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INTERVIEW

トップインタビューヤスエでんじゃらすおじさん×アユニ・D(PEDRO)- YDO×新宿LOFT×下北沢SHELTER共同企画『環ル日々』ファイナル渋谷CLUB QUATTRO公演に向けて語る2人の「東京」、「孤独」

YDO×新宿LOFT×下北沢SHELTER 共同企画『環ル日々』ファイナル渋谷CLUB QUATTRO公演に向けて語る2人の「東京」、「孤独」

2025.12.03

音楽というコミュニケーションツール

ヤスエ:自分はすごいパーティーピーポーなんですけど、どうしても歌が暗いんですよ。「ああ、俺は孤独を感じてるんだな」って思うし、自分の認識としてもあるんですけど、そういうのあります?

アユニ:あります、あります。もちろん家族がいたり、身近な人がいてくれたりしても結局人間は孤独、って私は思っていて。でもその孤独なのを理解してるからこそ人と生活を営んだりとか、音楽っていうコミュニケーションツールを使って自己開示していくとか。だから、自分がパリピな理由もきっとそこにあるんじゃないかな、みたいな。孤独を知ってるからこそ人と繋がる楽しさとか、喜びが分かるんだろうなって。

ヤスエ:音楽が繋がる手段でしかないっていうのはあるし、めっちゃPEDROにそれを感じる。この方法しかないとは思ってないけど、このコミュニケーションが一番人と繋がるためのツールなんだなっていうのを曲とかバンドへの姿勢からめっちゃ感じるんですよ。だから多分バンドなんだなって。

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──ヤスエさんはPEDROのYouTubeのドキュメンタリーは全部観られているそうですね。

ヤスエ:そう。しかも当時にリアルタイムで。「この人ってすごい“人間”なんだ」って思って観てました。俺、人が好きなんですよ。だから人に興味を持てないとちゃんとバンド好きになれないんですよね。

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──五味さんとの対談の時にも、「人が好きだけど興味がない」っておっしゃっていましたよね。アユニさんは根本的に人が好きですか?

アユニ:人めっちゃ好きですね。でも、人に興味ないです(一同笑)。だからめっちゃ分かります。

ヤスエ:だからなんか似てる気がするんだよな(笑)。すげえバンドマンなんだよな。

アユニ:いやいやいやいや。でも、全然興味ない人でもちゃんと踏み込んで能動的にその人を知ってくと好きになっちゃいますね。だから結局、自分の動き次第だなと思うんですけど。でも一人の時間もめっちゃ好きです。

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──インタビューやドキュメンタリーの中で、周りの人と話してみたら意外と優しいんだっていうことに気づいたとお話しされていましたよね。

アユニ:そうですね。皆さんが求めてるものになれるし、自分を作って強い気持ちになれますし、めちゃくちゃ嘘つきでナルシストなんで、それをやめていこうと思って。やっぱ自然体に勝るものはないなってPEDROの活動を通して気づかせてもらう中で、ちゃんと身近な人に本音を話したり、もう嘘はつかないで、ちゃんと格好つけずにいこうと思ってこの半年は挑んできたんです。それでできた新曲たちも今回出した新譜みたいな感じで。やっぱコミュニケーションは欠かせないなって思いました。

「完璧主義者は成功しない」

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ヤスエ:俺は、昔は音源出そうと思わなかったんですよ。今回のキッカケがなかったら多分出してない。

アユニ:何で出さなかったんですか?

ヤスエ:これもうめっちゃ大事なんだけど、「完璧主義者は成功しない」っていう。どっかで妥協しなきゃいけないんだっていうことをこの10年で学んだ気がします。僕は結構、後から考えると完璧主義者で、作品とかに妥協ができない人間だったから音源出せなかったんですよ。東高円寺にU.F.O.CLUBっていうのがあって。地下なんですけど、降りると廊下が緑で、入るとフロアが真っ赤なんですよ。キャバレーみたいになってて、坂本慎太郎さんが壁の内装の絵を描いてて。

アユニ:そうなんですね。

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ヤスエ:そこで20歳の時に、僕、兵庫県西宮出身なんですけど、西宮の先輩がライブ来るって言って、パって扉開けたら全員がゴーゴーダンスっていう60~70年代とかの踊りを踊ってて、もう異世界だったんですよ。すごくカルチャーショックを受けた。その敬愛するライブハウスから「1月7日にライブハウスのスケジュールが空いちゃったから何かやらない?」って突然相談が来たんですよ。「じゃあやりますよ」って言って。「やるなら音源作ろう」って1月2日にレコーディングして、1月7日に出したんですよ(笑)。それが「闇光(やっこう)」って曲。もうとにかく一旦出そうって出したんですけど、それがキッカケで音楽を聴いてくれて出会った人がめっちゃいたんですよ。その時、「これは俺が完璧主義者だったんだな」って気づいて、そこから音源を出すようになった。だから今の音源もすごい歪なところがあるんですけど、もうそれにこだわらないで出そうと思って。

アユニ:そうなんですね。

ヤスエ:この曲の歌詞が本当に書けなくて悩んでる時に、1月2日にレコーディングなんだけど、1月1日にNetflixで『First Love 初恋』っていうドラマを観てたら、「かはたれどきって言うんですって この時間帯のこと」「夜と昼 闇と光の はざま」って満島ひかりが佐藤健に話すセリフがあって、それをすぐスクショして。でも、Netflixってスクショすると画像が暗いんですよ(笑)。「闇と光の はざま」っていうセリフだけがスクショに残ってて、「かはたれどき」を歌詞に入れたっていう。運命だなと思って、曲を作家の人(寒竹ゆり)に一方的にメールで送ったんですよ(笑)。

アユニ:めっちゃいいですね。私も今回シングル出したあとに、『チ。-地球の運動について-』を描いてる漫画家の魚豊さんの他の作品を読んでいて、自分の書いた新曲にめっちゃリンクしてて、一方的に手紙書いたんですけど送ってないです。勇気なくて。これ送るべきですね。

ヤスエ:送るべき。だから同じことやってんだな(笑)。

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ヤスエでんじゃらすおじさん
1st album『東京』

発売日:2025年12月24日(水)
フォーマット:CD / digital
価格:2,700円
レーベル:BAKERU.inc

【収録曲】
1. 終末論
2. 異世界
3. 東京
4. 婚前旅行
5. 結燦々
6. 孤独と海
7. 初恋
8. 春獄
9. 泡
10. 闇光
11. 湯気
12. 劇場

「東京で出逢い、別れた全ての人へ。」
多くの人が世界中から集まってくる東京。
大都会の喧騒とは裏腹に、街の中に潜む小さな部屋の小さな呼吸。誰にも気付かれないような誰かの呼吸に寄り添うような曲になれれば、と思い、曲を紡いでおります。
東京で見た夢、東京で味わった挫折、東京で得た出逢い、東京で来た別れ、ヤスエでんじゃらすおじさんというフィルターで“東京”で見てきた世界を、歌という媒体に混ぜ、吐き出した至極の12曲。
1曲1曲が命を持って躍動し、まるで12本の映画を見ているような感覚に陥る大作。
今日も誰かの心に優しく寄り添い、けど、心の臓を激しく掴み揺さぶる、聞き終えた時にはえも言われぬ感情に涙している危険なアルバムとなっております。

LIVE INFOライブ情報

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ヤスエでんじゃらすおじさん×新宿LOFT×下北沢SHELTER 共同企画『環ル日々』
【日程】2025年12月11日(木)
【時間】開場18:00 / 開演19:00
【会場】渋谷CLUB QUATTRO
【チケット】前売¥4,500
*ドリンク代別
イープラスでチケット発売中
*未就学児童入場不可 / 小学生以上チケット必要
*入場順:① YDO手売りチケット ② e+プレオーダー ③ e+一般
【問い合わせ】HOTSTUFF PROMOTION 050-5211-6077(平日12:00~18:00)
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