音楽は何をやってもいいのだと提示できるソロユニット
──6月18日に新宿ロフトで行なわれる『KERA solo unit ワンマンライブ』のフライヤーには、KERAさんのソロ初期の作品である『愛のまるやけ』(1985年3月発表)や『原色』(1988年3月発表)のジャケットも掲載されていますが、あの時期の楽曲が披露されるのを期待しても良いのでしょうか。
▲KERA『愛のまるやけ』(ナゴムレコード|1985年7月)
▲KERA『原色』(PONY CANYON|1988年3月21日)
KERA:まだセトリはあまり考えてませんけど、何曲かやろうかなと思ってます。純然たるソロユニットのライブは久しぶりなんですよ。これはぜひとも観に来てほしい。近年のソロライブと言えば、還暦ライブ(2023年3月25日、恵比寿ザ・ガーデンホール)や『KERAさん逃げて』33周年記念ライブ(2024年9月22日、渋谷ラママ)、みのすけと中野テルヲをゲストに迎えたソロユニットのライブ(2025年7月23日、渋谷クラブクアトロ)、『KERA sings ナゴムレコード』(2025年11月26日、新宿ロフト)といった、企画色の強いものばかりだったけど、今回は久々の純粋なソロユニットによるライブです。これまでソロ名義で発表してきた曲をあまりこねくり回さずにやろうと考えてます。ベスト・オブ・俺ソロ。最近、『Brown, White & Black』と『LANDSCAPE』改めて聴き直しましたが、いやあ、最高(笑)。今回はツインギターなんですよ。全曲じゃないんだけど。ソロライブをツインギターでやるのは、2013年の『ミューヂック・アワー』以来なんです。
▲KERA『Brown, White & Black』(ナゴムレコード/ULTRA-VYBE|2016年1月20日)
▲KERA『LANDSCAPE』(ナゴムレコード|2019年5月8日)
──かつてギターを毛嫌いしていたKERAさんがツインギターで臨むライブをやるとは(笑)。
KERA:バイオリンや管楽器のプレイヤーに参加してもらうことも考えたんですけどね。久しぶりにツインギターも新鮮でいいんじゃないかと思って。いつも弾いてくれてる伏見蛍くんに加えてギターの岩出拓十郎くんに参加してもらいます。彼は本日休演やフー・ドゥ・ユー・ラブっていうバンドをやっていて、僕、とくに本日休演にもう何年も凄く入れ込んでるんですよ。NEWFOLKっていう家主や台風クラブが所属するレーベルから5枚目のアルバム『Believe』を出したばかりです。6月に新代田フィーバーでレコ発ライブをやる。本日休演には去年の『ミューヂック・アワー』にも出てもらいました。すごくいいギタリストです。
──カジヒデキさんもゲスト出演されるそうで、楽しみです。
KERA:僕も楽しみです。カジくんとはあっと驚くことをやりたい。
どうもね、ソロのライブって宣伝一つ取っても、どうしても後回しになってしまいがちなんですよ。看板背負ってるのが自分一人だとね。聴く側も優先順位として後回しにしがちなんじゃないかな。わからないけど。
けれども、ソロでしかやれないことって実はいっぱいあるし、バンドと違ってフレキシブルに動ける。編成にとらわれずに音楽を作れるのは大きな利点ですよ。27年ぶりに出したソロアルバム『Brown, White & Black』(2016年1月発表)以降、『LANDSCAPE』(2019年5月発表)、『まるで世界』(2021年7月発表)、『逃亡者K』(2022年9月発表)と、胸を張れるソロ作品をここ数年発表してきたつもりです。80年代の自分には考えられない音楽を実現できている。さっき、かつてのオリジナル・ラブがビッグバンド・ジャズをやってて羨ましく思ったと言ったけど、『Brown, White & Black』と『LANDSCAPE』ではそれもできた。今のレコーディングシステムや人脈を使えば自分でもオールドジャズみたいなことができるんです。
▲KERA『逃亡者 K』(ナゴムレコード|2022年9月21日)
──『LANDSCAPE』でBOØWYの「B・BLUE」をオールドジャズ風にカバーすること自体が選曲を含めてニューウェイヴだと思いますし、『Brown, White & Black』というジャズミュージシャンには決して作り得ないフェイクジャズをテーマにしたアルバムを作り上げてしまうのがKERAさんのソロの真骨頂ですよね。
KERA:作れて良かったですよ、とくにその2作は、本当に。ソロは手っ取り早く自分の好きなようにやれる。やろうと決めたら誰も反対する人はいない(笑)。もちろん協力してくれるミュージシャンありきなんだけど、それも「こっちの土俵へ上がってきてよ」って誘い方だから極めて自由度が高い。そして、音楽っていうのは、これくらい何をやってもいいものなんだっていうのを提示できる場でもある。
──「やりたくないことは絶対にやらない。やりたくないことしか絶対にやらない」という信条を貫いてきたKERAさんの本質が如実に出るのがソロユニットのライブなのかなと思うのですが。
KERA:そうですね。ソロだとナマの自分も出せる。たとえば『LANDSCAPE』の収録曲はほとんどが自分のことを歌った曲です。歌詞の面でコーティングされてない楽曲を多く収めた。ニューウェイヴ以外の非ロック的な面もソロなら出せる。ジャズや唱歌やフォークやテクノや。そういうのはソロやNo Lie-Senseならやれるけど、有頂天やBroken Flowersではなかなかできない。ソロは縦ノリの曲ばかりではないし、座っていても臨場感は損なわないとの判断で、6月のライブは久しぶりに椅子席もある形にしたんです。















