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キイチビール&ザ・ホーリーティッツ、ゲストに曽我部恵一を迎え新宿LOFTでハッピーさ満載のツアーファイナル!

2019.02.27

ロックンロールといえばもうオールドファッションな、古臭いイメージを想像する人も多いかもしれない。けれども2月16日(土)新宿LOFTでみせたキイチビール&ザ・ホーリーティッツのライブはまさしくそのイメージを肯定した上で継承するような、新しいロックンロールの風を感じさせるものだった。

先日発売された7inchアナログ・シングル『今夜浮かれたい』のリリースを記念した今回のツアーは、東名阪でゲストを呼んだ2マンツアーとなっており、曽我部恵一を迎えて新宿LOFTでツアーファイナルが行われた。

初ライブから3年も満たないまま、コンスタントなライブ活動の中で、さまざまなコンテストやオーディションを勝ち抜き、大型フェスへの出演などもいきなり果たし、常に音楽ファンの注目をかっさらい続けているキイチビール&ザ・ホーリーティッツ。

3枚目のアナログ・シングルというところが何とも彼ららしく、そのアルバムのすべてのジャケットを漫画家・本秀康が書き下ろしているという事ですでに最高であるが、収録されている2曲のロックンロールナンバーはフロントマンのキイチビールの光りも闇も、悲しみも幸せもすべて昇華させたポップス・センスが折り込まれており、クセになるほど痛快である。

イベント当日は、ここ最近で一番の快晴。絶好のキイチビール&ザ・ホーリーティッツ日和となった。そんな日も沈みかけた頃、会場には性別や年齢を超えて様々な人々が集い始め、キイチビールのポップス・センスが老若男女問わず魅了させるものなのだと改めて感じさせられた。

スタート時間がやや過ぎ、幕がゆっくりと上がり始めた。温かいアコースティックギターのストロークが客席を包み込み、客席を見渡すかのように体を揺らした曽我部恵一が「さあ出ておいで きみのこと待ってたんだ」とサニーデイ・サービスの『baby blue』をゆったりと歌い出した。暗闇と静寂のみのフロアが、彼のステージへの期待でいっぱいになると、続けて力強く、それでも穏和に『抱きしめられたい』を歌いあげた。

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その後のMCで「曽我部恵一ですどうも。寒いですね。」と照れ笑いを含んだ自己紹介をす

る姿から親近感を感じ、曲ごとに歌の表情が変わる彼の弾き語りにさらに引き込まれるようであった。

ライブ中盤の『春の嵐』では、どこか憂いの含んだ歌い方が哀愁を感じさせ、そのオレンジの照明を背負った彼の歌は、数年前のアルバムをめくり、セピア調の記憶を辿っているかのようで、オルゴールのような安心感があった。

途中のMCでは、何年前にキイチビール&ザ・ホーリーティッツと出会ったのかという疑問にフロアからキイチビールが答える場面があり、また3年前のその日はたまたまキイチビール&ザ・ホーリーティッツの初ライブの日だったというエピソードが語られ、それぞれの仲の良さが伺えた。

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最後にスポットライトに照らされて、家で待っている大切な人の事を歌った『おかえり』を優しく歌い終えると、少し照れ臭そうにステージを後にした。

そして曽我部恵一の60分にも及ぶ弾き語りが終わり、充実感に満たされた新宿LOFTにキイチビール&ザ・ホーリーティッツが登場した。

イベントタイトルにもなっている『今夜浮かれたい』のイントロが響きわたると、歓声が巻き起こり、フロアが揺れ始める。KD(cho)がピョンピョン飛び跳ねて会場を盛り上げる。

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退屈や不幸にも思えるようなことを痛快に歌ったロックンロールナンバーはライブでもやはり盛り上がり、これから始まるハッピーな出来事を確信した会場がさらに熱くなった。

会場をここまでハッピーにする、楽しそうなメンバーの人間性とキイチビールの作曲のセンスを改めて痛感させられた。

3曲目『パウエル』、4曲目『世の中のことわからない』では、メロウでクールな立ち振る舞いがみられたが、どこか冷たい熱さを感じさせ、バンドとしての覚悟が垣間見れた気がした。

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合間に見られたキイチビールのギターソロは、ロックスターとしてのDNAが息づいていると感じられ、堂々とした立ち振る舞いは普段の雰囲気とはまた違ったナイスなカッコよさがあった。

今回発売された7インチのB面である『こーかい』では、ぶっきらぼうで毒っけを含んだ新たな一面を見せたが、曲のスピード感がまた清々しく、曲中の「知らねーやつの話なんかもう 聞きたくもないわ」と歌う場面は笑ってしまうほど痛快な一面であった。

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普段はやらないというメンバー紹介を彼ららしくゆるーくすると、5月15日(水)にバンドとして2枚目となる待望のフルアルバム『鰐肉紀譚(わににくきたん)』を発売、それを引っ提げてリリースツアーをする事を発表した。

そして本編ラストの曲はもちろんそのアルバムからの曲で、バンドで一番恋のパワーが全開の曲だという『鰐肉紀行』だ。

“紀行”とつけられたタイトル通り、トリップするような愉快なナンバーで、メンバーの楽しそうでリラックスしたパフォーマンスから、ニューアルバムへの自信が伺えた。

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アンコールでは愛らしい掛け合いから始まり、キイチビールの弾き語りから始まる『東京タワー』をまるで自分に問いかけるように、なにかの迷いを断ち切るかのように歌いあげた。

そして最後に選ばれた曲は、彼らが注目されるきっかけにもなった、ハッピーさが満載のポップソング『かっぱえびせん』で、彼ららしくほっこり、ゆったりとした雰囲気で今回のツアーが終了した。

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(PHOTO:丸山恵理(LOFT PROJECT) TEXT:小林駿仁(LOFT PROJECT))
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