2人にとっての「東京」
──ヤスエさんの1stアルバム『東京』(※12月24日発売)は表題曲の「東京」が要の作品となっていますが、PEDROにも「東京」という曲がありますよね。
ヤスエ:あの曲は2014年より前からあるんです。もともと弾き語りをやるつもりなかったんですけど、いろんな人に教えてもらいながらやってて。ある音楽家の女の子に、「ヤスエさんの曲、全部単調でだるいです」みたいに言われたことがあるんですよ。「あ、そうなんだ。俺の曲はだるいんだ。違う曲やろう」って、そうやって成長させてもらってきたんですよね。「ヤスエさん、もっとちゃんと曲作った方がいいですよ」って言われて、「ああ、俺って曲作れるんだ」みたいな。あの曲があったからいろんな人とも出会ったし。っていう出発点の曲。昔付き合ってた彼女といろいろあった中ですごい病んで、もうぐちゃぐちゃの時に作った曲ですね。
アユニ:私が書いた「東京」は、地方から上京してきた一人の物語みたいな感じなんですけど、ヤスエさんの書く作品ってやっぱ対人がずっといるなって思います。今の話を聞くと、人と繋がっていく中で生まれた物語だったり、観る作品も人対人の作品を観てたり、やっぱ人が好きって気持ちが溢れてるんだなって思いました。自分はようやく最近、半年前に出した新譜で「君」っていう言葉をちゃんと使い始めたんですよ。その前にも使ってたんですけど、意気込んだ時しか使えなくて。それこそアイドルの時は「大勢の人のために歌わなきゃ」みたいな使命感がずっとあって。でも、今はバンドマンとして自分で曲を作って表現しているので、自分の人生を曲にしていく上で「君」っていう本当に伝えたい相手に向けた曲があっても、聴いてくれる人それぞれに届くような表現になっていればいいのかなと思うようになったばかりで。
ヤスエ:ああ、確かにそうかもしれない。誰かと対峙していて、憑依することを常にイメージしてる。例えば、今も上から自分を見るみたいなことをやったり、今歩いてるあの人の目線だったら世界がどう見えてるんだろう? ってめっちゃ考える時があるんですよ。「孤独と海」って曲に関してはまさに憑依させてて、「あの子はどういう気持ちで普段生活してんだろうな」みたいなのを考えることが多いですね。結構遊びに近いです。
アユニ:それやりたいです。でも、やれないんですよ。
ヤスエ:絶対そういうの好きなタイプだと思う。
アユニ:いわゆる、自己啓発本の用語で言うと「メタ認知」というか、客観視が本当にできなくて。だからそれができる人はめちゃくちゃ格好いいなって思いますね。もう、この自分に精一杯で。余裕がないですね。
ヤスエ:それはドキュメンタリー見てても思う(笑)。
アユニ:だからそこが今一番の悩みかもしれないです。感情に流されやすいのかな。まだそこは鍛えられてないです。
ヤスエ:でも、歳とったら自然と身につくと思う。だから今は今の悩みのままでいいんだなって気がしてて。自分が26歳の時なんか何も分かってなかったし。すごくいい言葉があって、「知ることを知る、知らないことを知る」っていう。みんな、生きててそれが本当に価値があるものなのに、何も気づかないまま生活していくじゃん。だけど、「これが私が知ってることなんだ」って気づいた瞬間にそれが一気に強みになるから。知らないこともいつか知るから。それが歳とるってことなんだと思うんですよ。だから、いつか解決する時が来ます。
アユニ:めっちゃ刺さります。だからこそずっと引きこもってちゃダメだなって。能動的に動いてちゃんと経験して、ちゃんと傷ついて、ちゃんと自分の容量を分かっていこうっていうのはすごい最近思いました。
ヤスエ:まず、U.F.O.CLUBに行くことだね(笑)。
アユニ:連れて行ってください(笑)。
ヤスエ:じゃあ、今度みんなで行こう(笑)。
















