お笑い界で最も注目を集めていると言っても過言ではない"加賀"と"賀屋"からなる「かが屋」。賞レースでも頭角を現し、テレビ出演も増え様々な活躍へ飛躍する二人が「かが屋」を初めて知るRooftop読者のために結成秘話から今後の野望についてお話頂きました。今からでも遅くない!今、大注目の若手お笑い芸人「かが屋」を知ろう![interview:おくはらしおり阿佐ヶ谷ロフトA]
加賀と賀屋の出会い
賀屋:出会いですね…。(にやり)
加賀:僕は最初、大阪にいて。同級生に誘われて大阪NSCに通ってたんですけど、その子が大阪に行くタイミングで「やっぱりやめる!」って。だから、僕一人で大阪に行くことになって、一人で授業とかも受けてたんですけど…「一人で大阪に居てなにやってるんだ?」ってなって(笑)もう、“辞めよう”って思ったんで母親に「もう、帰りたい!」って電話したら「帰ってくんな!」って言われて…。
一同:(笑)
加賀:「もう、一度お笑いの道に入ったんだからしっかりやりなさい!」って言われて、じゃあ、頑張る! って思って(笑)。それで、コントが好きだったんで一人でコントしてたんですけど…「吉本に漫才劇場ができる」って丁度、決まって。
賀屋:うんうん。
加賀:その時、噂で「若手芸人はもう漫才しかしてはいけない」みたいなことが流れてきて…結果、全然そんなことなかったんですけど、当時はもうみんな何がなんやらみたいな感じで、僕の中では、「もう、コントができないんなら東京に行こう!」って思ったんで東京に行ってコンビニでバイトを始めたんですけど…そこの従業員として賀屋が働いてたんです。
賀屋:(うなずきながら)はい、そうなんですよねぇ。
加賀:僕のシフトは夜で賀屋のシフトは朝だったんで、会うことが全くなかったんですけど、店長に僕が「お笑い芸人になりたいんです。」って言ったら「誰が好きなの?」って聞いてくれたんで「僕はバナナマンさんが好きです!」って話をしてたら…。
賀屋:うんうん。
加賀:店長自身はいろんなシフトに入ってて、夜だけじゃなくて昼のシフトにも入っていたので、昼のシフトに入っていた時に賀屋と「朝、新しい子が入ったんだよ♪」みたいな話をしてくれてて、店長が賀屋に「その子、バナナマンが好きらしいよ?」って、そうしたら賀屋も「ボクもバナナマンさんが好きなんです。引っ越しのネタが好きなんですよねぇ。」って言ったのを店長が僕と一緒になったときに「夜のバイトの賀屋くんはバナナマンの引っ越しのネタが好きみたいなんだけど…お前はどうなの?」ってそれで僕がまた答えて、それを店長が賀屋に伝えて、賀屋が話したことを店長がまた僕に伝えて…。もう、店長を『バナナマンスレ』として…。
一同:(笑)
賀屋:書き込んでたね(笑)。
加賀:そう! 書き込んでて!(笑)そこで情報交換をしてたんですよ。それで見かねたのか、店長が「コンビニで忘年会しよう!」って言い出して…「コンビニで忘年会」って聞いたことないじゃないですか?
──ないですね。
賀屋:4時間営業ですしね?
加賀:どこでやるんだ? ってなってたら…「昼から夜までの8時間オレ(店長)と派遣の人がシフトに入るから従業員は全員で楽しんでくれ!」って。
──…いいヒト。
賀屋:そうなんですよ。すごくいい人なんですよ。
加賀:もう全員が参加できるようにしてくれて…。ただ、僕自身、「コンビニの忘年会」ってやっぱり意味がわかってなかったんで。
一同:(笑)
加賀:狭い事務所に段ボール敷いて。
賀屋:そうそう。
加賀:ビールケースみたいなのひっくり返して。
──え!? そういうことですか?忘年会って!?
賀屋:そうです、そうです(笑)。バックヤードで。
──普通に居酒屋さんとかで飲み放題のイメージしてたんですが…。
賀屋:違うんですよ(笑)。そのままバックヤードで。
加賀:(笑)そのまんま、コンビニの事務所の中ですよ! “STAFF ONLY”って書いてあるドアの向こう側でやってたんですよ(笑)。意味わかんなくないですか?
賀屋:そう(笑)。だから、店長が時々フライヤーで上げてくれた揚げ物を「ほら、コレ食え!」って持ってきてくれるんですよ。
一同:(笑)
加賀:そうなんですよ。そんな中、僕人見知りもあって…。
賀屋:東京の人じゃないからね。
加賀:そう。上京してきたばっかりだったし、それでずっと馴染めなくて外で煙草吸ってたんですよ。そうしたら、急に耳元で…「バナナマンさん好きなんだって?」って声がして。耳元ですよ!? もう、ASMRなんですよ!!!
一同:(笑)
加賀:「うぁあああああ!」って。なんかすごく近くで、本当に近くで聞こえたの!!!
一同:(笑)
加賀:それで、振り返ったら…この賀屋がいて。
賀屋:(にっこり笑顔)
加賀:賀屋は賀屋で僕に話しかけようと思ってたらしくて。
賀屋:そうですね。うん!
加賀:それで、意を決して来てたみたいなんですけど…僕の中での第一印象は”サイアク“!!!
一同:(爆笑)
加賀:もう…怖い。
賀屋:ボクは話しかけたい一心だったからねぇ。
加賀:でも、初めて話す距離じゃないじゃないっすか?
──確かに…(苦笑)。
加賀:耳元で「バナナマンさん好きなんだって?」って…もう、なに!? って。
賀屋:やっぱりインパクトが、ね?
加賀:凄かった…。
賀屋:うん。どうやって話しかけようかずっと考えてたんだよね。…なんか、いっつも間違えるんですよ、ボク。初めての人に…。
──距離感を?(笑)
賀屋:そうです。距離感!(笑) 距離感を、間違えるんですよねぇ。大学のとき、みんなで自己紹介をし合うオリエンテーションのときに、ボク大学でデビューもしたいし、なんか、目立たないといけないなって思って。その時、1年先輩の男の人と女の人が司会をしてて、女の人の方がちょっとボケ? みたいな感じで「今日は気合い入れてミニスカート履いてきました♪」って言ったときにボクもう…パンパンパンパン(巨大な拍手音)って新入生でボク一人だけ大拍手をしたんですよ。
──(笑)
賀屋:そうしたら、もう…シーンってなって。1、2カ月くらいずっと「アイツ、やばい奴だ」って思われちゃって。
一同:(笑)
賀屋:「なんとかしなきゃ!」「なんとかウケたい!」って思ったことが逆効果っていうか…。
──(笑)
賀屋:だから、その時も「なんかしたい!」「印象に残りたい」ってなって、失敗したんだよね。
加賀:なにそれ? 作戦なの?
賀屋:さくせ…ん~、ではあった。
加賀:なんか、一回かましといてみたいな?
賀屋:いや、かますまではいかないんだけど、”面白い奴“、”ちょっと違う奴“だと思われたいから、その加賀くんにしても違う人にしても…どうしたらいいかな? って思ったらまずは”圧倒的至近距離“からいけば印象に残るかな? って。
──大成功だったんですね!(笑)
加賀:確かに。印象には残りましたからね(笑)。その後、飯とかも誘われて何回か飯も行って。
賀屋:うんうん。そうそう。
加賀:なんか、最初の頃はかなり上からきてるというか(笑)。結構、例えツッコミとかセンスある感じできたりとか…。
一同:(笑)
加賀:家に呼ばれて、”書いたコントを見て欲しい“って言われて。
賀屋:あ~! あったね!
加賀:それで見たら3本くらい?
賀屋:うん! うん!(力強く頷く)
加賀:なかなか気合い入ってんなって思って見てたんですけど…最後、全部3本ともオチが同じで絶対に人が死ぬんですよ。
賀屋:ん…いや、そう。そうゆうのが格好良いって思ってたんすよ。そうゆうのがね、格好良かったのよ。そう。
加賀:…。なるほど…ちょっと。
賀屋:(爆笑)
加賀:なんか、ちょっと…どうなんだろうな、って思ってたんですけど、他に一緒にこうゆうことできる人もいなかったんで「一緒にネタとかやってみませんか?」ってなって、そこからですね! 二人でやるようになったのは。
賀屋:(笑)そうなんですよ。(どや顔)で、そのボクらの働いていたコンビニがファミリーマートで「あなたと”コンビ“ニファミリーマート」で、くっついてるんですよ。(にやり)
──…はい。なるほど。(苦笑)
賀屋:あ! いい笑顔ですねぇ~♪(笑)
加賀:なんか、本当にこの「あなたと”コンビ“ニ」をすごく気に入ってるんすよ(笑)。
賀屋:結構、上手いこといってるなって思うんですけどね。
──確かに、セブンイレブンだと“いい気分”になっちゃうし、他のコンビニではコンビにはなれないですもんね。
賀屋:そうですね! 他のコンビニだったらなれなかったですね(笑)。
加賀:あと、すごい偶然なんですけど…。
賀屋:うん、うん。
加賀:そもそも、その場所に住んでいたことも不思議…というか。東京出てきてすぐ初めて住んだのが武蔵小金井ってところで。
賀屋:初めてでそこはなかなかないよねぇ。
加賀:大阪から出てきて、東京の不動産会社もよくわかってないので、もう新宿をウロウロしてて、チェーン店でもなんでもない不動産会社に入っていったんですよ。そこで、担当の方に「芸人になりたいんですよ。」って伝えたら「えー!? そうなの? かもめんたるって知ってる?」って聞かれて、「もちろん、知ってますよ! 好きです!」って言ったら、なんか縁を感じてくれたのか…「う大って武蔵小金井ってところが地元で、昔はそこに住んでていいところなんだよ。」って言われて。
賀屋:よく意味がわかんないんだけど(笑)。
加賀:いや、僕も意味がよくわかってないままで(笑)。ただ、「武蔵小金井っていいところだからその辺で探す?」みたいな感じで、う大さんも昔住んでたし、いい縁というか…ご利益? みたいなのがあるかもよ? みたいな。
賀屋:はいはいはいはい。(うなずきながら)
加賀:それで、武蔵小金井で物件探し初めて、住み始めて、バイトし始めて、出会ったっていう…。ただ、賀屋は賀屋でマジでバイト…13個落ちてて。
──!?!? え?
賀屋:そうなんすよ~。ボク、大学入って大学の近くだったんで武蔵小金井に住んでたんですけど、その間1年間くらいバイトの面接ずっと受けてたんですけど、全部落ちたんですよ。…チェーン店の居酒屋とかも落ちたんですよ。
──えっ!? 落ちるんですか?
賀屋:びっくりしますよね?(笑) 誰でも受かると思ってて最終手段として、「仕方ねぇな」くらいのテンションで行ったのにまさかの不合格で…元気なさすぎるって。
──元気なさすぎるってそんなこと…あるんですねぇ。
加賀:ありとあらゆるバイト全部落ちてるんすよ!?(笑)
賀屋:13回普通に行って面接してる中で2回「今日、熱あるの?どうしたの?」って聞かれて…。全然、熱も出てないんすよ?(笑)
一同:(笑)
賀屋:なんか、病気だと思われるほど覇気がなくて…。
──(笑)当時が病的に血色悪かったんですか? 今の賀屋さんは普通に受かりそうですけど…。
賀屋:今のボク…あんまり当時と変わってないと思うんですけど…。
加賀:(食い気味で)いや、もっと違いましたね!
賀屋:え!? 違った???
加賀:もうちょっと髪の毛は短かったと思うし…もっっっっっと顔色が悪くって!!! 今はマシになった方ですね。
賀屋:んふふふふふ(爆笑)
加賀:その時、本当にもっと顔色悪くって、なんか…。
賀屋:うんうんうんうん。
加賀:なんか…、なんていうんでしょうね?
一同:(爆笑)
賀屋:形容しがたいやつ?(笑)
加賀:なんか…(笑)。あと、「そんな四角!?」みたいな眼鏡もかけてて!
一同:(爆笑)
賀屋:かけてたけど!(笑) いいじゃない(笑)。
加賀:その眼鏡が似合ってないんすよ。
賀屋:眼の大きさと同じくらいの幅の眼鏡で…(笑)。
加賀:本当に見た目が…。
賀屋:見た目が合ってなかったんでしょうね。多分ね(笑)。
加賀:それで、13個も面接落ちてて、そのコンビニにやっと拾ってもらえてバイトし始めたんすよ。
賀屋:そうそうそう。もう、忠誠を誓ったコンビニ。(にっこり)
加賀:いろんな縁が相まって、ね。
賀屋:そうなんですよ。いろんな偶然が重なって。
加賀:あ! そうだ、あと僕らその時は“久保”と“平井”だったんですよ。
賀屋:名前がね。今は“加賀”と“賀谷”ですけど、出会ったときは違ったんですよ。
加賀:久保、と
賀屋:平井、でね。
加賀:僕ら両方とも母子家庭で両親が離婚してるんで、前までは父親の苗字をそのまま使ってたんですよ。
──そうなんですね。わたしも母方の苗字ですね。
二人:あ! そうなんですね!
賀屋:引き寄せますよねぇ(笑)。周りにも多くないですか? 仲良くなる人とか話が合うなって思う人って親が離婚してたり、片親だったりしません?
──話が合う人は確かにそういう方は多いかもしれないですね。
賀屋:そう。多いんですよ。だから、ボクらもそれがあってちょっと仲良くなったんですよ。最初はボクから話しかけてめっちゃ怖がられてたんですけど、話してたらそうゆう境遇とかがちょっとだけ似てて。
加賀:母子家庭の称号を持ってるから!(笑)
賀屋:そう(笑)。母子家庭バッチ持ってるからね。
一同:(笑)
加賀:だから、人を肩書きでみちゃうところがあって(笑)。
賀屋:(笑)母子家庭を肩書きとして扱ってる人あんまいないよ?
加賀:でも、やっぱシングルマザーって、バンって出してもらえると僕は近い感じがしちゃうんですよね!
賀屋:わかるよ~!(笑)
加賀:(笑)それで、「あ、そうなんだ!」ってなって、コンビ組むって時にその話が出て、お互い片親だからで、母親の旧姓をちゃんと聞いて。
賀屋:そうだね。うんうん。
加賀:その時に初めて母親にも聞いたんですけど、僕、久保が“加賀”で平井が“賀谷”だったんですよ。
賀屋:そうそうそう。
加賀:それで、「あ! レくっつくじゃん!」ってテンション上がって
賀屋:「かが屋」ってなったんですよ。