シンプルでストレートな楽しさとか美しさ、気持ち良さがライブで伝われば
──『Dessssert』の曲を新宿LOFTで披露した時、手応えみたいなものはいかがでした?
河西:ぶっちゃけ、あの日のお客さんのほとんどからしたら全曲、新曲みたいなもので(笑)。活動をバリバリやってた時代もCDは作ってましたけどライブハウスでしか売ってなかったから、事前にOLD JOEの曲を聴いてライブに来るのはほぼ不可能で。言ってしまえば、知らない曲でも盛り上がってたわけですよね。それこそ今どきのチャートに載っかるような音楽やバンドのお客さんって音源を聴き込んでから来る人が多いらしいんですけど、それは全然関係ないっていうのもあの日、思ったし。
カメヤマ:曲がどうと言うより、単純に音楽を楽しんでもらえれば良いんだよね。
河西:金払って来てるのはあなたたちなんだから、自分たちでブチ上がらないともったいないよ、っていうところだから。
──仰る通りです。LOFTのライブでは河西さんもギターを持ったりしてましたよね?
河西:はい。ちらほら弾いたり、弾かなかったりで。OLD JOEのごくごく初期は手ぶらで(ボーカルだけ)やってましたけど、東京に出てきてライブをやるようになってからは曲によって、でしたね。OLD JOEだとギブソンのSGを使ってるんですけど、最近は人がくれたギターを使ったりして、固定のギターがあまりなくてかなり一夫多妻制みたいな感じです(笑)。
──そして打ち上げはどうなりました?
河西:地元の友達がけっこうライブに来てくれて、けっこうそのままの数で打ち上げまで残ってくれて。普通にイベントみたいでした(笑)。昔からOLD JOEを知ってる友達も、解散してから出会った友達も来てくれて「OLD JOEってすごかったんだね」っていう話もできたし、嬉しかったですよね。あと僕が体感したことを一点だけ、精算して売上金を小さいカバンに全額入れて、その上に上着を着て。俺はピー万円を肌身離さず持ってるっていう謎の緊張感を持ってて(笑)。歌舞伎町を出歩くのも最小限にしようと思った時間でしたね、それはそれで面白かったけど。
──チケットがソールドアウトするようなバンドは自分たちで精算もしないし(笑)、そうそう味わえない経験ですよ。
河西:そうですよね(笑)、かなりオールドスクールな感じでした。家に帰ってからお金を並べて電卓を打ちながら、立て替えの金額とかも計算して封筒に1人分ずつお金を入れて。翌日に湘南のショッピングモールの駐車場に集まって、皆で金を分け合うっていう。
カメヤマ:ギャングみたいな(笑)。
河西:あれは超、面白かったなぁ。『ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ』っていうギャングに憧れてる若者の映画のワンシーンみたいな雰囲気のテンション感でしたね。
──今、そういう経験をするのはすごく良いのでは!
河西:これでまともに大人をやれてるなと思うところもあるし、“俺たちは金じゃねぇ!”みたいなのも分かるしその気持ちもあるけど、直接的に自分たちの生活の糧になるということはすごく美しいことだから。やっぱり、定期的にOLD JOEをやることは意味があると思いましたね。
──話していて人間としても魅力的ですし、OLD JOEのファンになっちゃいますよ。今回の新宿LOFT公演もまた、同じように自分たちで?
河西:そうですね。今回はありがたいことに、LOFTの2日後に大阪での公演(10月28日@Music Club JANUS)も決まって。大阪は10年ぶりとかだしワンマンは初めてですけど、お客さんが充分来てくれることになって。関心を寄せてくれてるのがメチャクチャ嬉しいですし、LOFTでハメを外しすぎると翌日の移動が台無しになる可能性が高いな、と(笑)。
カメヤマ:前回、LOFTでは深夜3時ぐらいまで打ち上げをやってたけど、終電ぐらいまでで。大阪、車で行くからね。いろいろ楽しみだね!
河西:サーフトリップしまくってるサーファーの友達が、人の背丈より長いロングボードを乗っけるのでハイエースみたいな自家用車を持ってて。その友達に機材など含みでお世話になって。湘南界隈の友達はいろんなことができる人がいるから、日本からも独立できちゃうんじゃないかってぐらい(笑)頼もしい人がいっぱいいるもんね。それこそグッズのTシャツも友達デザインだし。
──最高な話です! では今回の新宿LOFT、そして大阪でのライブはどんな景色を見せてくれますか?
河西:どう頑張っても前回と同様にやるのは無理かなと思うけど、初めてのOLD JOEっていうお客さんも多いと思うし、本番まで意外に日がないけど、1人1個の楽器をデカい音で、こんなに削ぎ落としたシンプルでストレートな楽しさとか美しさ、気持ち良さみたいなところが伝われば。OLD JOEというバンドはそれ以上でもそれ以下でもないと俺は思うから、そこに向かって自分らがバンドの世界に入っていけたら良いなって思ってます。
カメヤマ:新宿LOFTで今年2回目ですけど、1回目も2回目も関係ないんでとにかく爆音でロックンロールを楽しんでください、っていうことしかないですね。
河西:そしてそこに毎回、同じものはないからね。
カメヤマ:お酒とかも楽しみながら、何なら飲んでから新宿LOFTに来ても良いしね。それぐらいの楽しみ方で楽しんで欲しいなと思いますね。
河西:固唾を飲んで見守るのがライブではないから、いろんな楽しみ方があって、歌いたければ歌えばいいし、叫びたかったら叫べばいい。それが隣の人の迷惑にならないものであれば何でも良いと思うから、どうしたら楽しいかっていうのは自分たちで考えてください、で(笑)。われわれも、それを見たいしね。
──SNSでの発信を見ると“この先はめっちゃ未定”ですし(一同笑)、行ける方は楽しみましょう! 前回のインタビューでは“コパ・アメリカ開催時に集う”って言ってたことを考えると…。
河西:今回は奇しくも5年ぶりでしたけどもう少し短いスパンでやれても良いかな、とも思うし。年に1回とかね、誰にとっても無理なくやれたらなと。今回もワンマンですけど、昼から夜までいろんな演者が出まくるのも面白いだろうし、次はやりようも含めて、考えたいですね。
カメヤマ:対バンとかもしたいし。
河西:ストイックなツーマンとかも、良いよね。