一瞬の煌めきこそがロックの醍醐味であり、鮎川はそれを探求し続けた
──来年の活動プランは現時点である程度まで考えてあるんですか。
純子:ライブに関しては全くの白紙です。今年は全国各地からライブをやりませんかとお話をいただいて、どうするかをメンバーと一緒に考えるところから始めていて、現状決まっているのは46周年ライブまでなんです。今後どうなるかはまだわかりません。
奈良:だからこそLOFTはぜひ観に来てほしいです。ライブはやっぱり生きものだし、いくらこっちに続けたい気持ちがあってもできないこともあるし。それに僕はマコちゃんが残してくれたものを生かしてこの先もずっとライブをやり続けたいんです。マコちゃんは本番の10分くらい前にその日のセットリストを書き出すから、いつもひやひやしていたんですよ(笑)。「マコちゃん、その曲練習しとらんよ?」と言っても「よかよか。ガーン! とやればいいたい」なんて言われて(笑)。
LUCY:「できんと?」ってよく言われましたからね。こっちも「やれるよ!」と強がって(笑)。
奈良:そういうのはね、マコちゃんが仕掛けてるんですよ。普通に、シーナ&ロケッツを毎日聴いてたら知っとるやろ? ってことなんです。つまり僕らのことを試してるんですよ。僕は結局、50年間試されっぱなしだったんですけど(笑)。そういうのに慣れはしなかったけどスリリングではあったし、マコちゃんと一緒に音を出すのは他のミュージシャンには決してない面白さがありましたね。自分がスタジオ・ミュージシャンとしてセッションしても、マコちゃんみたいなギタリストを知っているから面白いギタリストと出会えることが少ないんです。ギュアーン! と凄まじく歪んだ爆音の中にとてつもない優しさのあるマコちゃんのギターは、まさに唯一無二でしたから。
2022年、ライブ終演後
LUCY:お父さんの鳴らすギターにはときめきみたいなものがあるよね。ああいう一瞬の煌めきこそがロックの醍醐味だと思うし、それをずっと追い求めていた人でした。
奈良:74歳までずっと現役であり続けた人だからね。僕はもうすぐ72歳になるけど、自分にそれができるか? と思いますもん。
LUCY:奈良さんはどんなプレイヤーと一緒にやってもしっかりと音楽にしてくれるんです。それが本当に凄い。バンドを建築にたとえると、ベースが地均しをして、ドラムが杭を打って、それにギターが乗っかって家を建てるみたいなイメージですけど、奈良さんはそれを全部やれちゃう人なんですよ。
奈良:全部マコちゃんのおかげですよ。18歳のときに初めてマコちゃんと会って、サンハウスに入って、それからずっと音楽の勉強だったんです。マコちゃん自身がどれだけ有名になってもずっと音楽の勉強をし続けていた人でしたから。どんなジャンルのことも、楽器のことでもマコちゃんに訊くと明確な答えが返ってくる。あの姿勢は僕らも見習わないといけないと思いますね。
──長々とありがとうございました。来年もまたこの同じ時期にインタビューできるのを楽しみにしています。
LUCY:こちらこそまたよろしくお願いします。純ちゃんの言う通り来年の活動は未定ですけど、お父さんの意志を継いでアーカイヴ作品のリリースは続けていくつもりだし、そのリリースに合わせてライブをやれたらいいなとは考えているので。それに2024年の11月23日はバンドが47(シーナ)周年突入を迎えるし、またぜひ新宿LOFTでお祝いのパーティーをやらせてもらえたら嬉しいです。お父さんとお母さんもきっと来てくれるはずですから。