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INTERVIEW

トップインタビュー【新宿LOFT歌舞伎町移転25周年記念対談】meiyo×クボケンジ(メレンゲ)- "令和のポップマエストロ"が瑞々しく流麗なメロディを身上とするバンドと念願の初共演! "音の熱波"の放出合戦を前に語り合う音楽談義

“令和のポップマエストロ”が瑞々しく流麗なメロディを身上とするバンドと念願の初共演! “音の熱波”の放出合戦を前に語り合う音楽談義

2024.10.26

 昨年より開催しているmeiyoと新宿LOFT共催企画『meiyo×新宿LOFT presents aufgießer』は、新宿LOFT歌舞伎町移転25周年を記念し、ジャンルや性別、世代を超え素晴らしいミュージシャンをゲストに迎えて定期開催している。
 年内最後の開催となるこの公演に、meiyoがかねてより共演を熱望していたメレンゲとの共演をすることから、バンドのコンポーザーであるクボケンジとの対談を実施した。
 meiyoによるメレンゲへのリスペクトが深いことから対談中、緊張感がこちらに伝わる程でしたが、とても深い音楽談義となりました。
 この音楽対談と併せて、『meiyo×新宿LOFT presents aufgießer 4th set』をより楽しんでいただけたら嬉しいです。(Interview:樋口寛子 / 新宿LOFT)

メレンゲの「ムーンライト」を聴いて一発で惚れ込んだ

──かねてからメレンゲを敬愛するmeiyoさんたっての希望で実現した今回の共演なのですが、meiyoさんがメレンゲを知ったきっかけから聞かせてください。

meiyo:以前からお名前はもちろん知っていて、曲もいくつか知っていたんですけど、深く聴き込むようになったのは信頼している音楽仲間からの影響が大きかったと思います。「日本のバンドの曲で一番いい曲って何だと思う?」みたいな話をしていて、その友達が「『ムーンライト』(2011年4月に発表されたメレンゲの3rdミニアルバム『アポリア』に収録)かなあ」と言っていて。それで聴いてみたら本当に凄くいい曲で、一発で惚れ込みました。メレンゲの音楽の奥深さを知れたのはそれ以降ですね。僕が友達から「ムーンライト」がいいと聞いたのは2019年頃の話なので、最近といえば最近なんですけど…。

クボ:いや、嬉しいですよ。

meiyo:その友達の中では発表から8年くらいのあいだに人生のベストソングとして育っていって、気持ちが熟したタイミングで自分に教えてくれた感じですね。実はまだメレンゲのライブを観たことがないんですけど、クボさんの弾き語りライブは観たことがあります。

クボ:ありがとうございます。僕がmeiyo君の存在を知ったのは、テレビの情報番組のテーマ曲募集に応募したというのをSNSで見た時なんです。凄い大胆だなと思って(笑)。

meiyo:応募しただけで採用されなかったんですけどね(笑)。(註:後日、「ヒルナンデス -Brand New Break Time!-」として2020年10月に発表)

クボ:meiyo君は打ち込みを多用したサウンド作りが今風というか、自分にはできないアプローチなので羨ましいですね。

meiyo:meiyoを名乗る前、ワタナベタカシ名義だった頃にもクボさんにはTwitter(現・X)をフォローしていただいていて。“エッ、何で?!”と思ってました(笑)。

クボ:意識していたってことですよね、それは。

──meiyoさんは確か「ムーンライト」のカバーをSNSに上げていましたよね?

meiyo:はい。理由はただ単に好きな曲だったから。自分の好きな曲を自分に関心のある人たちにも知ってほしいという思いが強かった時期にいろんな曲をカバーしていたんです。「ムーンライト」は転調もするし、凄くドラマティックな曲じゃないですか。でも曲のサビを耳コピして唄ってみると、サビのコード進行は意図的にドラマティックにしたというよりもなるべくしてああなったんだろうなと思ったんです。

クボ:ああ、そうなのかなあ…。僕もその「ムーンライト」のカバー映像を見て、嬉しく思いました。そもそもメレンゲの曲をカバーしてくれる人が少なくて、昔は「難しい」とか「唄いにくい」とかよく言われていたので。でもそうやって誰かにカバーしてもらえるのは純粋に嬉しいですよね。

──今回、meiyoさんから共演のお誘いを受けて、クボさんはどう感じましたか。

クボ:meiyo君がどんな形でライブをやるのかな? と。meiyo君の音楽は打ち込み主体だし、メレンゲが出ることでmeiyo君のお客さんが違和感を覚えなければいいなとはちょっと思いました。

meiyo:いやいや、僕のライブには現代的なサウンドが好きで来ている人はあまりいないと思います(笑)。表層的なことよりも曲の芯の部分…メロディや歌詞、コード進行といった部分を自分は重要視しているし、そこはメレンゲの音楽性との共通点だと勝手に思っているんです。今回の対バンはその部分で通ずるものがあるはずだし、メレンゲのお客さんにも僕のお客さんにも喜んでもらえたら嬉しいなって思ってます。それはSNSの反応を見ていても感じます。meiyoを好いてくれている方でもメレンゲをずっと好きで聴いていて、この2マンがとても嬉しいと書いてくれている方がいましたし。

クボ:嬉しいですね。

meiyo:あと、クボさんと僕はKANさんをリスペクトしているという共通項もありますよね。先日、クボさんがKANさんの「Songwriter」をカバーしている動画をポストしたら、メレンゲを知らなかった人たちからの反響もたくさんいただきました。

クボ:樋口さんもよく知っていると思うけど、KANさんは昔から大好きなんです。

──meiyoさんと私の距離が縮まったのも、私がKANさんについてポストしたのがきっかけだったかもしれないですね。

meiyo:ああ、そうですね。樋口さんがKANさんについて書いていて、僕がそれに反応して。新宿LOFTで樋口さんにお会いしてCDを渡した時に「僕もKANさんが大好きなんです」と話したところから今日までつながる深い関わりが始まったという。

曲作りの段階で互いにこだわる部分とは

──クボさんは以前からソロでKANさんの曲をカバーしていたし、meiyoさんからもKANさんに対するリスペクトを聞いていたので、meiyoさんからメレンゲと対バンしたいと聞いて世代は違えど絶対に合うはずだと確信したんです。それで即クボさんに打診して、快諾していただいたんですよね。せっかくの機会ですので、お互いに聞いてみたいことはありますか。

クボ:僕がmeiyo君に聞きたいのは、いつもどんなふうに曲を作っているんだろうと思って。

meiyo:基本は宅録です。バンドらしい生音が欲しい時はレコスタでドラムを録ったりしますけど。もともと僕はドラムを叩いていたので。

クボ:曲作りは鍵盤?

meiyo:鍵盤は弾けないんですよ。頭の中で曲のイメージができてからドラムを最初に打ち込んで、ベースを入れて、そこからどうしようか? を考えます。ギター弾き語りで作った曲なのに、音源ではギターを入れないなんてこともけっこうありますね。ギターを入れると他の楽器も欲しくなってしまうので、敢えて入れないことも視野に入れつつアレンジの方向を固める。それでいろいろ楽器を足していって、これ以上入れなくてもいいな、というところをなるべく素早く見つけて、楽器を足すのをやめる。入れすぎないことを意識してます。

クボ:なるほど。僕とは違う発想だと思うので、そういう話が聞きたかったんですよ。

meiyo:メレンゲはかなり早い段階から打ち込みをバンドサウンドの中へ取り入れていましたけど、それはクボさんの音楽的嗜好だったんですか。あるいは当時の流行りだったとか?

クボ:高校の時にキーボードを買ってね。ちょうどシーケンサーが出始めた頃で、それがキーボードの機能に付いていたので弾けなくても曲作りができた。それがすべての始まりですね。もともと電気グルーヴとかが好きで、ああいう打ち込みを主体とした音楽を自分でも作りたいと思ってスタートして、本来はそういうピコピコしたサウンドが好きなんです。バンドを始めてギターを弾くようになったのはその後だから。

meiyo:ああ、そうだったんですね。

クボ:「ムーンライト」もそうだったけど、僕は鍵盤で作る曲が多いんです。ギターではいまいちコード進行がスムーズにいかない、手が動かなかったりするので。上手く弾けなくても鍵盤でコードを探して流れで作っていく。「ムーンライト」はサビのキーが低いなと思ったから2個上げてとか。それは鍵盤ならではですね。あと基本は曲先なんだけど、曲と同時に詞が思いついた時が一番気分が乗る。

meiyo:納得度の高いものになりやすいというか。

クボ:うん。「ムーンライト」もそうだったかな。この言葉を入れようというのが一つあって、そこから膨らませていく。好きなワードが一つ見つかれば曲が作れたりする。そんな感じかな。

meiyo:何の取っ掛かりもない状態でオケだけ出来上がることもありますか。…あ、メロディがあるのか。

クボ:基本的にはそうだね。最初は適当な日本語で唄うじゃない? それでどこか引っ掛かるところがあればいい。基本的に曲を全部作り上げてから詞を完成させるんですけど。

meiyo:そうなんですね。僕の場合は、曲と詞が同時に出来た時のあの嬉しさや気持ち良さを感じたいので、まずメロディのうっすらした形だけ想像しながら歌詞を考えていくことが多いんです。歌詞に合うメロディに適宜変えていきながら練り上げるというか。

クボ:その感覚はわかる。さっきドラムを叩いていたと話していたけど、meiyo君のリズムのノリが面白いのはそのせいなのかな。ソフトウェアはLogic Proとかを使ってる?

meiyo:Studio Oneです。

クボ:その一筆目が知りたいですね。DTMの一筆目が何なのか。

meiyo:面白くない回答で申し訳ないんですが、一筆目はまず4つ打ちキックのループ素材を入れていくことが多いです。でも4つ打ちはシンプルなので、それをどうやって面白く聴かせようかというところでベースの位置をずらしたり、そういう遊びから曲作りを始めます。

クボ:ああ、ずらすんだ?

meiyo:僕がバンドをやっていた頃は、たとえばドラムがズッチタッチズッチタッチ…と4つ打ちを叩くと、ベースはドゥべドゥべドゥべドゥべ…と弾くしか選択肢がなかったんです。

クボ:僕は今でもそうかも(笑)。

meiyo:マイケル・ジャクソンの曲とかを聴くと、16符の裏にベースがあることでドラムは4つ打ちなんだけどノリは16ビートになっているみたいな効果を出していたりして。

クボ:なるほど。打ち込みならそういうことも再現できると。

meiyo:そうですね。ドラムはシンプルにしたまま他の楽器で曲を面白く聴かせていく。それを意識して試すように曲作りをするのが最初の取っ掛かりですね。

クボ:そうすることで曲の立体感が増すよね。自分もデモでベースを打ち込んでいる時に立体感がなくてのっぺりした感じになっちゃうのをどうにかしたくて。確かに一番の肝はベースだよね。わかっちゃいるけどうまくいかない。

meiyo:ベースのちょっとした音の長さでも変わりますよね。最近ようやくそういうことに気づけて。そもそも打ち込みでちゃんと披露できるような、ダンスミュージック的要素もある曲を作り始めたのがけっこう遅くて、2020年くらいだったんです。

クボ:それまではずっとバンド志向だった?

meiyo:はい。cinema staffや凛として時雨なんかに影響を受けて、けっこう激しい変拍子バンドのドラマーを5年間やっていました。

クボ:それから自分で唄うようになった。

meiyo:ある時期から奥田民生さんを好きになって、民生さんもドラム叩けて唄えるので、それに憧れて唄い始めました。

クボ:そういう変遷はわかる。自分もあれこれ手をつけたくなる性分だから。ギター一本でやりたいと思えば、やっぱりちょっとシンセを足したいなと思ったりとか。

meiyoのステージパフォーマンスが格段に飛躍した理由

──先ほどmeiyoさんがクボさんの弾き語りライブ(2016年3月に新宿LOFTから始まったソロワンマン『クボノヨイ』)を観たことがあると話していましたが、そのライブの印象を聞かせてください。

meiyo:もう何というか、目の前で神様が唄っているみたいな感じでしたね(笑)。曲のメロディも歌声も全部が素晴らしかったし、外音がめちゃくちゃ自分好みだったんですよ。あの音の感じはどうやって出せばいいの? と、僕の制作兼マネージャーに聞いてもライブを観てないからわからないと言われて(笑)。でもどうしてもあのキラキラした音を出したいとここ数年ずっと試行錯誤しているんです。もちろん声質の違いもあると思うんですけど。

クボ:外音に関して満足したことはほぼないんですよ。いつも自分の出す音をもっとどうにかしたいと思っているので。

meiyo:じゃあ、僕が観たあの日の音もチャレンジの一過程だったのかもしれないと?

クボ:ギターの音もマイクの音も毎回設定を変えるからね。なんでもっと綺麗に聴こえないのかな? と常に悩んでる。

meiyo:そうなんですね。自分はあの日、とてつもなく綺麗な音を全身に浴びた感覚だったんですけど(笑)。

──クボさんは今回の対バンを前にmeiyoさんの曲をいくつか聴いてみたと思いますが、どんな印象を持ちましたか。

クボ:凄くダンサブルでライブを盛り上げている曲をYouTubeで見ました。宅録をやっている人は陰キャなイメージが勝手にあるので(笑)、ライブであれだけ前に出てフロアを煽れるのが凄いなと思って。

meiyo:そんなことをやれるようになったのはここ数年の話なんです。ドラムオンリーの時期を経て、唄い始めてからもしばらくはドラム&ボーカルだったんです。だから実質10年くらいドラマーだったんですよね。

クボ:そこからあんなステージができるなんて凄いね。

meiyo:でも最初は目の前にドラムのないステージが信じられなくて。マイクを持って唄うのも、最初は『のど自慢』に出る素人さんみたいに棒立ちでしたし(笑)。だけどお客さんはそんなステージを観たくないよなと思い直したんですよ。

クボ:それでどこかのタイミングで変われたということ?

meiyo:そうですね。メジャーデビューして以降、スタッフの人たちがスタジオに立ち会ってくれるようになってから変わりました。「もっと動かないと練習にならないじゃん」みたいなことを言われて、確かにその通りだなと思って。身体の動かし方から何から最初は何もわからなかったんですよ。音に合わせた乗り方はこれで正しいのか? くらいの気持ちでやっていましたけど、徐々にやれるようになって。気持ちを外に向けて、こっちが楽しそうに動けば観るほうにも意外と伝わって応えてくれるのもわかったし。

クボ:凄いなあ。自分はライブで盛り上げようとするのが苦手なので、そうやって変化していけたのは本当に凄いことだと思う。

──私もmeiyoさんがドラムを叩きながら唄うのが最初だったし、まさかハンドマイク一本で唄うなんて思いもしなかったんですよ。試行錯誤しながら今のステージに辿り着いたことを思うと感慨深いし、meiyoさんのいろんな側面を見てこれたのは面白かったですね。

meiyo:面白がっていただければ本望です(笑)。そもそも僕は世間に知られてなさすぎだったし、meiyoのライブを観たことのある人が圧倒的に少なかったんです。普段はこうしてボソボソと話すような感じですけど、その感じすらも知らない人たちにライブを観てもらう機会がここ数年多くて、それなら普段以上に明るく振る舞ったほうがいいのかな? と思って。あと、僕が元気に振る舞ったところで「柄じゃないな」と感じる人はそもそもいないわけで(笑)。それがけっこう大きいかもしれませんね。自分のイメージが付いちゃっていたら「ここで変えて大丈夫?」って不安もあったと思いますけど、そもそも知られてないから大丈夫っていう。まあ、バンド時代から僕を知るコアな人たちは急にステージで踊ったりジャンプしたりしてどうしちゃったのかなと思っているでしょうけど(笑)。

──そういった努力の甲斐があってか、meiyoさんのお客さんは男女比が偏ってない印象がありますね。

meiyo:そうですね。世代も幅広いですよ。自分より年上のお兄さんお姉さんもいらっしゃるし、ちっちゃい子も来てくれますから。

──当日はぜひmeiyoさんの唄うメレンゲの楽曲を聴きたいですね。お互いにカバーし合うとかいかがですか。

クボ:meiyo君の曲は難しくて、自分ではとてもじゃないけどカバーできそうにないです(笑)。

meiyo:僕はぜひメレンゲの曲をカバーさせていただきたいと考えているんですけど、唄いたい気持ちと絶対に生で聴きたい気持ちと両方あって(笑)。

クボ:お客さんが同じ曲を2回聴くことになるっていう(笑)。そうなっても聴き比べできる楽しみがあっていいんじゃないかな。

旅立った人たちが遺した名曲を唄い継いでいく

クボ:meiyo君はライブで同期がけっこうあるの?

meiyo:めちゃくちゃあります。ライブではギター、ベース、ドラムにサポートしてもらっていますけど、たとえばもし同期を流す機械が壊れたら本番をやるのはだいぶ厳しいレベルですね。

クボ:自分もワンマンの時は同期を数曲入れるんだけど、meiyo君はほぼ全曲?

meiyo:ほぼ全曲です。ないのはめっちゃバンドっぽい曲だけですね。

クボ:僕は同期の流し方の上手い人に憧れるんですよ。ボタンを押して同期を流す感覚をできるだけなくしたい。流れが悪くて「いま同期押したな」と観ている人に悟られるのが嫌で(笑)。

meiyo:同期が始まるほんのちょっとの空白がめっちゃ長く感じたりとか(笑)。僕の場合、同期出しはドラムの人がやってくれていて、そのタイミングはリハの時に細かく確認しますね。

クボ:凄く重要だよね。できるだけポチッとした感じをなくしたいんだけど難しい。

meiyo:演奏している側はクリックが聴こえているし、カウントを確認している間が大丈夫かな? と心配になる時はありますよね。

クボ:クリックがマイクで拾われていないかな? とか凄い気になる。万が一あの音が漏れていたら悲惨だよ(笑)。

──冒頭からカバーの話が出ていたので、お二人の好きな古今東西のカバー曲は何なのか聞かせていただけますか。忌野清志郎さんの「Daydream Believer」のようにカバーはその人のセンスや人となりが出るし、中にはホイットニー・ヒューストンの「I Will Always Love You」のように原曲より知られたものもあったり、なかなか奥深いものですよね。

クボ:難しいなあ…。これは本家を超えているなと感じたカバー曲があった気がするけど、すぐには思い出せないですね。

meiyo:自分が音楽を好きになった根っこの一つとして、NHKの『天才てれびくん』に“MTK”というコーナーがあったんです。子役の子たちが洋楽や邦楽のカバーをして、MVまで作るというコーナーで。その中でELO(エレクトリック・ライト・オーケストラ)の「Twilight」をカバーする回があったんですよ。アレンジはゴダイゴのタケカワユキヒデさんが担当していて、そりゃ子どもに唄わせたら無敵でしょ?! みたいなクオリティで(笑)。あれはいくら本家でも無垢な子どもが唄ったら敵うものはないんじゃないですかね。

クボ:ELOの原曲通りに英語で唄うってこと?

meiyo:タケカワさんによる和訳なんですよ。「まぶしく輝く〜 夜明けの幻〜」みたいな感じで(笑)。あと、“ヤバカバー”ってありますよね。POLYSICSがカバーしたスピッツの「チェリー」はけっこうヤバかった記憶があります。

クボ:“なんでそんなふうになるの?!” と感じる、大胆な解釈のカバーってあるよね。スピッツだと、ユーミンがカバーした「楓」は面白いと思った。(POLYSICSの「チェリー」と松任谷由実の「楓」はいずれも『一期一会 Sweets for my SPITZ』に収録)

──メレンゲとしてカバーしてみようと試みた楽曲はありますか。

クボ:自分が好きだった曲として、玉置浩二さんが作曲した「嘲笑」をカバーしたことがあります(『アポリア』収録)。それ以外にカバーはやってないですね。ソロのライブではKANさんの「世界でいちばん好きな人」や尾崎豊さんの「OH MY LITTLE GIRL」をカバーしてきましたけど。あと、高野寛さんも好きだったのでカバーしてみたい。

meiyo:高野寛さんも『天才てれびくん』で「虹の都へ」をカバーしているのを見て知ったんですよ。

クボ:そうなんだ。僕は中学生の時に兄貴と一緒にコンサートを観に行くくらい好きだったし、影響を受けた。

──新宿LOFTでメレンゲと高野寛さんが共演したこともありましたね(2004年5月26日に行なわれた『初恋サンセット vol.3「サーチライト」発売記念ライヴ』)。高野寛さんが高橋幸宏さんと坂本龍一さんの逝去を受けてYMOへのオマージュをちりばめた最新作を発表したり、クボさんがKANさんの楽曲を唄い継いだり、故人の音楽が普遍的であることを証明できるのが音楽の素晴らしさの一つですよね。

クボ:そうですね。いい曲をたくさん遺してくれたわけだし、亡くなってしまった人の歌を唄い継いでいきたい気持ちはあります。尾崎豊さんもそうだし。

──SONG-CRUXの盟友でもあった志村正彦さんの楽曲をカバーしてみようと考えたことは?

クボ:誰かにリクエストされたらやってみるかもしれないけど、フジファブリックは現役で活動していますからね。もちろん詞もメロディも凄くいいし、唄い継いでいきたい気持ちはあります。

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──では最後に、当日のライブへ向けて一言ずついただけますか。

クボ:meiyo君がメレンゲを好きで呼んでくれたこともあるので、今までで一番いい音でライブをやりたいです(笑)。

meiyo:めっちゃ楽しみです! 僕は昔から自分の好きな音楽をみんなに知ってほしい気持ちが強くて、今回も大好きなメレンゲがその思いに応じてくれて一緒にライブをできるのが本当に嬉しいです。meiyoをいいと感じるセンスがある人なら必ずメレンゲのことを好きになってくれると思うんです。メレンゲを好きな方も同じようにmeiyoの音楽を気に入ってもらえたら嬉しいし、「今日のイベントはどちらも良かったね」と感じてもらえたらなお嬉しいです。

クボ:今回のイベントを経て、いつかセッションとかやれたらいいね。

meiyo:ぜひやりたいです! よろしくお願いします!

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LIVE INFOライブ情報

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新宿LOFT歌舞伎町移転25周年記念
meiyo×新宿LOFT presents『aufgießer 4th set』
【出演】meiyo / メレンゲ
【日程】2024年10月29日(火)
【時間】開場18:15 / 開演19:00
【チケット】前売 一般¥4,200・学割¥2,000 / 当日¥4,800(いずれもドリンク代別¥600)
*チケットはライブポケットイープラスで発売中(公演前日まで)
*学割はライブポケットのみで取り扱い
【会場・問い合わせ】新宿LOFT 03-5272-0382
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