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トップレポート【スマイリー原島 BIRTHDAY FESTIVAL <day1 下北沢SHELTER編>】すべての出演者が原島の思いを受け継ぎ、誰もが心置きなく楽しめる聖域を守り続けていく決意を感じた夜

【スマイリー原島 BIRTHDAY FESTIVAL <day1 下北沢SHELTER編>】すべての出演者が原島の思いを受け継ぎ、誰もが心置きなく楽しめる聖域を守り続けていく決意を感じた夜

2026.09.25

 2026年年明け早々に広まったスマイリー原島の訃報には、日本中のロックフリークは深い悲しみに暮れた。周知の通り、逝去後は各地でライブイベント、お別れ会、ラジオ特番などが行なわれたが、ことに原島が愛した下北沢界隈では、何度となく献杯が行なわれたことだろう。そういった場所に僕も何回か交わった。確かに、そこには喪失感があったが、笑いと希望が共存していた。人と人を繋ぎ、幾つものバンドを最前線へ導き、何よりも下北沢を愛した原島のアティテュードは、この地の各々のライブハウスに息づいているからだろう。
 

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 そして旅立ちから8カ月。下北沢のライブハウスと原島の古巣である新宿LOFTが一丸となり、彼の生誕を祝福するイベントが6日間にわたり催された。題して『SMILEY'S CONNECTION スマイリー原島 BIRTHDAY FESTIVAL 6days ~ハメチ a-GOGO CARNIVAL!!~』。原島と縁の深いバンドが集結し、夜ごとに誕生日を祝福するというイベントだ。本稿では、その初日<day1下北沢SHELTER編>をレポートする。
 

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 出演バンドは、怒髪天アコースティックセッション with 三宅伸治、Radio Caroline、デキシード・ザ・エモンズ、ニューロティカの4組(出演順)。音楽性が異なるバンドだが、それぞれが独自性の高いロックンロールの熱量を保ち続けているという共通点がある。開演前は、平日にもかかわらず入場を待つ観客が長い列を作っていた。そしてフロアの壁には在りし日の原島の写真が多数貼り出されている。モニターからは、原島の歌うご機嫌なブルースやパブロック、そしてアクシデンツ時代の名曲「雨のメインストリート」なんかも流れてくる。
 

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 まずは、怒髪天アコースティックセッション with 三宅伸治のステージだ。会場には「元気ですか! 今日もみなさん上がっていきましょう! 楽しんでちょうだい。1984年、あれから35年の月日が経ちました……みなさん大きな声で、怒・髪・天!」という在りし日の原島の声が響き渡る。
 
 怒髪天のサポートベーシストには、メンバーが敬愛するアナーキーの寺岡信芳が迎え入れられている。「原島さんと付き合いも長いので、話せば長くなりますけど」という、ボーカル増子直純のMCが添えられた1曲目は「オトナノススメ」。洒脱でシャンソンっぽいアレンジが心地よい。そして2曲目の「己DANCE」はオリジナルより、フラメンコっぽいアレンジが強調される。まさに変幻自在のアコースティック・セッションという感じでフロアを温める。アコースティックであれど、発する熱量は普段と変わらない。
 そして、三宅伸治が登場。これ以上にない感涙の2曲「デイ・ドリーム・ビリーバー」、「雨あがりの夜空に」を披露。三宅の声は限りなく優しい。増子に寄せたコブシを効かせた唱法で、リリックのひとつひとつが観客の心にダイレクトに届く。なんと至福の時間だろうと思った。そしてラストは「酒燃料爆進曲」で観客を鼓舞する。
 

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 2番手はRadio Carolineのステージだ。PATCHはカールコードのシールドを直でマーシャルアンプに差し込み、音出しの段階でレスポールのぶっとい音が場内に響く。それを呼応するようにウエノコウジのドライブするベースラインが重なる。この時点から、これはもうロックンロールのひとつの完成形だと唸らずにいられない。「原島さんもどこかで見てるんじゃないかと思いますんで、盛り上がっていきましょう。普段こんなMCしないから」というどこか照れたPATCHの言葉が添えられたオープニングはボ・ディドリースタイルのジャングル・ビートが炸裂する「STAND BY ME」だった。そして贅肉を削ぎ落とした無骨な名曲「Charlene」へと続く。クック&ジョーンズ(セックス・ピストルズ)の「Silly thing」、リッチー・バレンスーの「Come on let's go」という好カバーを挟んだレディキャロのステージは、パブロック、ブリティッシュビートから遡り、ブルースを知ることで様式美を超えたロックンロールの本質を感じる。それは、今回プレイされた「L.A.W.A」の中で歌われる「ロカビリーは大好きだけど 誰かのルールじゃ踊れない」ということに通じるかもしれない。そして終盤の「TWISTIN'HEAD」、「DISCO MEXIC」では混沌とした時代を切り裂くかのようなエッジを効かせたギターの音が印象的だった。まさにロックンロールの熱量を保ち続けた人でなくては出せない音だ。そして、全ての演奏が終わり、PATCHが語った「原島さんの帽子いただきました。似合っとるばい」という短い言葉は、温かみに溢れていた。そしてドラマー楠部真也の「原島さん、ありがとう!」という叫びがフロア全体に響き渡った。
 

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 3組目のデキシード・ザ・エモンズは、時折リミッターを振り切るような凄みを垣間見せる。まさにMaximum R&Bともいえるキース・ムーンをリスペクトしたハッチー・ブラックボウモアのドラミングに、ブラック・フィーリングあふれる藤岡戸一朗のベースライン。アベ・ジュリーの時代を超越した唯一無二の個性が絡まり、GS、モンド・ミュージックをミックスしながら、どこか土着的なサウンドは他に類を見ない。オープニングの「ユー・メイク・ミー・フィール・ソー・サッド」からその世界観に引き摺り込まれる。この日にプレイされたキンクスのカヴァーに日本語歌詞を載せた「When I See That Girl Of Mine」にしても、マディ・ウオーターズの「Got my Mojo Workin」にしてもオリジナルをリスペクトしながら、独自の色合いを醸し出す。これはバンドの力量だろう。そしてエキセントリックなステージングの先に見えるイノセントな感情が溢れている。ただ、そんな小難しいことを語らなくても、誰もが笑顔になれるピースフルなマインドが彼らの本懐だということを付け加えておこう。ステージはハッチー・ブラックボウモアの「俺たち世話になったもんな、最初は怖い人だと思ったけど、優しい人だったね。原島さん大好き」という言葉で幕を閉じた。
 

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 そしてトリにニューロティカが登場。「みんなで歌おうパンクロック」が彼らの結成当時のスローガンだったと記憶しているが、今もそのスタンスを一切崩さず、オープニングの「88R」(ややうけライダー)からフロアは多幸感に包まれる。ボーカルのあっちゃんはライダーコスチュームで登場。近年のニューロティカはバンドのアンサンブルがHR / HM寄りで、サウンドがクリアな傾向にあるが、これは、メロディの親しみやすさ、あっちゃんのキャラをより際立たせるためだろう。まさに彼らならではのロックンロール・エンタテインメントだ。「88R」から「燃えろ! 88ライダードラゴン!!」、そして「夏・渚・17歳」、「スイカマン」というサマーソングへと続くのだが、ややうけライダーのコスチュームのまま、スイカの被り物という慌ただしさだったが、それも一興というステージングはさすがだ。終盤には「チョイスで会おうぜ」、「ア・イ・キ・タ」という、もはやアンセムと断言してもいい名曲でフロアとステージが一体となり幕を閉じた。あっちゃんは、「最後に一言だけ。スイカマンで20年前から活動してんですけど、スイカマンは対バンの人が被ったりして写真撮ったりるんですが、スイカマンと88ライダーを被ったのは原島さんだけです」というMCを添えた。
 

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 今回のバースデーイベントの初日となる下北沢SHELTERに湿っぽさはほとんど感じられず、フロアには笑顔が溢れていた。それぞれのバンドの個性を存分に感じ取れるバラエティに富んだ贅沢な一夜だった。それぞれが長きに渡る活動歴を誇る四者四様の個性は、どれも現在進行形で、ライブハウスシーンの盤石さと多様性を物語っていた。そして、すべての出演者が原島の思いを受け継ぎ、音楽ファンであれば誰もが心置きなく楽しめる聖域を守り続けていこうという決意すら感じられた。
 

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 そして、大団円ではあっちゃんの「ここで、原島チルドレンを呼びたいと思います」という呼びかけで、出演者が全員ステージに集結して「(What's So Funny 'Bout) Peace, Love and Understanding」が奏でられる。ブリンズリー・シュウォーツがオリジナルで、エルヴィス・コステロ&ジ・アトラクションのバージョンがお馴染み。パブロックの大名曲で原島のフェイバリットでもあった。この曲に水戸華之介が日本語歌詞を載せたものだ。歌詞の中にある「死んでる場合じゃないぞ 墓から飛び出せ」は原島に届いただろうか。もしこの一夜を空の上から眺めていたら、あのダミ声で笑い飛ばしているだろう。下北沢の夜は、今も変わらず、幸せに包まれていたのだから。
 
Text:本田隆(音楽ライター)/ Photo:Mariko Miura
 

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