京都が誇るロックンロール・バンド騒音寺が、10月12日に＜建立30周年記念事業「絶対死なない大説法会」＞を大阪・味園ユニバースで開催した。
築70年の昭和の遺産である味園ビルの地下にある宇宙をテーマにしたグランドキャバレー跡地の会場は、騒音寺の艶やかな佇まいにぴったりはまっていた。日本全国のライブハウスを廻ってきた騒音寺だが、やはり、大会場がよく似合うのだ。
開場時間にはバンドの歴史を追ったドキュメンタリー映像が流れ、会場後方までぎっしり入った超満員の観衆を前に、くるりの岸田・佐藤両氏も大好きだという初期の代表曲「Karasu On My Shoulder」でライブはスタートした。ファンのテンションの高さも異常なヒートアップ状態。
途中、ボーカルのNabeがアコギを持ち、ファーストアルバム収録曲で、中山ラビがカバーし歌いつづけた「裸の街」を披露。逝去した先輩ミューシャンたちに捧げた「ロックスター」を弾き語り。その後は、ギターのタムとベースのこーへーが1曲歌い、タムのギターソロコーナーに突入。タムの懐の深さと音楽愛が感じられる圧巻のプレイだった。
後半はお馴染みの名曲群を立て続けに披露。Nabeが描くロック本来の魅力に溢れた優れた楽曲と、ライブならではの尖った演奏力で、客席はことあるごとに大合唱、「乱調秋田音頭」で発狂する人、「帰り道」で号泣する人も多数。彼らのライブは30年経っても円熟やベテランという言葉が似合わない。
京都の異形ロックンロール・バンドとして、村八分の後継者的な扱いを受けていた時期もあったが、騒音寺のルーツ・ロックを昇華する力、豊潤な音楽性をもってすれば先達との比較は無意味に感じる。
新旧とりまぜた全26曲、約2時間半。30年間、さまざまなトラブルを乗り越え、いい意味で変わること無く進化してきたのは奇跡に等しい。つくづくそう思わせるに充分なステージだった。
騒音寺は、11月27日には交流が深かった頭脳警察のカバーアルバム『フー・アー・ザ・ブレインポリス？』をリリース。録音には頭脳警察のTOSHIが全面参加したPANTAに捧げるイレギュラー・アルバムだ。（Text：福田二郎 / Photo：joe）
騒音寺建立30周年記念事業『絶対死なない大説法会』
2024年10月12日（土）16:00開場 / 17:00開演
会場：大阪・味園ユニバース
【セットリスト】
01. Karasu On My Shoulder
02.I Live For Rock
03. 風呂屋のブルース
04. 風来坊
05. カモナ・マイ・ハウス
06. Let's Go Danny
07. Long Line
08. Drug Store Boogie
09. 浮気節
10. Tumbleweed
11. 狐か狸か
12. 裸の街
13. ロックスター
14. 街
15. Don't Worry Boys
16. ロック・ザ・ダイナマイト
17. あほうな仲間
18. ニグロの血
19. 帰り道
20. 星の降る夜
21. 届け、君の町へ
22. 乱調秋田音頭
23. ロックンロールバカ息子
24. SO-ON☆G
─アンコール─
25. ヤング・ジェネレーション
26. Rock'n'roll（will never die）
商品情報
騒音寺
『フー・アー・ザ・ブレインポリス？』
発売日：2024年11月27日（水）
仕様：CDアルバム
品番：BQGS-0205
定価：2,500円＋税
発売：ボルテイジレコード
販売：（株）ウルトラヴァイヴ
【収録曲】
01. 戦慄のプレリュード
02. 赤軍兵士の詩
03. 銃をとれ！
04. マラブンタ・バレー
05. ふざけるんじゃねえよ
06. 真夜中のマリア（転換の為のテーマ）
07. サラブレッド
08. 歴史からとびだせ
09. 落葉のささやき
10. 悪たれ小僧
11. コミック雑誌なんか要らない
12. 万物流転
作詞作曲：Pantax's World
赤軍兵士の詩 原詞：Berthold Brecht
編曲：騒音寺
