団地団が団地に対する偏愛をリレー形式で掲載していくコラムです。
団地団とは:大山顕、佐藤大、速水健朗、今井哲也、久保寺健彦、山内マリコの団地好きによるプロジェクト
今月の団員:大山 顕
団地フォトグラファーの大山です。本コラムでは需要に関係なく「死ぬまでに一度は見ておくべき素敵な団地」を紹介しています。今回は『武蔵野緑町パークタウン』を推したい。ここにはびっくりの歴史があったのだ!
この団地のどこが素敵かというと、団地内の道がなんだか丸いぞ! という点だ。
航空写真で見ると、ほら丸いぞ(国土地理院「地理院地図」の空中写真[2007〜]に加筆)。
実際訪れてもそのカーブっぷりがすごい。
この団地、2003年に建て替えられていて、棟のデザインはいささか物足りない「マンション風情」になってしまっているのだが、それでも以前の円形路が相変わらずこうやって残っている。建て替えを機に四角く整え直せば効率的だっただろうに、なぜそのままにしたのだろう? そもそもなんでオリジナルは円形だったのか? 単なるデザインか?
都心部の団地ならこういう曲線って地形が理由だったりするんだけど、なんせここは武蔵野。まったいら。人為的な円形だ。団地の神でも召喚するのか。魔方陣か。
とか思って昔の航空写真を見たらびっくり!
なんと! 野球場!(国土地理院「地理院地図」の単写真[1941年〜1950年]の「1947/07/09〈昭22〉・USA-M372-69」をトリミング)
建て替え前は「武蔵野緑町団地」という名前で1957年に完成したのだが、その前はなんと野球場だったのだ、あのカーブはマウンドの円形なのだ! びっくり。こういう前の敷地の利用が後に影響を引きずっちゃう、っていうのはなんかいいよね。ちょっとしたミステリーだ。
由来を知ってか知らずか、子供たちが野球してた!
団地団〜ベランダから見渡す映画論〜
著者:大山顕、佐藤大、速水健朗
定価:1,995円(税込)
判型:A5判
ページ数:208
発行元:キネマ旬報社
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