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トップレポート新譜「ニライカナイ-Rerecorded-」を携え、『INORAN Tour Determine 2025』開幕。未来へと向けた、あらたなる冒険物語の第一歩

新譜「ニライカナイ-Rerecorded-」を携え、『INORAN Tour Determine 2025』開幕。未来へと向けた、あらたなる冒険物語の第一歩

2025.10.01

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LUNA SEAのギタリストとして、ソロ・アーティストとして、精力的な活動を続けているINORAN。ニューアルバム『ニライカナイ -Rerecorded-』を携えて開幕した『INORAN TOUR Determine 2025』ツアー初日、9月27日渋谷CLUB QUATTRO公演のレポートをお届けする。
 
 
旅という名の冒険物語。今宵その第一歩を渋谷QLUB QUTTROのステージ上にてあらたに踏み出したのは、先だってアルバム『ニライカナイ-Rerecorded-』を発表したばかりとなるINORANだ。
 
その『ニライカナイ-Rerecorded-』におけるリードチューンの曲名をツアータイトルに冠した『INORAN Tour Determine 2025』の初日公演は、躍動感と生命力のみなぎる音で彩られた「Determine」が幕開け曲として選定されていた。その場に集った者たちは、INORANの歌いあげる〈煌めきを掴むには 今すぐ ここから旅立とう〉という力強い歌詞にもしょっぱなから胸を震わせられることになったはず。 
 
ちなみに“Rerecorded”と銘打たれていることからもわかるとおり、今作は2007年にリリースされた4thアルバム『ニライカナイ』を再構築したものとなるが、INORANが何故このタイミングで過去作品をリメイクしたのかといえば、切っ掛けとしては昨年35周年を迎えたLUNA SEAでのリレコーディング作業、そして41公演のツアーと2本のドーム公演を経たことが大きかったそう。過去と真っ向から対峙していく中、INORANは「今思う心境とか重ねてきた経験を、今置かれた環境で生きている自分が帰ってみたらどう思うんだろう?」と感じるようになり、やがてその想いが『ニライカナイ-Rerecorded-』の制作へつながっていったのだという。
 
結果、18年の時を経てオリジナル盤よりも音の解像度があがっただけでなく、音楽としての説得力までもが増した『ニライカナイ-Rerecorded-』の収録曲たちが、このたびの『INORAN Tour Determine 2025』の舞台上でも“いっそうの輝き”をみせていったのは言うまでもない。 
 
圧倒的なグルーヴを醸し出す3人の猛者=ドラマー・Ryo Yamagata、ベーシスト・u:zo(ex.RIZE)、ギタリスト・Yukio Murata(MY WAY MY LOVE)を従えるかたちで、INORANがフロントマンとしての貫録をみせつけた「Diffused reflection」での頼もしいパフォーマンスもツアー初日とは思えないほどのこなれっぷりで、会場内は彼の発するバイブスに呼応するかのごとく高い熱量での盛り上がりを呈し出す。
 
「Hey,Tokyo! 久しぶりだな。またこのメンバーが揃いました! 物語が始まる時って、なんだかゾゾっとするよね(笑)。みんなも含めた“僕ら”の物語が今この瞬間から始まります。最後まで楽しんでいってください!!」(INORAN)  
 
ほかならぬ彼自身もこのライヴ空間を存分に楽しんでいたようで、とびきりの笑顔をみせながら歌う姿がとてもチャーミングだった「raize」以降、1曲の中でハンドマイクとマイクスタンドを使い分けながら歌ってみせた「Cloudiness」や、チルな優しい響きが聴く側のマインドを癒やしてくれた「Walk along」でも、INORANの生み出す奥深い音楽世界はますますその密度を高めていった感が強い。そして、ライヴが展開していけばいくほど我々はまるで高級ビーズクッションにでも身を委ねているような、音に対する心地よい沈み込み方をじっくりと体感することが叶ったように思う。
 
「今回『ニライカナイ-Rerecorded-』を作って、こうしてライヴをやっているわけなんですけど、こんな素晴らしい景色が待ってるなんて18年前の俺に教えてあげたいくらいです。まぁ、あの頃は俺もちょっとやんちゃで(笑)。今思うと、世の中とか、歌とか、音楽とかをちょっとナメてたかもしれない。18年経って今あのアルバムが教えてくれることを1滴もこぼさずに全部受け止めながら、ここから始まっていくツアーをやっていきたいと思います。ノスタルジーもこうやってみんなで集まって今やれば、モダンになるんだよね。そういう1曲を聴いてください」(INORAN)
 
この言葉を受けて奏でられたのは、デッサンにたとえるなら往時よりも陰影の描き方が緻密になり、INORANの歌に秀逸な繊細な感情表現が宿るようになった「I miss you」。〈旅は終わらない 存在のカケラ 探してく〉というフレーズが耳に残る「存在のカケラ」も、この夜のライヴでは滋味深さをたたえたものとしてその場にあまねく響き渡った。
 
「ここにみんなと一緒にいること。それ以前に、みんなと出会ったこと。その全てに意味があると信じて引き寄せられるっていうのが「存在のカケラ」の歌詞なんですけど、このツアーではもっともっとみんなに近付いていきたいです。変わらない愛を確かめあって、ここにいる人たち以外にもその愛を届けられたら良いなと思ってます。そう、秦野にいるヤツにもね。いらねーって言われても、送り付けてやろうかなと(笑)」(INORAN)
 
INORANがここで話題に出したのが、目下闘病中であるLUNA SEA・真矢のことなのは明白で、瞬時に賛同のニュアンスを込めた歓声と拍手が客席フロアから湧きあがった次第だ。なおかつ、このあとに歌われた「時の色」では〈I love you ありきたりな言葉かもしれないけれど 君に ずっとこれから幾度となく伝えてく〉という1節を観客たちが想いを込めるようにシンガロングするくだりもあり、真摯な願いと限りない愛をのせた歌は必ずや真矢のもとにまで念として届いたと筆者は確信する。
そうした感動的な場面もありつつ、今回のライヴではINORANとしては初の試みとなる施策が実現し、なんと「Unstoppable」において“スマホでの写真撮影OK”のサプライズがファンを歓喜させることになった。本人からのお達しによりSNS上では「#イノショ」のタグで投稿および拡散が推奨されているので、残念ながら当日のライヴを見逃してしまった方はもちろん、これから[INORAN Tour Determine 2025]に参加する予定がある方など、皆々様にぜひチェックしていただきたいところ。
かくして、ライヴが佳境へと指しかかった「Beautiful Now」からはいよいよINORANがトレードマークのJazzmasterを肩にかけ、ギター&ヴォーカルとしての存在感をいかんなく発揮しだし、その姿にもまた聴衆がおおいに湧いたのは当然といえば当然だったかもしれない。マイクを持つINORANの立ち姿も素敵だとはいえ、やはりギターを持った時のしっくり感は無敵にもほどがある。
 
ところで。この日のライヴでは「Thank you」の演奏が終わったところでu:zoが突如「ハッピーバースデー」の歌を口ずさみ出し、その続きを来場者たちに託すという事態が勃発。これは2日後に55歳の誕生日を迎えるINORANに対する祝意を表したもので、舞台上にはケーキまで登場して急遽バースデーセレモニーが執り行われる一幕もあった。
 
「ありがとう。こんなにたくさんの人たちに祝ってもらえるなんて嬉しいよ。今日はイブイブだからね(笑)。みんなにはもらってばっかりで、返さなきゃいけないものが溜まって行く一方ですが、ここからのツアーで精一杯返して行きたいと思います!」(INORAN)
 
おそらくは、当記事の冒頭でふれた「Determine」の〈煌めきを掴むには 今すぐ ここから旅立とう〉という歌詞そのままに。『INORAN Tour Determine 2025』はここから彼がいろいろなものを獲得していくのと同時に、各地にて彼が眩しいほどの煌めきを観衆にもたらしていく旅路ともなっていくことだろう。未来へと向けたINORANのあらたなる冒険物語は、今まさに始まったばかりだ──。(文:杉江 由紀 / 撮影:タマイ シンゴ)

商品情報

ニライカナイ -Rerecorded-【通常盤】

発売日:2025年9月24日(水)
品番:KICS-4228
価格:3,520円(税込) / 3,200円(税抜)

【収録曲】
1. Determine
2. Unstoppable
3. Diffused reflection
4. Walk along
5. Cloudiness
6. 時の色
7. Anything
8. I miss you
9. Discus
10. 存在のカケラ

Live Info.

INORAN TOUR Determine 2025

2025年
10月3日(金) 福岡DRUM Be-1
OPEN 18:00 / START 18:30
 
10月5日(日) 広島SECOND CRUTCH
OPEN 16:30 / START 17:00
 
10月11日(土) 梅田CLUB QUATTRO
OPEN 16:15 / START 17:00
 
10月12日(日) 神戸VARIT.
OPEN 16:30 / START 17:00
 
10月18日(土) 仙台darwin
OPEN 16:30 / START 17:00
 
10月25日(土) 水戸LIGHT HOUSE
OPEN 16:30 / START 17:00
 
10月26日(日) 柏PALOOZA
OPEN 16:15 / START 17:00
 
11月1日(土) 名古屋CLUB QUATTRO
OPEN 16:15 / START 17:00
 
11月2日(日) LIVE ROXY 静岡
OPEN 16:30 / START 17:00
 
11月15日(土) 渋谷CLUB QUATTRO
OPEN 16:15 / START 17:00
 
[チケット料金]
通常チケット
スタンディング ¥8,000(税込)
 

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