが、いずれにせよゴーストにも音符上の正しい位置があり、ここに入れる分にはキックの位置も影響を受けずノリは壊れない。ここでもやはり基礎練習でプレスロール、ダブルストロークロールを音符上で叩けるように練習しておかないとできない。パラディドルも非常に有効だ。ゴーストのいっぱい入ったパターンはカッコイイが、やはり基礎をやらないとちゃんとはできない。実際、ゴーストを入れてノリがガタガタになる人は、どれも練習台でちゃんとできない。
若いうちにこういう部分を「人間らしさ」とかいう耳障りの良い言葉にだまされて適当にやり過ごしてはいけない。細かいところにキチンと向き合うとリズムへの理解も進む。「細かいところに気を取られてノリが小さくなる」というのは、習熟するまで練習していないことの言い訳にすぎない。
▲TOWER OF POWER の達人ドラマー、デビッド・ガリバルディー。
極めて精緻でクールなゴーストワークが、
結果的に「ノリノリ!」感を生み出す。ネット上に動画もいっぱい。
三原重夫
1976年、セットドラミングを始める / 1986年、ローザ・ルクセンブルグ『ぷりぷり』でデビュー。ローザ解散後、メトロファルス・ルースターズ・スターリンに参加。その後フリードラマーとし て、様々なレコーディングやツアーに参加 /1997年、ドラムチューナーとしても活動開始。ドラマー、ドラムチューナー、エンジニアなど、25年ものキャリアを誇る。
http://i.gmobb.jp/mihara/
https://twitter.com/mihasige
1976年、セットドラミングを始める / 1986年、ローザ・ルクセンブルグ『ぷりぷり』でデビュー。ローザ解散後、メトロファルス・ルースターズ・スターリンに参加。その後フリードラマーとし て、様々なレコーディングやツアーに参加 /1997年、ドラムチューナーとしても活動開始。ドラマー、ドラムチューナー、エンジニアなど、25年ものキャリアを誇る。
http://i.gmobb.jp/mihara/
https://twitter.com/mihasige