世界初のトークライブハウス、ロフトプラスワンがオープン30周年を迎え、2025年11月3日(月・祝)にZepp Shinjuku (TOKYO) で『ロフトプラスワン30周年記念公演「歌舞伎町プラスワンまつり in Zepp新宿」』と題した特別興行を開催する。
出演は、大槻ケンヂ、大森靖子、純烈、太陽とシスコムーン、チャラン・ポ・ランタン、ニューロティカ、メロン記念日、ロマンポルシェ。の全8組。ロフトプラスワンでの数々のトークライブに出演してきた面々が、この日はトークではなく渾身のライブ・パフォーマンスを各自披露する。
この『歌舞伎町プラスワンまつり in Zepp新宿』を盛り上げるべく、ロフトプラスワン史上最大の功労者と言っても過言ではない吉田豪(プロインタビュアー&プロ書評家)と掟ポルシェ(ロマンポルシェ。)による公開対談がさる10月15日(水)にロフトプラスワンで緊急開催。「ロフトプラスワンとサブカルチャーの30年」をテーマに縦横無尽に語り尽くした。
本稿は当日の二人の対談をまとめたものだが、記事として残すことが大いに憚れる内容が満載のリアルトークはぜひ配信のアーカイブでご覧いただきたい。(構成:椎名宗之 / 写真:ババショウタ)
掟さんが一番辛かったプラスワンでのDJイベント
豪:(場内を見渡しながら)お客さん、どうにか二桁いましたね。楽屋にいたら会場が無の空気感だったからどうしようかと思って。
掟:こんな急遽決まったイベントで、「ロフトプラスワンとサブカルチャーの30年」というお題で何するの?
豪:要はZepp Shinjukuでやるイベントのパブなんでしょ?
掟:パブだけのためにここへ来たお客さんはお金を払わせられてるの?(笑)
豪:そのぶんボクらがサービスするわけですよ。
掟:肉体を使ったサービス?
豪:絶対に違いますよ(笑)。
掟:俺は最近よくおじさんとキスしてますしね。DJの一環でちくわポッキーゲームというコンテンツがありまして、俺が咥えたちくわをおじさんにも咥えてもらって、俺がもの凄い勢いでちくわを食ってディープキスをするという。そこまでが一連の流れなんですよ。今日もそれで行こうかなと(笑)。
豪:DJではないけれども掟さんにできるサービスということで。
掟:プラスワンでもDJやったことがありますよ。
豪:一緒にやったよね。掟さんは覚えてなかったでしょ?
掟:全然覚えてない。2014年のイベントらしいけど、そんなに客いなかった?
豪:一桁だったよ。
掟:DJシーザーやサオリリスが出て……プログレのお客さん向け?
豪:それはJ・A・シーザーだよ(笑)。
掟:シーザー武志でもない?
豪:シュートボクシングの創始者がDJやるなら聴きたいよ(笑)。
掟:これは記憶にないなぁ。
豪:ボクははっきり覚えてるよ。客があまりにいなさすぎて店側が不憫に思ったのか、ボクらの持ち時間としてDJ以外にトークも1時間くらいやって、それをUstreamで流したの。誰も見てないのはかわいそうだってことで。
掟:その流れで思い出したわ、一番辛かったプラスワンでのDJイベント。お笑い芸人のDJイベントになぜか俺が呼ばれて(やついいちろう生誕祭)。エレキコミックのDJの後に俺がやって、その後に元ラーメンズの小林賢太郎さんがDJをやるっていう。2007年くらいだったかな。お笑い好きのお客さんばかりだったから何をやっても打てど響かずで。
豪:明らかに掟さんに興味を持っていない人たち?
掟:当時はまだお客さんに絡むDJスタイルじゃなくて、自分で踊って誤魔化すスタイルだったこともあるけど、そんなものは興味ないわけじゃないですか。お笑いのお客さんはお笑い以外の人に厳しいんで。その空気を読んでヤバいと思ったのか、エレキコミックの後輩芸人の方々がアシストに現れて、「ほらほら、掟さんが面白いことやってるよ!」とかお客さんに必死にアピールするんですよ。「これから掟さんが面白い顔するよ! するよ! するよ! んー、しなかった!」なんて言われて、余計スベった感じに(笑)。
豪:ただのかわいがりじゃないですか(笑)。
掟:あれはキツかった……。30分が凄く長く感じた。あと、小林賢太郎さんのDJがエイフェックス・ツインからのアンダーワールドとか、テクノの大ネタ有名曲しかかけないという恐ろしいことをやっていて。『Didgeridoo』から『REZ』に繋ぐとか、少しでもテクノ好きだったら恥ずかしくて絶対できないと当時は思ったんだけど、お客さんは小林さんのやることならなんでも全肯定! みたいな雰囲気でメチャクチャ盛り上がってて。そりゃ俺が何やろうが響くわけないっていう。
豪:今はやらなくなったけど、プラスワンはかつて深夜にDJイベントをけっこうやってたよね。
掟:夜遊びするのがまだ当たり前に格好いい時代だったし、みんな寝る間を惜しんで遊んでたね。
豪:クラブカルチャーの人たちの平均年齢が若かったのもあるだろうし。DJも客も若かった。
掟:トークイベントも深夜にやってたからね。『オレ達、モー娘。の味方ッス!』とかモーヲタのトークライブを朝までやってたり。
豪:考えてみればプラスワンの深夜イベントも減ったね。
掟:“サブカルチャーの聖地”と呼ばれたプラスワンだけど、そもそもサブカルチャーっていうのはわれわれ今現在50代、40代くらいの人がずっと中心の客層だったはずで、オーナーの平野(悠)さんが出したプラスワンの本(『TALK is LOFT 新宿ロフトプラスワン事件簿』)もいろんな出版社に原稿を持ち込んだけど出してもらえなかったと。今やサブカルチャーを売りにできる時代じゃないし、その本が出た2017年の時点でサブカルはすでに衰退してるみたいな話を平野さんがしてたね。















