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INTERVIEW

トップインタビューKERA - 有頂天、ソロユニット、Broken Flowersという3本のライブで俯瞰できる音楽活動の現在地

有頂天、ソロユニット、Broken Flowersという3本のライブで俯瞰できる音楽活動の現在地

2026.05.18

有頂天の再結成を頑なに拒み続けた理由

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──一方、有頂天は今年2月に9作目となるアルバム『コボレナイ』をリリースし、来たる5月19日に新宿ロフトでそのレコ発を記念したワンマンライブを開催していただきます。2013年の『ミューヂック・アワー』では「有頂天セッション」でしたが、翌年の再結成以降、充実した活動を11年にわたり続けてこれたのではないかと思うのですが。

KERA:再結成するまでは、かつてのファンはもとより、当時を知らない若い人たちからも有頂天再結成の要望が多くありました。全部突っぱねていたんです。終いには頭にきてました。「同窓会に時間を使うつもりはない」とさんざん言ってるのに、あまりに執拗に言ってくるから(笑)。当時はシンセサイザーズでも有頂天の曲をやってたし、意固地になってた。
 ところが50歳のとき、2013年のロフト4daysで「有頂天セッション」をやったのがきっかけで、考え方が変わった。我ながら単純なものです(笑)。実際にメンバーと音を出すとシンセサイザーズとは全然違うんですよ。ジンなんて何十年ぶりにドラムを叩いたと思うんだけど、やっぱり有頂天の曲は有頂天でやるべきだと。「わ、本物だ!」と感じた(笑)。お客さんの熱狂ぶりも圧倒されるぐらいに凄かったしね。あのライブがなかったら再結成もなかったでしょう。

──「有頂天セッション」をやる前のインタビューで、「メンバーから『新しいアルバムを作ろう』と提案されれば再結成しようかと言うと思う」とKERAさんは話していましたね。

KERA:ライブの後、メンバーには「新しいことができるのならやってみたい」という意志を伝えたんですよ。そしたらみんな同意してくれた。じゃあやってみようかってことになったんです。
 それと、かつて僕が有頂天を酷い辞め方した負い目も、少しはあってね。三浦ほど酷くはないけど(笑)。『でっかち』(1990年11月発表)の制作を始めようというときに「次のアルバムで脱退したい」と告げたんです。急に辞められたらメンバーやスタッフは困るだろうな、とは思ったんです。とは言えさまざまな意味で限界を感じていたし、口に出せないわだかまりもあった。ニューウェイヴ的な音楽をやることに限界も感じていた。表層的で浮かれた当時のバンドブームに対しても辟易としていた。後に渋谷系と呼ばれる人たちの音楽が出始めてきていて、彼らのやっていることのほうがずっと先鋭的に感じた。ことにビッグバンドを取り入れたオリジナル・ラブのファーストと、野宮真貴の参加で新体勢となったピチカート・ファイヴの戦略的な動き方を眺める中で、有頂天を続けていく未来に展望を持ち得なかったんです。大江慎也さんの脱退後も花田裕之さんがボーカルをとって継続したルースターズの例も記憶に新しく、僕が脱退してもバンドを続けてほしい気持ちがあったんだけど、勝手な思惑ですよね。結局は解散することになってしまった。
 別に再結成したからといって落とし前をつけたことにはならないだろうけど、どこかでちゃんと謝りたいと思っていた。そんな気持ちも手伝って再結成をしたんです。

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▲有頂天『​でっかち』(東芝EMI|1990年11月14日)​

──再結成の翌年にはミニアルバム『lost and found』(2015年6月17日発表)をリリースし、次の年には26年ぶりのフルアルバムにして2枚組の大作『カフカズ・ロック / ニーチェズ・ポップ』(2016年12月14日発表)を矢継ぎ早にリリースしたのですから、当初からバンドがすごぶる良い状態だったと言えますよね。

KERA:最初の2、3年は再結成してバンドをやれてることが純粋に楽しかったし、メンバー全員同じ気持ちだったと思います。楽しくて仕方なかった。その愉楽が活力としてフィードバックして、上手く循環してる感じでしたね。
 ライブも今日までコンスタントに続けられて有難い限りです。昔の曲を歌うことにも、それなりの意義と楽しさを感じられるようになりました。オーディエンスが、かつての有頂天を聴いて体感した思いや費やした時間を、今の僕らの演奏を通じて追体験するということが、決して無価値ではないと思えるようになった。
 正直、昔の曲よりも新曲のほうがいいよといくら提示したところで、彼らが過去の曲と共に過ごしてた時間の重みには勝てっこないんですよ。だからそこでムキになるのではなく、新しい曲を繰り返し聴いてもらうことで今なりの体験を積み重ねてもらって、かつての楽曲たちと同じように、やがて価値を見いだしてくれればいいのかなと思います。再結成からの11年は、決して高密度とは言えぬペースではありましたが、有頂天にとって充実していたと思いますよ。

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▲有頂天『lost and found』(ULTRA-VYBE|2015年6月17日)​

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​▲有頂天『カフカズ・ロック / ​ニーチェズ・ポップ』(ULTRA-VYBE|2016年12月14日)​

──しかも『コボレナイ』という充実作がコロナ禍を挟みつつも思いのほか早くリリースされるに至って。

KERA:いや、思いのほか遅いでしょう(笑)。『コボレナイ』は2023年から作っていたんです。ようやく昨年末に完パケて今年2月にリリースできたんですよ。

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LIVE INFOライブ情報

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SHINJUKU LOFT 50th ANNIVERSARY
有頂天ワンマンライブ『What we called NEW WAVE』
【出演】有頂天
【日程】2026年5月19日(火)
【時間】開場18:15 / 開演19:00
【料金】前売¥6,000 / 当日¥6,500(共にドリンク代別¥600)
*チケットは、ぴあ(Pコード:322-964)、ローソン(Lコード:76362)、イープラスで発売中
【会場・問い合わせ】新宿LOFT 03-5272-0382
 

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KERA solo unit ワンマンライブ
【出演】KERA(Vo.)/ 伏見蛍(G.) / 坂出雅海(B.)/ 佐藤真也(P. Key.)/ 佐久間亮(Ds.)/ 岩出拓十郎(G.)
【ゲスト】カジヒデキ
【日程】2026年6月18日(木)
【時間】開場18:45 / 開演19:30
【料金】前売自由席¥6,800・立見¥4,800 / 当日立見¥5,800(共にドリンク代別¥600)
*チケットは、ぴあ(Pコード:326-168)、ローソン(Lコード:73940)、イープラス新宿LOFT店頭で発売中(新宿LOFT店頭は立ち見チケットのみ)
【会場・問い合わせ】新宿LOFT 03-5272-0382
 

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KERA & Broken Flowers ワンマンライブ 2026 summer
【出演】KERA & Broken Flowers:KERA(Vo.)/ 田渕ひさ子(G.)/ かわいしのぶ(B.)/ ハラナツコ(Sax. Accordion. Flute)/ REIKO(Ds.)/ 杉山ケイティ(Key.)
【日程】2026年7月15日(水)
【時間】開場18:15 / 開演19:00
【料金】前売¥6,000 / 当日¥6,500(共にドリンク代別¥600)
*チケットは、ぴあ(Pコード:328-277)、ローソン(Lコード:72898)、イープラス新宿LOFT店頭で5月23日(土)午前10時より発売
【会場・問い合わせ】新宿LOFT 03-5272-0382
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