団地団が団地に対する偏愛をリレー形式で掲載していくコラムです。
団地団とは:大山顕、佐藤大、速水健朗、今井哲也、久保寺健彦の団地好きによるプロジェクト
今月の団員:大山 顕
すてきな団地を紹介するのが、団地団におけるぼくの役目。こんにちは、大山です。
さて、今回は東京における団地の聖地、高島平団地と西台の団地をご紹介します。どこへ出しても恥ずかしくない逸品。日本が世界に誇る名作です。世界遺産登録は時間の問題でしょう。そういえば鎌倉が登録にいたらなかったとのこと。そろそろ真打ち登場ってことで団地を候補に挙げてはどうだろうか。
↑ザ・高島平団地。キング・オブ・団地だ。ただでかいだけかと思いきや、角にやんわりとした曲面を配するなど、なかなか憎い演出を施していたりする。それにしてもこのカラーリングはどうだ。数年前、いつものように団地鑑賞に訪れたら塗り直されてこの色になっていた。およそ21世紀の色彩感覚ではない。この垢抜け無さが団地のいいところだ。
↑高島平にはこんなびっくり物件もある。なんと5連のエレベータータワーがあなたのハートを直撃。タワー好きにはたまらない。
ご覧の通り見事な量感に圧倒される、ちょうマッシブ団地。4階建てのかわいらしい棟が並ぶほっこり(もはや死語ですかね、この言葉)もいいですが、やはり東京の団地といったら高層だと思うのですよ。人か高密度に集まって生活する。その象徴が高層団地なのだ。都市に住むということはこういうことなのだなあ、と実感するわけです。
高島平団地のお隣町、同じ板橋区にある西台の団地はさらにその感を強くする作品だ。
↑公社西台住宅。人工地盤の上にどーんと建つ巨大団地。そしてなんとその下には三田線の操車場! 住宅と鉄道とのマリアージュ。
ぼくはよく「マンションと団地って何が違うの?」と聞かれるのだが、その答えは「マンションは商品だけど団地はインフラです」というものになる。この西台はその住宅インフラとしての存在と、交通インフラとが一体化しているのだ。そのことに震える。都市においてある一定以上の規模を持つ存在がどのように他のインフラと共存するかを見ていくことは、東京を見つめるやりかたのなかでも魅力的な視線だと思う。お、ぼくいま良いこと言った!
われわれ団地団が出した書籍、その名も「団地団」にも、この両団地を訪団した様子が収められていますので、ぜひご覧ください。
あ、そうそう、先日爆笑問題さんと高島平団地のロケをご一緒してきましたよ! NHK総合、水曜日22時55分から放送の「探検バクモン」で、7月3日と10日の2週にわたってその様子を見ることができるはずです。今年も団地来てるぞ!
団地団〜ベランダから見渡す映画論〜
著者:大山顕、佐藤大、速水健朗
定価:1,995円(税込)
判型:A5判
ページ数:208
発行元:キネマ旬報社
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