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INTERVIEW

トップインタビュー藤沼伸一(映画『GOLDFISH』監督 / 亜無亜危異)- 還暦新人監督のデビュー作は自身のすべてをモチーフに、死の波を泳ぐ金魚を人生になぞらえた骨太の人間ドラマ

還暦新人監督のデビュー作は自身のすべてをモチーフに、死の波を泳ぐ金魚を人生になぞらえた骨太の人間ドラマ

2023.03.29

あくまでフィクションで、実在の人物に寄せたいわけじゃない

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──そうしたテーマがある一方で、亜無亜危異の5人をモデルにした青春群像劇としても肩肘張らずに楽しめますね。プロの役者はやはり凄いなと思ったのは、イチを演じる永瀬正敏さんが途中から伸一さんにしか見えないことなんですよね。

藤沼:そうでしょ? そこはちゃんと見出しにしといてね(笑)。永瀬さんは実在する俺の役をやるわけだし、わからないことがあればそこにいる俺に訊けばいいみたいなことをインタビューで話してたね。休憩中もよく一緒に食事をしたし、ずっと観察されていたのはやめてほしかったけど(笑)。

──伸一さんのギターとピックを永瀬さんにプレゼントしたそうですね。

藤沼:うん。永瀬さんも昔バンドをやっていたそうだし、ギターも軽くなら弾けるってことで、ある程度の下地はあったのかな。映画の中で使う曲を俺が弾いたり、立ってアクションするのを永瀬さんが撮っていたから、それを持ち帰って見て研究されたんだと思う。その甲斐もあったのか、撮影の途中から永瀬さんの立ち方とかポーズの決め方が凄い俺に似てきてさ。あまり俺に寄せるとコメディになっちゃうからやめてねと言ったんだけど(笑)。

──アニマル役の渋川清彦さんも(仲野)茂さんにしか見えませんね。モヒカンヘアもそうだし、ちゃんと葉巻を吸っているし。

藤沼:茂は昔、葉巻を吸っていたからね。茂の役って簡単なんだと思うよ。がさつでぶっきらぼうに振る舞えばだいたいあんな感じになるじゃん?(笑)

──そうしたキャスティングの妙もあり最後まで飽きずに見られますが、配役はどう決めていったんですか。

藤沼:脚本は映画の大事な設計図なので、完成するまでに2年くらいかかったのかな。脚本家とディスカッションを重ねていく中で登場するキャラクターが徐々に明確になっていって、その過程でスタッフのみんなといろいろ話し合ってキャストを決めました。最初、イチ役はトム・クルーズがいいって言ったんだけど、それじゃ字幕付きになっちゃうよって(笑)。あと、若いイチ役はモーガン・フリーマンがいいって言ったんだけど、逆に歳喰ってるじゃないかと言われて(笑)。まあそれは冗談として、結果的にどの役もバッチリでしたね。

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──ハルを演じた北村有起哉さんも素晴らしいですね。どう見ても晩年のマリさんにしか見えなくて。

藤沼:昨日、『ヤクザと家族 The Family』のBlu-rayを観てたんだよ。舞台挨拶の研究をしようと思って(笑)。それにも北村さんがヤクザの役で出ていたけど、鬼気迫る演技で凄かった。北村さんは『浅田家!』を映画館で観て、ちょっとしか出てなかったけど観客の心をギュッと掴む役所でさ。東日本大震災で被災した福島に住む人の役で方言も完璧で、本当に現地の人を登場させたのかな? って思ったくらい。そんな経緯もあったので、スタッフからハル役に北村さんはどうか? と提案されたのは意外だったけど、引き受けてくださって嬉しかった。ちなみに言うと、北村さんは亜無亜危異のドキュメンタリーも観てくれたし、マリの墓参りにも行ってくれてね。

──テラを演じたのは怒髪天の増子直純さんですが、大河ドラマにも出演経験があるなど演技にも定評がありますね。

藤沼:黒澤明ね(『いだてん〜東京オリムピック噺〜』)。増子はやっぱり上手いよ。今回もKEE君(渋川清彦)と永瀬さんと3人で揃うシーンがあるけど、全然物怖じしてなかったしね。バンドが本業だから普通はもっと緊張すると思うけど、現場では一切なかったから。

──アニマルとイチがテラにまたバンドをやろうと会いに来るシーンですね。アニマルとテラのやり取りがアドリブっぽく見えましたが、本作ではわりと即興の演技を活かしているんですか。

藤沼:永瀬さんがよくアドリブを入れてくるんだよ。それを受けた役者同士の会話が面白ければOKだし、ケースバイケースだね。

──ヨハン役の松林慎司さんはコバンさん(小林高夫)に寄せている感じではないですけれども、バンドの屋台骨を支えるドラマーらしいムードメーカーっぽさをしっかり醸し出していましたね。

藤沼:あくまでフィクションだし、俺的にはそこまで似てなくても良かったからね。実在の人物に寄せたいわけではなかったしさ。

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──そうした壮年期の5人も良いですが、若くてやんちゃな頃の5人を演じた皆さんも良かったですね。特に若い頃のハルを演じた山岸健太さんには光るものがあって。

藤沼:役者としてバリバリやってる子たちじゃないし、そのぶん今の20代のリアルな感じを出してくれたような気がします。

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映画『GOLDFISH』

【出演】
永瀬正敏 北村有起哉 渋川清彦 / 町田康 / 有森也実
増子直純(怒髪天) 松林慎司 篠田諒 山岸健太 長谷川ティティ 成海花音
Skye(WENDY) Johnny(WENDY) Sena(WENDY) Paul(WENDY) 山村美智
林家たこ蔵 うじきつよし Mioko RICO(REGINA)
PANTA(頭脳警察) 稲田錠(G.D.FLICKERS) 豪起 まちゃまちゃ 井上あつし(ニューロティカ)
仲野茂(亜無亜危異) 藤沼伸一(亜無亜危異) 寺岡信芳(亜無亜危異) ユウミ

【監督】藤沼伸一
【企画・プロデュース】小林千恵
【エグゼクティブプロデューサー】篠田学
【プロデューサー】片嶋一貴
【脚本】港岳彦 朝倉陽子
【撮影】堀部道将
【照明】福田裕佐
【録音】臼井勝
【美術】仲前智治
【美術デザイナー】松葉明子
【装飾】天野竜哉
【衣裳】橋爪里佳
【ヘアメイク】野本滋代
【編集】福田浩平
【音楽】藤沼伸一 山下尚輝
【音響効果】小林孝輔
【助監督】石川真吾
【エンディングテーマ】「心の銃」(作詞 / 作曲:アナーキー)

【企画】パイプライン ミュージック・プランターズ
【製作プロダクション】ポップライン ドッグシュガー
【協賛】ロック酒 都商会
【特別協力】奈良美智
【配給・宣伝】太秦 パイプライン
【製作】GOLDFISH製作委員会
【共同製作】沖潮開発
2023年 / 99分 / カラー / シネマスコープ / DCP5.1ch
©︎ 2023GOLDFISH製作委員会

3月31日(金)シネマート新宿、シネマート心斎橋ほか全国順次公開

LIVE INFOライブ情報

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マリ-逸見泰成七回忌GIG-
出演:亜無亜危異
2023年6月4日(日)新宿LOFT
OPEN 16:30 / START 17:30
前売¥6,000 / 当日未定(DRINK代別¥600)
プレオーダー最速先行(e+)3月28日(火)10:00〜4月2日(日)23:59まで
一般発売(ぴあ・LAWSON・e+):4月8日(土)10:00〜
※お一人さま4枚まで
※未就学児は保護者同伴に限り入場無料
問い合わせ:LOFT 03-5272-0382

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