終わらないんで。“新しい世界”を作りたいと続けて言っていかないと
──次の「魂列車」…。
ミウラ:ソウルトレインですね。
──韓国語が出てきますね。
ミウラ:韓国ドラマばっかり見てましたから。
──「我々の 知恵と勇気で オセロを裏返す」って歌詞は、都知事選を思い出した。私は蓮舫さんを応援してたんで。
ミウラ:俺も。そこの歌詞はまさに選挙のことです。都知事選もそうだし、俺が投票した人が当選することは滅多にないし。
──聴く人によって違うだろうけど、歌詞の一行だけで個人と社会を繋げることができる、個人と社会は同一線上にあるって感じられる。「オーボーイズ」の「怒ってもいい その口を閉ざさなくてもいい」って歌詞も、怒るって今の時代に必要だし。「オーボーイズ」はイントロがカッコ良くて、そこから軽快なスカになって、サビではローリング・ストーンズ的なギターが出てきて。ちょっと珍しいですよね。
ミウラ:なんでああなったのかわかんないんですけど。イントロとケツが同じで、もともとイントロはなかったんだけど、ケツのコード進行を持ってきてみたらちょうど良くて。
──カッコイイです。オルガンもいいですね。
キリ:ゲストのMABOさん。ホント最高で。
ミウラ:ここはやっぱオルガンでね。
──「アディオスアミーゴ」はタイトル通りの。
ミウラ:そうですね。仙台でソロでやらせてもらってたバーのマスターが急死しまして。また会おうなっていう歌。年齢を重ねてくると、亡くなった人に対して「またな」って気持ちになりますね。MABOのピアノが凄くいい。
──私は今作のテーマは尊厳と自由だと思ったんですけど、テーマというかメッセージって何でしょう?
ミウラ:曲それぞれですね。アルバムに関してこういうテーマにしようとかは考えてないです。考えたこと思ったことを曲にしていって、それがまとまったら全体にいい流れだし筋も通ってるなとは思ってます。
──開かれてスケール感のある「新世界」という曲があって、それをアルバムタイトルにしたのは?
ミウラ:今ホントにろくでもないし、地獄の蓋が空いたっていうのかな、目に見えて酷くなってますよね、世の中が。このままならそのうち戦争になっていくでしょう。今は戦争反対って言えるけど、戦争に進んでいって特高みたいなのが来て国家の言うこと聞きなさいって暴力で攻めてきたら、俺なんかすぐ音(ね)を上げるよ。だから今言えることは言いたいですよ、全部言いたい。で、新しい世界、暴力なんかない世界を作る。人間に限らず動物、生き物、みんな同じだけ大切、そういう世界。そういう願い。ギター弾いて曲作って歌う、願いを歌う。作りたい世界、歌いたい世界、目指したい世界。それを続ける、やり続ける。そういうことですね。
──なんか話を聞いてたら、「踊ろよBaby」の「この手を離すなよ」って歌詞と繋がってきた。あの曲はシンプルなラブソングともとれるけど…。
ミウラ:他愛のないね。
──でも、「この手を離すなよ」って、諦めるなよって言ってるようにとれる。
ミウラ:そうですね。終わらないんで。言っていかないと、続けていかないとね。
──キリさんは『新世界』というタイトルにどんな思いが?
キリ:新しい世界って何だろうって考えたら、新しい価値観、個人個人が尊重されて、個人が集まった集合体が新世界で。集団ってどうしても全体主義になっちゃうけど、独立した個人の集まりが集団で。個人が尊重されれば他人も尊重できると思うし。そういう価値観が浸透していく。新しい価値観にアップデートしていこうっていうのがメッセージですね。
──「新世界」が最後かと思ったら、ラストを飾るのは「コナン」。この曲の最後に差別反対や個人の尊厳ってことをウワーッと。『フリーバード』のラストもそうでしたよね。言葉が溢れ出てきて。
ミウラ:そうなりましたね。止まんなくなっちゃうんですよ(笑)。
──そして最後の最後に大勢の人の拍手。
ミウラ:よくライブに来てくれる人たちが、こう、伝言で集まってくれたんですよ。25、6人来てくれて。red clothに夜8時に。酒は絶対持ってくるなって言ったのに、みんな袋に酒入れてきて。みんな言うこと聞かねぇなって(笑)。
──それでこそ夜ストのファン!(笑)