あけおめでごんす。さっそく本題。前回はスネアだったので今回はキックについて書かねばなるまい。ま、ドラムと言うとスネアに注目が行きがちだが、ここでちょっと実験。「ドチパチドチパチ」というシンプルなキック、ハット、スネアの3点のリズムがある。ここからスネアが無い状態、キックが無い状態をそれぞれ想像してみよう。実はスネアって無くてもノれるでしょ? キックを抜いた「チチタチチチタチ」ではノれない。実際テクノなんかではスネアのないリズム・パターンなんていくらでもある。キックだけの「ドンドン」だけでもノれる。ハットで細かいリズム、スネアで2、4を入れるとさらにゴージャス! ということなのだ。
音域的にもキックは派手ではないが、中、低域でバンド全体の音響エネルギーのほとんどを握っており、キックをどう作るかでサウンド全体の質感は大きく変わってくる。
こういうことが分かっていると、演奏の際、力みかえってスネアばかり叩いても何も起きないことが分かるだろう。「ドラムがダメ」というのは「キックがヨレヨレ」と同義なのだ。キックが全体の中でステディーにしっかり鼓動している、というのは、我々が演奏する音楽の基本なのである。まさに鼓動。アンサンブル上もキックがしっかりボトムで「リズムはここだ!」と提示していればこそ、周りのミュージシャンも観客も安心して、それに身を任せられる。
先々号でも指摘したことなのだが、近年、周りの楽器がおとなしいパートで、一緒になってキックを弱くしてしまうドラマーが多いのが、やはり気になる。会場が大きくなるにしたがって、弱くしたキックはPAの特性もあって見えにくくなるので、そのパートの存在感が極めて薄くなり、ノれなくなり、軸が見えなくなることでアンサンブルも緩くなる。したがって、そのバンドは大きな会場では演奏できなくなっていく。
ノれることが前提の、つまりはある種のダンス・ミュージックである以上、最低限のノリがキープされ続けないことは致命的。キックの鼓動は重要なのだ。
▲キックと言えば、この人、ジョン・ボーナム大先生である。
偉大な音色もさることながら、70年代で、現代に通じるキックのパターンを独創で
ほぼ完璧に作り上げてしまった超天才。
やっぱりこの人は凄いと思う。享年32。おお、、、。
三原重夫
1976年、セットドラミングを始める / 1986年、ローザ・ルクセンブルグ『ぷりぷり』でデビュー。ローザ解散後、メトロファルス・ルースターズ・スターリンに参加。その後フリードラマーとし て、様々なレコーディングやツアーに参加 /1997年、ドラムチューナーとしても活動開始。ドラマー、ドラムチューナー、エンジニアなど、25年ものキャリアを誇る。
http://i.gmobb.jp/mihara/
https://twitter.com/mihasige
1976年、セットドラミングを始める / 1986年、ローザ・ルクセンブルグ『ぷりぷり』でデビュー。ローザ解散後、メトロファルス・ルースターズ・スターリンに参加。その後フリードラマーとし て、様々なレコーディングやツアーに参加 /1997年、ドラムチューナーとしても活動開始。ドラマー、ドラムチューナー、エンジニアなど、25年ものキャリアを誇る。
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