都内を中心に活動するソロアイドルるなっち☆ほしが、4月12日(水)にセルフプロデュースになって初めてのアルバム『音楽って最高!』をリリースする。アルバムへの想いや全曲解説、今後の活動について思いを語ってもらった。(interview:フジワラ、ツルタ / ROCK CAFE LOFT is your room)
自分で行動すれば変わることってあるんだ
──まずは自己紹介をお願いします。
るなっち☆ほし:皆さんこんにちは。笑顔届ける流れ星るなっち☆ほしです。普段は正統派破天荒アイドルと声優を務めてます。
──去年からセルフプロデュース、フリーランスになりましたがいかがですか?
るなっち☆ほし:実は自分の中で転機があって去年の6月に事務所を退所してフリーになったんですけど、今までの体制が長くて一緒にやってきたマネージャーとも離れて完全に一人になってしまったんです。そのときにお客さんから見た私って多分、事務所辞めたから規模が縮小していくんじゃないかとかやれることに限界があるんじゃないかって思われてしまうんじゃないかと思って。でもお客さんにそう思わせたくなくて辞めてからすぐワンマンとアルバムを作ろうと決めてました。ただそのときの私ってメールも送れないし会場を押さえることもできなかったので凄い手探りでやって、セルフでやってるアイドルさんからアルバムの作り方やメールの出し方を聞きました。
フリーランスって限界があるって言われがちだと思うんですけど、それを良い意味で突破したいなっていう気持ちが強くて、事務所に入らないとできないのではないかとけっこうみんな思ってやってないこととか多いと思うんですけど、だから自分で一回やってみようって思ってメールとかで好きな人とかにメールを送りまくりました。その一人が今回の「SHOOTING☆STAR」っていう楽曲のMr.Asyuさんという方で、でも普段だったらできないと思うじゃないですか、だけどコンタクトのメールアドレスがあるから一回自分の言葉で送ってみようと思って。
多分事務所だったら形式的な文章になると思うんですけど、私の気持ちをラブレターのようにずらーっと書いて送ったんですよ。そしたらお返事が来て楽曲作りますと言ってくれて、このオファーが成功したことで原動力になったなと思いました。自分で行動すれば変わることってあるんだと思うことがきっかけでアルバムを作るにあたっていろんな人にメールをしました。もちろん普段から楽曲を作ってもらってるこはる。さんだったり、CHEEBOWさんにも楽曲制作で協力してもらいました。
──前作『たまんねぇなー』の制作には近い関係の人が多かった印象ですが、今作では様々な方が楽曲提供しています。
るなっち☆ほし:そうですね。前作は界隈が近い人が多くて、今まではマネージャーさんと相談しながら私の希望を提案しつつやってたんですけど、もともとゲームミュージックが好きだからとことん好きなものに突き進んでいこうかなと思って、自分らしい曲を作ってもらうために仕様書を書いて、こういうふうに作ってほしいって出したので今までの作品にと比べてもより純度100%のアルバムになったのかなとは思います。
──仕様書はどういった感じで出したんですか。
るなっち☆ほし:実は1月に開催したワンマンのタイトルが『正統派破天荒』なんですけど、それに向けて正統派サイドと破天荒サイドで曲をお願いしてて、例えば「いちごミントの夏」は正統派、「IQ5000」は破天荒という感じでバランスを見ながら作ってて。作曲家さんごとに正統派な楽曲をお願いします、破天荒な楽曲をお願いしますって言ってそこから肉付けしていきました。
──アルバムの印象はいかがですか。
るなっち☆ほし:出来上がって思ったのは、るなっち☆ほしらしく作っていただいたなって。もちろんキャラソンみたいな「IQ5000」みたいな曲とかは分かりやすいんですけど、「いちごミントの夏」も正統派で私が歌ってこなかったようなしっとりした曲をお願いしてちゃんと馴染んでくれたことが嬉しくて、皆の思うるなっち☆ほしで書いてくれたんだなって伝わりました。
このアルバムは私が活動をしてきた中で出会った人にお世話になることが本当に多くて、例えば「きらきらっきー☆」を作詞してくださった森若香織さんはLOFT9で共演したのがきっかけだったんですよ! そのトークイベントのときに作詞してくれませんかって伝えて、そのイベントで私が山に登るっていうのと、ご飯を食べるのが大好きだから、「おかわり3合GOGO」って言ってたんですよ。そしたら「きらきらっきー☆」を頼んだときに歌詞に入っていたんですよ。凄くない? と思って。今まであったこととかが歌詞として出来上がっていることに感動したり、フリーランスだからこそ人の力を借りないとできないことが多かったので、そういう意味ではこの人とはここで共演したのねとかが散りばめられてここにぎゅって詰まってきたなと。
──森若さんの起用は驚きました。
るなっち☆ほし:そうですよね。森若さんはけっこうアイドルさんの作詞をしているイメージがあって、自分の中ではでんぱ組.incさんに歌詞を書いている人だってイメージが強かったんです。森若さんの歌詞を歌詞カードで見たときに目で見て可愛かったんですよ。聴くだけじゃなくて、見ても楽しいことに感動してお願いしました。
お客さんを笑顔にしたら勝ち
──曲が誕生した時系列を教えてください。
るなっち☆ほし:今回の楽曲は再録曲を含めてなんですけど、半年で出来上がった楽曲がほとんどです。最初に頼んだのはMr.Asyuさん、こはる。さん、CHEEBOWさんに頼んでそのあとに森若さん、ワンマン近くでかききまなみちゃんに「銀河に願いを2」をお願いして。
──「富士山」を書かれた立秋さんはどんな方ですか。
るなっち☆ほし:立秋さんは福岡在住なので遠隔でやり取りしていて、私がフリーランスになって大きくシフトチェンジして、より声優の道を進みたいとか2次元になりたい気持ちが大きくなっていて、音ゲー界隈の方にも楽曲提供してもらおうと思ったのがきっかけです。
今まで渋谷系とかやっていたんですけど、私の純度100%の好きを詰めていくってなったらそっちかなと思って舵を切ったので最初は不安でした。今まではちょっとお客さんが好きそうな曲とか、私のファンの方に刺さるっていうのを意識して作ることも多かったし、実際人気曲になっている曲もあるんです。だから私が好きなことをやってお客さんが置いてけぼりにならないかなっていう不安があったのですけど、いろんな所で披露していくうちにお客さんにも受け入れられて私も嬉しかったです。私の好きなことやってもいいんだって自信にも繋がったなって思いました。「富士山」とか本当に受け入れてもらえるかな、ここまでやっちゃって良いのかなって思いました。
──「富士山」、「IQ5000」はライブで再現するのが大変そうですが。
るなっち☆ほし:それは私も思ったんですよ。こういう曲やってる人って歌ってみたとかで顔出してないとか、完成されてる音源なんですよね。むしろ私しかいなくない? と思って。ある意味、生のライブで聴けるっていうのを強みにしていきたいなって思いました。
──グループのアイドルさんにはいますけど一人ではあまりいないですよね。
るなっち☆ほし:ですよね! 私は一人で歌って踊るから、こういう曲を歌うには体力が必要だなって思って普段趣味でやってる山登りも体力作りだって思いながらやって、ワンマン前も走り込みにジムに行って息切れしないようにしていたりとかして。体力面でも鍛えられました。
ライブパフォーマンスでもう一つ変わったのが生歌じゃなくていいんだって。お客さんは口パクを嫌うので私にも抵抗があって、だけどそうじゃない! お客さんを笑顔にしたら勝ちだと思ったんですよ。それに気付いてからは歌ってないパートもあるんですけどそこをどう面白くできるかとか、今まで歌っていて顔を作れなかった分お客さんにそういうところを見てもらいたいなとか新しいるなっち☆ほしを見せられるんじゃないかなと思って、そこのパートは毎回顔とか動きを変えたりしてやって、新しいエンタメの形を提供できたんじゃないかと思います。だからと言って歌を疎かにしたらいけないのでちゃんと歌うところは歌うんですけど、今までやっていたことを良い意味で取っ払っていきたいなという気持ちになっていきました。
『音楽って最高!』というタイトルは何気ない一言が始まり
──アルバムの構成が前半と後半でがらっと変わっていますね。
るなっち☆ほし:そうなんですよね。最初アッパーな感じの曲から始まってだんだん聴かせる感じになっていくんですけど、曲順も自分で考えて凄い楽しかったです。実は『音楽って最高!』というタイトルがあるんですけど、そのタイトルのもとが2019年に私が言った一言だったんです(笑)。何気ない一言だったのですけど、それが凄いウケて自分の名前が「るなっち☆ほし」っていうのがだんだん受け入れられてきたように、『音楽って最高!』っていうちょっと普通の人が付けないようなタイトルも私が言ったらこれが普通ってなるのじゃないかと思って付けたのがきっかけで、でも一応調べたのですよね。『音楽って最高!』って被ってないかなって。ありそうだけどなかったから私だけだってなってそれが決め手になりました。
後からいろいろカチってハマったことなんですけど、「triangle again」って曲を最後に入れていて、この曲が3年前くらいに作られたんですけどいろいろ理由があって音源化できなくて、やっと音源化できるってなったときにアルバムに入れようとなりました。
これは私が作詞しているのですけど、曲のテーマとしてトライアングル、三角の再生ボタンをイメージして、歌詞の中に「サイドポケットから取り出す2人繋ぐコード」っていうのがイヤホンだったりそういうところが散りばめられていて、あーこの曲良かったなもう一回聴こうみたいなイメージで付けたのですけど、これを最後に持ってくることによってアルバムをもう一回聴いてもらえたりとか、『音楽って最高!』の意味を成すのじゃないかなって思って。だから3年越しに全部がカチってハマったなっていうのが凄い気持ちよくて。
──3年前からあったんですね。
るなっち☆ほし:そうなんです。私の楽曲っていろんな人に頼んでいることが多いので、バラバラになるんじゃないかっていつもタイトルに悩むんですよ。普通は統一したテーマとかに合わせて作ると思うんですけど、バラバラな中どういうテーマにしようかとかいつも悩んでて、『音楽って最高!』ならどれでも当てはまるなって思ったんですけど、具体的なトレーラーをいただいたとき綺麗にまとまったなと感動したんです。全部自分の曲になってくれたとか、アルバムとしてまとまりのあるものになったことに感動しました。あんなとっ散らかっていたはずなのに全部を通して好きを詰め込んだアルバムで作品としても素晴らしいものになったなと思ったんです。
これが名刺代わりなるというか、これが私ですって言えるようなアルバムになったなと。自分で全部やったので凄く愛着が沸いた宝物なんです。純粋にいろんな人に聴いてもらいたい気持ちが強くてこれはどこに出しても恥ずかしくないなって思って作っていたので、だから出来たときは感動しました。
──とっ散らかっているとは感じませんでした。通しで聴いたときにまとまっているなと思いました。
るなっち☆ほし:それが不思議でした。一曲ずつ頼んだりしているから。最近悩んでいたことが、一言で言うとどういう曲を歌っているんですかって聞かれたときにいつも困っていたんですよ。アーティストさんって一言で言えるじゃないですか。ロックをやっていますとかジャンルがあるけど私はけっこうバラバラだからどうしようかなって思っていたのですけど、このアルバムを通してこれが自分なのだって今までぼんやりしていたことがこれがるなっち☆ほしっていうふうに鮮明になったなって。楽曲のテーマ、やりたいことがお客さんに伝わってきたなと思いました。