ベースと一緒に寝てた
──ヤスエさんはPEDROの曲やアユニさんのステージにはどういう印象をお持ちですか?
ヤスエ:BiSHからどんなステージをやってたっていうのは知ってたんですけど、なぜベースを弾き始めたのかと思って調べてみたら、当時の事務所の社長に言われたからだって。なのに「この人ってベーシストなんだな」っていう風になってるんですよ。演奏もパフォーマンスも全部。一体何があったのか聞きたくて、さっき撮影の間も話していたのですが、ずっと我慢してたんですよ(笑)。何があったんですか? ベースと寝てます? ぐらい楽器が吸い付いていて、バンドを聴いてきたわけじゃないのに、バンドマンよりバンド然としてて。僕は全バンドマンにPEDROの音楽を聴いてほしい。
アユニ:いやいやいやいや。でも、純粋にめっちゃ好きになりました。
ヤスエ:面白かった?
アユニ:面白かったですね。16歳のときにBiSHになるために上京して、自分には何もないなみたいな状態がずっとコンプレックスだったのもありました。もともとすごい好奇心旺盛で、一途に惚れ込んじゃうっていう性格もあったので、初めて触るもんだったんでとにかくときめいて、本当に物理的にベースと一緒に寝てました。ベース弾きながらそのまま寝落ちして、朝起きてそのままベース弾くみたいな。
ヤスエ:初めてもらったおもちゃみたいな感じで、「わあっ」って、そこから生まれていった感じなんだね。
アユニ:そうですね。あと、ストレス(笑)。BiSHの時はメンバー同士、全然仲悪いとかじゃないんですけど、やっぱ戦友の感覚があるからこそライバル心はずっとあったり、365日一緒にいるからこそ、一人で発散したい気持ちがあったりとか。そういうものを全部ベースとかPEDROに充ててたんで、気持ちよくて仕方なかったですね。でも、やっぱベースをこんなに好きになったのも、ひさ子さんの存在はめちゃくちゃ大きいです。「こんな格好いい音楽があるんだ」、「こんな格好いい生き方があるんだ」、「自分もそうなりたいな」って思ったりとか、意欲はめちゃくちゃ湧きました。ただただ好きだったって感じです。
──アイドルの時は活動の大前提としてファンのためにという部分が大きかったと思うのですが、今PEDROだけになって‟表現”という部分とのバランスや意識の変化などはありましたか?
アユニ:本当に申し訳ないんですけど、アイドルの時から自分のためだけにやってきてて。それを面白がって観てくれる方々だったり、気にかけてくれる方々、好きでいてくれる人たちには本当に感謝しかないです。自分が何か変わりたい、昔の嫌いな自分より変わりたいから、何か新しいことをしたいから、みたいな気持ちの方が強いですね。その作業をしてく中でステージ上で表現してるときに、観てくれてる人たちが自分の状況とか環境にリンクして、「あ、私たちのためにだ」ってたまたま思ってもらってるだけで。その気持ちは今も変わらないですね。自分が忘れたくない言葉をただ書き残してるだけだったり、自分が抱いてる意地だったり情熱を音楽にしてるっていうのは変わらず。でも、今の方が世のため人のためって感覚が大きくなりました。
ヤスエ:自分も、音源出したあとに「この曲の意味はこうですか?」とか言われる時もあったりするけど、「それはもうその人の解釈です」って思ってる。「もうこっちは投げるからあとは任しちゃえ」みたいなのがあるかも。ライブの時は完全に自分の中の100%を出すから、もうあとはね。心臓を手で掴みにいくっていう感覚でライブやってる時があって。それが掴めると結構お客さんの反応が分かりやすく変わるから、めっちゃ意識してます。そうすると、それにリンクする感じでお客さんが泣いてたりっていうのが手に取るように分かる時がある。だから結構、自分本位だけど。
















