昭和のプロレスを思いきりやりますよ!
──バンドなり音楽を長く続ける秘訣はありますか。
アツシ:楽しいことを自分なりに見つけて、それをお客さんと共有するのが一番かな。60間近になってもまだそんなバカをやってキャッキャしてるのが自分でも笑っちゃうけど。だけどロックやパンクのおかげでまだキャッキャキャッキャできてるからいいのかなと。
01:あっちゃんたちのような80年代を駆け抜けた諸先輩方の多くは、音楽性の違いで解散したり活動休止していますよね。アルバムの1枚目、2枚目までは初期衝動で突っ走って、3枚目で変わる…CLASHで言えば『LONDON CALLING』で変化して、『SANDINISTA!』でまた違う次元へ向かうみたいなパターンがありますよね。つまり3枚目でちょっとつまずくというか、無理に変化させようとしてしまう。それなら曲作りに関してあまり悩まないほうがいいのかなと思うんです。もちろん最先端の音楽にアンテナを張るのは凄く大事だけど、そのバンドの持ち味ってやっぱりありますからね。それなら曲作りで悩まずに自分たちらしさを追求するべきなのかなと。まあ、あっちゃんを見てるとへこたれる必要なんてないのかな? とも思うし(笑)。あっちゃんは僕ら後進のために傷だらけになりながら盾になってくれてるところもあると思います。
──そりゃぎっくり腰にもなりますよね(笑)。
アツシ:いやあ、僕は好き勝手に生きてきただけだから。後輩のために役に立とうなんて考えたこともないし。同年代のバンドも上の世代のバンドもみんなそうだよ。みんな自分たちが楽しむためにバンドをやってるし、楽しくやってるバンドしか見てないし。バンドを続けるために大変なこともあるのかもしれないけど、僕はそういう大変なことをあまり大変とは思わないタイプだね。バンドを長く続けるには、強いて言うなら健康第一。何かやってる?
01:いえ、特に。さっきも言ったように散歩する程度です。昭和の先輩たちはアルコールをメインに破天荒な人たちが多くて、僕も酒は好きだけど、僕らの世代はステージを長く続けるためにアスリートっぽい感じになってきてる気がします。BRAHMANのTOSHI-LOWやcocobatの坂本くん(TAKE-SHIT)みたいに身体をバキバキに鍛えてみたりとか。
──アスリートと言えば、イチさんの楽曲は昔からプロレスと縁が深いですよね。古くは棚橋弘至選手がSUPER STUPIDの「DO IT MY SELF」を入場曲に使ったり、柴田勝頼選手の入場曲「TAKEOVER」を作曲したり、新日本プロレス主催『G1 CLIMAX 29』のテーマソングに「SHINE」が選ばれたり。
01:小学生の頃にプロレスが大好きで、本気でプロレスラーになりたかったくらいなんです。身体がちっちゃかったのでなれませんでしたけどね。佐山聡が出てきた辺りからジャッキー・チェンが好きになり、そこから80年代に入ってウチの兄貴の影響でパンクロックにどっぷりとハマって…。自分の中ではプロレスもジャッキー・チェンもパンクロックもエンターテイメントという一本の線で繋がってるんですよね。
──あっちゃんは今日、オカダ・カズチカ選手の「RM10th」Tシャツを着ていますけど。
アツシ:僕はアントニオ猪木さんから入って、新日をずっと追いかけていました。格闘技もキックも全部好きですね。
──ロックと格闘技の共通項ってありますか?
01:やっぱり侘び寂びとかストーリー性じゃないですかね。猪木さんが国際軍団を迎え撃つときの怒りはパンクそのものですよ(笑)。怒れば怒るほどやる側も見る側も燃えるっていう。
──今回の『Big Wednesday』ほど客層が被らない回もないと思いますが、どちらかがどちらかのステージに乱入する画も想像しづらいし、一体どうなるんでしょうね?
01:まあ、乞うご期待ということで。でもさっきも言ったようにニューロティカは後のメロコアの礎を築いた先駆者という捉え方もできるし、僕らのお客さんも凄く楽しめると思います。仮に知らなくてもライブを観れば身体が自然と動くだろうし、ニューロティカのお客さんも僕らを観て「なんだこいつらは!?」と感じてくれてもいいし、互いのオーディエンスが互いの気持ちをトレードできる場になればいいなと思います。
──新宿ロフト最多出演のバンドと、下北沢シェルター特有のオルタナティブな匂いを持ち続ける両者が対バンするので、ロフトとシェルターの代理戦争みたいな構図も個人的には感じるのですが。
01:確かに。世代的にもそうですよね。あっちゃんは小滝橋通りにあったロフトからの常連だし、僕はシェルターの立ち上げ当初から出ていたので。
──では最後に、『Big Wednesday vol.6』へお越しになるお客さんへ一言ずついただけますか。
アツシ:今日は凄く楽しい対談で、とても勉強になったし、いろんな話が聞けて面白かったです。今日の対談はまるで異種格闘技みたいな感じだったけど、今度の対バンもこれ以上に面白い異種格闘技戦になると思うので、皆様ぜひとも歴史的瞬間を目撃しに来てください!
01:相手が他ならぬあっちゃんなので、昭和のプロレスを思いきりやりますよ!(笑) よろしくお願いします!