今年、結成10周年を迎える横浜のロックバンド・レイラが、結成10周年ツアー『まだこんなもんじゃないツアー』ファイナル、『10年経っても』を7月11日(土)渋谷クラブクアトロで開催した。ワンマン公演としては最大キャパとなるクアトロ。「30歳までにクアトロでやれなかったら解散しよう」と過去に話していたという因縁のステージに無事立つことができたこの日は、ソールドまではいかずとも、大勢の観客で会場が埋め尽くされた。
インストのSEが流れる中メンバーが登場。時計の針が時を刻むような静寂から、<金なんか無くたってさ>とエモーショナルに歌い上げるサビの歌詞に、バンドの原点を感じさせる「アパートの中で」からスタート。「10年で一番かっこいいライブをしに来ました! 横浜のレイラです!」つづく「透明少女」のイントロが始まると、フロアから拳が上がり、爆発力の高い演奏と伸びやかな有明(Gt/Vo)のボーカルが会場の熱を上げる。軽快な「夏風邪」では、ラララ~のコーラスで会場が一体となった。
と、ここまではいつものレイラのライブなのだが、先日リリースした革新的な1stアルバム『いまを生きる』の曲たちが圧倒的な異彩を放ち、この日のライブに深みを与えていた。「好きな人のことを思い出しながら聴いて下さい」有明のMCからの「Fall in love」は、チャイナ風のフレーズと鉄っぽいギターの音が異国感を醸し出し、まったりとした心地よさに包まれた。そしてシリアスな前奏からの「なんでもない」は圧巻だった。打ち込みを交えた細かく刻むリズム、中盤のえぐるようなギター、轟音の嵐、そのすべてを俯瞰したようなボーカルが作り上げる混沌とした世界観とやりきれなさに、心がかき乱される。この曲本当にすごい。他の曲もそうだが、サポートメンバーたちの絶妙な距離感と高い演奏力が、レイラが描く曲の情景や想いを最大限に再現しているんだということがライブだとよく分かる。
先日、アルバムのインタビューを行った際にみうらたいき(Gt)が、「前はすべてに意味がないといけないと思っていたけど、遊びや余白を入れたいと思うようになった」と話していたように、新曲だけでなく曲と曲のつなぎの部分など随所にそれを感じた。また、張り詰めてはいないけど熱量の高い演奏、笑顔溢れるメンバーの姿に、こちらも安心して曲を楽しむことができた。エモーショナルな「戦争が起きたら」「エンドロール」、そして「飛べる」「Ash」「Emma」と尋常じゃなくパワフルな演奏に、もはやクアトロが小さく感じるほどだった。
そして、ラストはアルバムのタイトル曲「いまを生きる」。美しく壮大なサウンドスケープ、祈りのようなボーカル、誰も置いていかない温かみのあるコーラス。ある種の悟りの域に達したような、強さと儚さが混在する神聖さ。やっぱりこのアルバムすごい。楽曲の美しさはもちろん、新たな道を切り拓いたバンドの変わり目を目の当たりにしていることに感動した。「みんな人生いろいろあると思うけど、レイラの曲を聴いて少しでも豊かな気持ちになってほしい」ライブ中、有明が何度か言ったこの言葉がとても印象的だった。
10周年を迎えたことについてみうらは、「エモい(笑)」と照れ隠しでふざけつつも、「昨日、前のメンバーとの昔のやり取りを見返したりして実は結構感傷的になってる」と語り、「バンドを始めて5年ぐらい経ってから、人生で初めて真剣に自分がやりたいことはこれだって思った」という有明は、「バンドやろうって誘ってくれてありがとう」とみうらに感謝の言葉を述べた。「10年経ったけど、10年経ったっていうだけなんで」と有明が何度も言っていたように、思い出に浸るような感傷的な場面よりも、むしろ未来の可能性を感じさせるワクワクの方が大きかった。それはやはり完成度の高いアルバムを作り上げたからだろう。当初、この日会場先行でCDを販売する予定だったが、諸般の理由で間に合わなかった。それに対しての有明の投稿がまたSNSで物議をかもしていたが、「たくさん苦労して心を込めて作った最高傑作だから、物販で買ってくれる人一人一人にどうしても直接手渡したかった」と話す彼女の想いや言葉のトーン(明るい)は、直接こうやって聞かないとSNSではちゃんと伝わらないなと思った。ヤケになって取った、突拍子もない行動のエピソードが飛び出しつつも、それだけアルバムに込めた想い、お客さんに対する想いが強かったということがよく分かった。
アンコールを終えステージを去るも歓声が鳴りやまず、なんとWアンコールで再び登場し、「透明少女」を再度披露。「こういうのが一番楽しい!」(有明)。去年のCrest、SHELTERでのワンマンより何倍も何倍も進化し、レイラの過去と未来を同時に体感した素晴らしい‟いま”のレイラのライブだった。アルバムのツアーも発表され、ファイナルは来年1月のキネマ倶楽部。次のツアー、‟いま”のレイラは絶対に観ておいた方がいい。
Text:小野妙子 / Photo:稲垣ルリコ
レイラ10th Anniversary ONEMANLIVE「10年経っても」
2026年7月11日(土)渋谷 CLUB QUATTRO
【SET LIST】
1. アパートの中で
2. 透明少女
3. SEASIDE
4. 最低
5. 夏風邪
6. Fall in love
7. 最近のビッグニュース
8. 熱帯夜
9. Happy end
10. 神様
11. なんでもない
12. サマーエンズ
13. 戦争が起きたら
14. エンドロール
15. 飛べる
16. Ash
17. Emma
18. いまを生きる
en1. ふたりのせかい
en2. つまらない
wen. 透明少女
Live Info.
レイラ 1st FullAlbum 「いまを生きる」 Release Tour
2026年
8月23日(日)千葉LOOK
8月24日(月)渋谷TOWER RECORDS インストアライブ
8月25日(火)横浜 F.A.D
9月1日(火)広島ALMIGHTY
9月2日(水)高松RIZIN'
9月10日(木)盛岡the five morioka
9月11日(金)仙台FLYING SON
9月23日(水)新潟RIVERST
10月13日(火)京都nano
10月25日(日)伊那GRAMHOUSE
11月4日(水)札幌近松
11月10日(火)宇都宮HELLO DOLLY
11月22日(日)山梨 鹿
11月24日(火)岡山CRAZYMAMA 2nd room
11月25日(水)福岡Queblick
※チケット詳細は後日発表
12月15日(火)大阪寺田町FireLoop ※ワンマン
OPEN 19:00 / START 19:30
ADV ¥3900 / DOOR ¥4500
チケット:Livepocket
問い合わせ:Fireloop
12月16日(水)名古屋HUCKFINN ※ワンマン
OPEN 19:00 / START 19:30
ADV ¥3900 / DOOR ¥4500
チケット:
問い合わせ:HUCKFINN
2027年1月17日(日)東京鶯谷キネマ倶楽部 ※ワンマン
OPEN 17:00 / START 18:00
ADV ¥3900 / DOOR ¥4500
チケット:
<最速先着先行>
7月11日(日)21:00 〜 7月29日(水)23:59
問い合わせ:HOT STUFF PROMOTION
※その他ライブ詳細は公式サイトを参照














