俺は努力しなくてもモテるし、「俺に惚れてるな」と思うタイプだから(アツシ)
──あっちゃんは老後、ロティカ信者を集めたアパートやりたいんですよね?
アツシ:そうそう。嫁に行けない人を集めて、みんなで住んで。俺が朝、みんなを集めてニューロティカの歌詞を朗読するの。「アイ アイ アイキタ これが合い言葉」って(笑)。
睦:狂ってる(笑)。いま、うちでギター弾いてる池ポンが、昔、ロティカのローディーをやってて。一番モテてた時期っていうか、ライブが終わった後にバンギャがいっぱいいる時代を知ってるから、「どうだったのよ?」って聞いたら、「いや、俺は麻雀卓を持って行くだけだったから」って。
アツシ:そうそう。昔のロフトはこっちで酒呑んでて、こっちで麻雀やってて。急に演奏始まったり、めちゃくちゃだったの。で、よく話すんだけど、2時になると事務所のスタッフが帰るから、「おい、呼んで来い」って、上の駐車場にいる100人くらいの女の子を連れてきて。狭い階段で、「俺とジャッキーにチューしないと入れない」ってチューさせて。俺とジャッキーは顔真っ赤にして呑んでた(笑)。あとあと、「ローズガーデンやろうぜ」って言って、男子は全員パンイチで、女の子は全員ブラジャーとパンツで呑むんだけど。やらしいことは一切ナシで、普通に話してるだけ。
睦:あっはっは。ローズガーデンってのは、ブラジャーが花柄だからとか、そういう理由?
アツシ:いや、『サンクチュアリ』かなんかの漫画で、大人の秘密パーティーをローズガーデンって呼んでたの(笑)。でも、ラットボーンズのライブは、ローズガーデンだよね?
睦:そうッスねぇ。ただ俺、この前、逗子の海岸行って。若い女の子の水着姿とか見るんだけど、可愛い子どものケツにしか見えなくて。やっぱりちょっと垂れ込んだケツとか、人生が滲み出てないとなんとも思わなくなっちゃった。ウチらのダンサーの中でも、鍛えてる子はキュッとしてカッコいいんだけど。そういうのは見慣れちゃって、ケツを見る楽しみもちょっとなくなっちゃったかな?
アツシ:大丈夫、その後にもう一度革命が起きるから。それで自分が興奮しないなら、どうしたら興奮するか? って考えるの。そこはもう酸いも甘いも知ってるわけだから、自分を興奮させるために革命を起こすの。やっぱり人生は興奮しないと。
睦:そうか、おっしゃる通りです(笑)。
──あっちゃんは「最近、モテる」とか自慢したり、いまだにモテるをモチベーションにできているのはすごいですよね(笑)。
アツシ:そう、武道館やってからモテだした。俺が若い女と一緒にいるのを目撃してるんでしょう?
睦:はい、見ました。
アツシ:もう、睦くんが喜んじゃって。「聞いて聞いて! この間、あっちゃんが若い女の子と一緒にいるの見ちゃって!」って、スタジオで大きい声でみんなに発表してるの(笑)。
睦:なんですかね? 年取ってようが若かろうが、モテる人はモテるじゃないですか? やっぱり、おかしな人も一本筋を通してずっと行くと、人が寄ってくるのかな? と。そこに男も女もいて、同じ匂いのする女が寄ってくるんだろうなって。
アツシ:俺、おかしな女の子大好きだからね(笑)。
睦:だとしたらモテますよ。それは純粋とか、そういうものと一緒だから。「あの人はお調子者だから」って表面的に見られてる人も、本筋まで感じた人は寄ってきますよ。
──睦さんも絶対モテると思いますよ。こんな人は他にいないですから、「この人じゃなきゃダメ」って女の人が絶対いると思うんです。万人にモテるタイプではないですけど、そういう人が100人に1人は必ずいると思います。
睦:そうッスね。だからそれを見つけなきゃいけないし、その努力もしてますよ。モテなくなったらお終いなんていうのも変だけど、前まではちゃんと女を意識しながらやってて。最近は意識してないかな? と思いながらも、それを武器にして。「俺、女は意識してないからなぁ」って、自分から言う口説き方に変わってきてるだけですから。
アツシ:これが妙技ですよ、みなさん(笑)。俺はモテる努力しなくても寄ってくるし、スナックに行っても「俺に惚れてるな」って思って。「こりゃ帰れないな。もう1杯呑んじゃおうかな?」ってタイプだから。
睦:(メモを取るポーズをしながら)なるほど……。
──なにをメモることがあったんですか? ただのおめでたい人ですよ!?(笑)
睦:いや、でもこういう話をしてくれる人が、ほぼほぼいなくなっちゃってるから。バンドじゃなくても、昔はすごい面白かった人がすっかり丸くなっちゃったりして。スナック行っても、「宇宙人に捕まった」とかいって、「記憶がなくなっちゃうんだから」なんて適当な話してるようなフザケた人がいっぱいいたのに、みんないなくなっちゃって。あっちゃんみたいな語り部を残していかなきゃいけないなって勝手に思ってるところがあって。
アツシ:誰かと話してた時、「あっちゃん、お金になるから一人でギターを持って全国回りなよ」って言われて。「俺、ギター弾けないから」って言ったら、「いや、語り部でいいんだよ」って言われて。一人で語り部でツアー回ろうかな? って。
睦:最高ですよ。カセットをピッとやって、リズムに乗っけてトークして、「ラップだ」って言えばいい。で、第二部はおばさん集めて、ローズガーデンやって。
アツシ:あははは、ローズガーデン復活だ!
──ローズガーデンはともかくとして、この二組の対バンで、あの頃のライブハウスの雰囲気とか匂いを再現して欲しいですけどね。
睦:考えてみたら、ロティカより上の世代からロックシーンが来て、バンドブームがあって、俺ら世代でHi-STANDARDとかが出てくるんだけど。楽しいところって全部、上の世代のものだったのかな? って感じることがあるんです。俺らの時代はバブルが弾けて、“失われた30年”っていうけど、俺らの時代じゃねぇか! って。なんにも回ってきてない!! あの頃って、ディスコ行く人もいたり、夜遊びするにもいろんなジャンルがあったと思うんだけど。その中でニューロティカのライブにローズガーデンやりに来る女の子ってすごいな! って。
アツシ:もっとハイグレードな遊びがいっぱいあるのにね、下着になってバンドマンと呑むっていう一番チープな原始的な遊びしちゃって(笑)。俺はその時代、打ち上げで女の子連れて帰るんだけど、全然覚えてなくて。起きてパッと天井見ると、「あれ、どこだろう?」って一瞬分からなくなるし、横には知らない子が寝てるし。ツアー中は起きて、天井見るのが恐怖だった。
睦:ウチらもそういう伝説は聞いてたから真似するんだけど。ナンパのほうがメインになってきて、女に酒飲ませて、俺も酒飲んでライブやるから、本番はベロベロで。機材壊したりして、「あいつはアブねぇ」って言われたりして。それでも40歳くらいまでは諦めてなかったんだけど、ホテルのテレビ投げたり、ユニットバスの枠を壊したり、廊下で寝てたりしてたら、イベントには呼ばれなくなるし、体も保たなくなっちゃって。それで考え直して、酒も辞めるんだけど。そういう悪しき習慣を生んだ、先輩たちがいけないっちゃいけないですけど。それが原動力でここまで来たから、それも必要だったのかなって。