Rooftop ルーフトップ

REPORT

トップレポート【新宿LOFT歌舞伎町移転25周年記念レポート】酷暑の2024年夏を締めくくるに相応しい、真心ブラザーズと台風クラブによる至福の音とパフォーマンス

【新宿LOFT歌舞伎町移転25周年記念レポート】酷暑の2024年夏を締めくくるに相応しい、真心ブラザーズと台風クラブによる至福の音とパフォーマンス

2024.10.03

magokorotaifu.jpg

ドリンク片手に開演を待つお客さんで埋め尽くされた新宿LOFT、この日の公演はソールドアウト。19時のスタート予定から5分ほど回り、まず登場したのは台風クラブ。「ずる休み」からはじまり、大きく上がるお客さんの歓声。1曲終わって“こんばんは、京都の台風クラブです!”と挨拶して「火の玉ロック」「身も心も」と演奏を続けていく。
 

MYM-0561.jpg

MYM-0242.jpgMYM-0316.jpgMYM-0285.jpg

MYM-0338.jpg

MYM-0360.jpg

MYM-6794.jpg

石塚淳(歌とギター)は全く個人的だがわたしが好きなSGタイプのギターを弾き歌い、伊奈昌宏(ドラムス)はドラムスティックをやや短めに個性的に持って叩くドラムがアグレッシブでもあり、山本啓太(ベース)は渋く揺らぎの響きを出す。三者が見事に相まって、隙間も感じさせながらの音に、初見ながらすっかり身体を持っていかれる。“パラッパッパッパ~パ~”(「ついのすみか」)のサビでは思わず手も上げちゃいました! ということで序盤から盛り上がりを見せていたフロア同様ステージ上もかなり熱くなっていたようで、“冷房を16℃でお願いしてましたが、2℃にしてください”とリクエスト。“暦の上では処暑ですし、バンドを組んで最初の曲を”と演奏した「処暑」、甘いギターの音に寄り添うそのテンポで少しクールダウン。
 

MYM-0333.jpg

MYM-6749.jpg

MYM-0243.jpg

MYM-0342.jpgMYM-0387.jpgMYM-0352.jpgMYM-0392.jpg

中盤、大きい紙パックの緑茶を飲みながら石塚が“1曲削ってでも喋りたいことがある”と語り始める。2年前に運転にどハマりし、昨年には大型二種の免許も取って“10年ぐらい続けていたウェブ制作の仕事を辞め、運送業をはじめた”と言うのである。京都を拠点に東は浜松・西は広島のほうまで走り回っていたそうだが、ライブが決まっていたこの日もシフトが入っていた(!)とのことで、“バンドできへんやん”と仕事を辞めたと語るも、“トラックで走り回って、曲ができただけ儲けもんや!”と「京都市南区」へ。運送業の方(もしくはバスの運転もできるので観光業の方)、シフトの自由を優先してあげられる雇用主の方に届け!
 

MYM-0406.jpg

MYM-0422.jpgMYM-0452.jpg

MYM-0600.jpg

MYM-6621.jpg

MYM-0485.jpg

MYM-0489.jpg

自らのバンド名を記したバックドロップをステージに掲げるも中央から大きく左側にずらしていたのは、“新宿LOFT歌舞伎町移転25周年”の大きなバックドロップの邪魔をしないためだろうと推察。さらに、この日のため石塚は、今も新宿LOFTの壁にフライヤーが貼られている『1976年の新宿ロフト』(星海社)という本を読んでから臨んだそうだ。“(現在の場所に)移転して25年ですが、新宿LOFTは1976年からなので…48年ということですよね、すげー! 今日は呼んでくれて、ありがとうございます!”とも語っていた。
 

MYM-0478.jpg

MYM-0651.jpgMYM-6629.jpgMYM-6692.jpgMYM-6740.jpgMYM-0525.jpgMYM-6826.jpg

全13曲のライブ、ラストに選んだのは「日暮し」。一枚の素晴らしいアルバムを通して聴き終えた時に感じるような充足感。“おおきに!”と一礼、3人はステージを後にしたのだった。音楽が共にありながら、しっかりと地に足をつけ生きている。終演後には“名古屋のライブですけど”と言いながら、メンバー自ら今後のライブのフライヤーを配る姿も印象的だった。魅力的な新しいバンドに出会えたと思った。
 

MYM-7208.jpg

MYM-0809.jpgMYM-0722.jpgMYM-0699.jpgMYM-0656.jpgMYM-0823.jpgMYM-0991.jpgMYM-0943.jpg

MYM-0959.jpg

しばしの転換時間を挟んでステージに登場したのは真心ブラザーズ、ベースの鹿島達也、ドラムのサンコンJr.ウルフルズ)と共に。「すぐやれ今やれ」「ふっきれてる」とスタートから立て続けにテンポ良き真心節で攻めてから、“新宿LOFTに来たぜ!”とYO-KINGが言うと、桜井秀俊がまさかの“もしかして、この場所は…初?”と(事実、初めてとのこと)! 現在の場所である歌舞伎町に移転する前は同じく新宿・小滝橋に存在した新宿LOFT。真心の2人も、そしてこの日のサポートメンバー2人も“小滝橋のほうに出演してたね”といった話をしつつ、“電気グルーヴが4人だった時に俺は出てるけどね”と、小気味よく冗談ありつつなYO-KINGのMCをライブハウスで、しかもこの至近距離で楽しめるなんていつぶりだろう。“ぼくらはそこで 君たちと新宿LOFTで 覚悟を決めて遊ぶのさ”(「かっこいいだろ」)と、さりげなく新宿LOFTというワードを入れ歌ったりするところもたまらない!
 

MYM-0923.jpg

MYM-0776.jpgMYM-1040.jpgMYM-1033.jpg

MYM-1202.jpg

MYM-0975.jpgMYM-1127.jpgMYM-1310.jpg

MYM-1307.jpg

“台風クラブ、最高でした。やっと見れた! カッコ良くて追っかけしちゃいます!”と後輩バンドのライブもしっかり楽しんだことを伝えてから、“この期に及んで、やたら元気のいいアルバムができました!”と、9月21日にリリースするというニューアルバム(『SQUEEZE and RELEASE』)から「DIVIDE」を初披露。“アルバムのリード曲は「オレは音楽」で、カップリングは桜井の「俺はなで肩」なんだけどね”…文字でこの面白さを伝えるのは絶対的に難しいと分かっていながらも書く。いちいちMCも面白い真心ブラザーズは何でも今年で35周年とのことで、続く「流れ星」は遡ってみたら2001年の楽曲なのだが、桜井のギターイントロには今だからこそ出る渋みのようなものだけではない艶っぽさを感じ、かつての楽曲にしても今の楽曲にしてもただただ、“真心、最高!”しかないのであった。新しいアルバムも楽しみでしかない!
 

MYM-1230.jpg

MYM-1242.jpgMYM-1365.jpgMYM-1376.jpgMYM-1400.jpgMYM-1542.jpg

MYM-1566.jpg

MYM-1598.jpg

MYM-1617.jpg

ということで以降、ほぼメモはなくライブに没入。終盤はYO-KINGがギターを置き、“じゃあ特別に、やっちゃおうかな~! 盛り上がってるか~!”と「どか~ん」。続けて「ENDLESS SUMMER NUDE」と全く予想していなかったセットリスト! そしてラストは「拝啓、ジョン・レノン」…サポートメンバーたちのソロで聴かせるアレンジもありつつ、現在進行形の真心ブラザーズに胸アツ。そう、真心は今なお進化を続けているのがこの日、よーく分かってしまったのだ。Yシャツ姿の同年代と思しき男性が手を合わせながら聴いている。そうなってしまうのも分かる。
 

MYM-6852.jpg

MYM-6879.jpgMYM-6896.jpgMYM-6969.jpgMYM-6983.jpgMYM-6999.jpgMYM-7022.jpgMYM-7091.jpgMYM-7182.jpg

やや放心状態で時計を見るとしっかりと時間は過ぎていて、やまないアンコールの声援に応えて「突風」を。台風クラブと真心ブラザーズの2組、そしてそれぞれのファンにしても世代は違えど、お互いの音も楽しめた夜になったに違いない。9月に入ってもなお暑い日があれど、着実に夏の終わりは近づいているのだなと2組のライブを通して感じ、新宿LOFT・ライブハウスという場所で、2024年の夏を締めくくる良き思い出を作ることができた日となった。【Text:高橋ちえ(@djchie)/ Photo:MAYUMI(@SOxWHAT_88)/ 2024年9月8日(日)『〜新宿LOFT歌舞伎町移転25周年記念〜 SHINJUKU LOFT 25TH 2MAN SHOW』】

関連リンク

このアーティストの関連記事

RANKINGアクセスランキング

データを取得できませんでした

休刊のおしらせ
ロフトアーカイブス
復刻