団地団が団地に対する偏愛をリレー形式で掲載していくコラムです。
団地団とは:大山顕、佐藤大、速水健朗、今井哲也、久保寺健彦の団地好きによるプロジェクト
今月の団員:佐藤 大
御無沙汰です。普段はアニメを中心に脚本を書いている佐藤大です。今年は団地を舞台にした日本映画が「みなさん、さようなら」「中学生丸山」「クロユリ団地」と公開されて団地団としても嬉しい限り。さて、そんな空前の団地映画ブームの中、今や団地団といえば団地映画を紹介する活動が目立ちますが、もともと「インフラとしての団地」を語るひとつの要素として映画があり、物語の中で舞台としてどんな機能をしているのかを語るという意味でもありました。
そこで今回、映画から少し離れ、あらためて「インフラとしての団地」に注目してみたい。実は、団地出身者である僕にとって(住んでいる時には主観的すぎて)客観的に「インフラとしての団地」を実感したのは、趣味のブロックで団地をつくっている時でした、というお話です。
↑限定販売された「とある団地」のパッケージと団地ジオラマ
昨年のおもちゃショーで限定販売され、あっという間に完売したのも良い思い出です。単行本の同じロゴで当時3人だったメンバーの名前も入って公式な感じが嬉しかったです。ナノブロックのみなさんに感謝。
ブロックといえば以前、団地団で紹介した映画「アタック・ザ・ブロック」にもあるように英国では団地をブロックと呼ぶのですが、ここでのブロックは玩具として誰もがよくしるレゴやダイヤで有名なブロックのこと。団地団でも以前、ダイヤブロックを販売しているカワダさんから発売されているナノブロックという、世界最小級のブロックで団地団オリジナルの「とある団地」という作品をつくっていただいたことがあります。限定販売だったのですか、あの「とある団地」は、もともと僕が趣味でつくりはじめたブロックの団地を原型にしていただきました。なぜブロックで団地をつくろうとおもったのか。それはシンプル。大好きな団地を机の上にならべたかったから。以前に鉄道模型用のジオラマで発売されているプラモデルの団地を購入したこともあるですが、こちらを建設するのは考える以上のスキルが必要で断念しました。しかし、実際、もともと四角いのが持ち味の団地ですから四角いパーツを組み合わせることでカタチをつくるブロックでは比較的に簡単につくることが出来ました。ビルダー(ブロックで作品をつくる人)としてあくまで素人の僕でも、オリジナルの作品として作りやすかったのです。そして団地をブロックでつくるのが簡単なのは、もともとの団地が建設するためにも簡単に考えられているから、そんな当然のことをあらためてブロックで団地をつくりながら実感したのです。それこそ「インフラ」の意味を自分の手で感じることが出来た瞬間でした。
↑佐藤大がつくってきたブロックの団地たち。
商品としてビルダーの方がつくる以前に僕が趣味でつくっていたブロックの団地群。こうして何度もつくる過程の中で「インフラとしての団地」を客観的に知ることが出来ました。
自分が住んでいた主観としての団地をブロックでつくるために客観としてみることが必要だったのです。みなさんもよかったら、「インフラとしての団地」を実感するため、ブロックで団地をつくってみたらいかがでしょう。そうそう。机の上に並ぶブロックの団地は素敵ですよ。
団地団〜ベランダから見渡す映画論〜
著者:大山顕、佐藤大、速水健朗
定価:1,995円(税込)
判型:A5判
ページ数:208
発行元:キネマ旬報社
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