GOOD BYE APRILにとって2023年は様々な角度で飛躍の1年だった。林哲司とのコラボレーションによるメジャー・デビュー曲「BRAND NEW MEMORY」を始めシングルを3曲配信し、現行シティ・ポップバンドとしては音楽シーンの中で多くの注目を集めてきたわけだが、いよいよ2024年1月8日(月・祝)に新宿ロフトで新春のスタートダッシュを飾るワンマンライブが開催される。最新シングル「夜明けの列車に飛び乗って」もそうだが彼らの(バンドとしての)武器はタイムレスに響くメロディの普遍性であり、それを支えるバンドの表現力であり結束力だ。そんな彼らの魅力を十分堪能できるライブになることは間違いないだろう。というわけで公演に先立ち、メジャー・デビューを果たした2023年を振り返ってもらいつつワンマンライブへの意気込みを倉品翔(Vo & Gt &Key)、つのけん(Dr)にインタビューしてきた。(Interview:鈴木ダイスケ)
「夜明けの列車に飛び乗って」は一番J-POP度が高い曲
──ちゃんと話をするのは久しぶりですよね。ちょうど去年の今頃(12月)に初めて取材して以来だったかと(当時のインタビューはこちら)。
倉品:去年はまだ「BRAND NEW MEMORY」を本格的に作る前でしたね。林哲司さんとの作業もまだこれからってタイミングだったんで。直前も直前でデモ出しをまさにこれからぐらいのタイミングだったと思いますよ。
──そうそう、そうでした。取材中に実はオフレコで…と林さんの名前が出てきたときは驚きました(笑)。
倉品:ですよね(笑)。ちょうど曲のやりとりとか始まる直前で、メジャー・デビュー決定もまだ解禁前だったんじゃないですかね。
──個人的にはめちゃくちゃ好きな曲でした。次作「サイレンスで踊りたい」もいろいろ話は聞きたかったんですけど。ミュージックビデオに阪田マリンさんも出演されてたし。
倉品:彼女もネオ昭和ってコンセプトで僕らと近いことをやられてるなって思って、インスタとかチェックしてたんですよね。お互いにベストなタイミングでご一緒できたなって。
──あの曲はバンドとしてどういうスタンスで挑んだんですか。
倉品:わかりやすく言えばダンスチューン路線でやってみようと。割と最初にバンドで話してたのが「BRAND NEW〜」がライブでもじっくり聴かせる曲になっているので、次はアッパーな盛り上げ曲がいいんじゃないかって。
つのけん:そこはバンド内でもけっこう話しましたよね。
倉品:アース・ウインド&ファイアーとかエモーションズとか、そういう80'sディスコなソウルミュージックってアイディアとしてはずーっと暖めてはいたんですよ。チーム全体の意見もいい具合にブレンドできて形になったなとも思ったので、じゃあ次は冬のリリース・タイミングだし、ロマンティックな曲をやってもいいのかなと。
──なるほどね。その「夜明けの列車に飛び乗って」に関しては作る上で狙ったポイントを今日聞きたかったんですよ。
つのけん:でも3曲の中では一番J-POP度が高い曲じゃないですかね。ザ・歌ものというか。もともと僕たちは昭和歌謡が好きだし、そういうハーモニズムを意識して、そこにここ数年のシティ・ポップ路線で得たものをどう活かせるかってところは狙ったところかもしれないですね。あらためてJ-POPをやろうっていうチャレンジにもなってるし。
倉品:うん。今年の大きなテーマとしては「BRAND NEW〜」から自分たちなりの普遍性、王道的メロディっていうものをもう一度真正面からやってみようっていう姿勢はあったんです。「サイレンス〜」はその反動というか、裏返しみたいなところで「それだけじゃないよ」ってアピールしておきたかったんです。あとはもともと年間プランの中で冬にシングルを出すってのも決まってたんですよ。さっきも言ったように冬はロマンティックなじんわり聴いてもらえるような曲を出したいっていうのもあり…でも「BRAND NEW〜」の次がその路線だとギャップがないじゃないですか。
──そりゃそうだ(笑)。
倉品:そこで「サイレンス〜」を出しておこうって思ったんです。
──なるほど。表裏一体の曲だったんですね、「BRAND NEW〜」と。夏、冬って対照的な季節でもあるし。
倉品:ですね。僕らの場合、季節感をずっと大切にしてきていて。例えばシティ・ポップの名曲と言われる楽曲ってやっぱり夏の曲が多いじゃないですか。
──ウインター・ソングって括りだとありますけどね。わかりやすい例えになる曲は少ない。
倉品:はい。だから自分たちなりに冬のシティ・ポップってどうやったら形になるんだろうって考えながら作った曲でもありますね。
──どうしてもシティ・ポップ=リゾートソングって捉え方はありますからね。「冬」だとシチュエイションとしても限定されちゃうしなかなか難しい。ちなみにもともとデモとしてモチーフみたいなものはあったんですか?
倉品:曲自体は2019年に作ってて。僕も今日思い出したんですけど、サザンオールスターズの「YOU」から着想を得てデモを作って。その過程で自然に山下達郎さんの「THE THEME FROM BIG WAVE」がリンクしてきて。
──そうか。それであのイントロなんですね(笑)。
倉品:ですね。デモ製作過程であの2曲がうまい具合に合体して。テンポ感もあの2曲は近いんですけど。それがどうしてこんなに冬の香りがする曲になったのかは自分でもわからない(笑)。