ROCK'N'ROLLERにしてROCK'N'LAWYER(LAWYER=弁護士)の島キクジロウ。7月に新宿LOFTで久し振りに開催された伝説のイベント『JUST A BEAT SHOW』の中心バンド・the JUMPSを経て、仲間が集まり結成された島キクジロウ&NO NUKES RIGHTS。2ndアルバム『KNOW YOUR RIGHTS』が完成!
6人のメンバーと多くの仲間たちで作り上げた本作、バラエティと躍動感にワクワクする。そのワクワクは歌詞からも。弁護士として原発訴訟等で国や大企業と闘う、その視線から生まれた歌詞。今作は日本国憲法の条文も出てくる。シビアだし考えさせられる。でもだからこそ、あぁ、そうだったのか! と扉が開かれていくようにワクワクするのだ。初めてパンク・ロックを聴いた時って、こんな感じだったじゃん!
島キクジロウと小澤亜子、学生時代からの仲という2人に訊く。(interview:遠藤妙子)
ニュー・ウェイヴ育ちなりのアプローチ
──まず、2人の出会いは?
島:大学のサークルで一緒だったんですよ。
亜子:サークルの同級生。大学1年の春に出会いました。
島:宙也もいた。宙也は当時からバッキバキに髪の毛立てて。東京の奴って髪の毛立ててるんだーって思った(笑)。俺なんかパンチパーマだったもんね。
──宙也さんも復活後のアレルギーの「Eos〜暁の女神」という曲の中で“九条を守れ”って歌詞を唄っています。
島:そうかぁ! 彼も凄い意識してるからね。考えてる。
──前作『ROCK'N'LAWYER宣言』では、宙也さんはゲストで参加してましたね。
島:うん、1曲、ツイン・ボーカルで唄ってもらったけど、最高だった。
──大学のサークル、凄いメンバーで楽しかったんだろうなー。
島:ホントに強烈なキャラクターが集まっとって、とんでもなかった。
亜子:でもキクちゃんとは一緒にバンドやってないしね。当時のバンドで対バンしたこともなかった(笑)。
島:1、2回はあるでしょう(笑)。
亜子:あったかな? っていう程度(笑)。
──その後、the JUMPS、ZELDAと各々活動していくわけですが、対バンしたりは? 『アトミック・カフェ』には2バンドとも出てましたよね。
島:一緒に出たってことはないんだよね。ZELDAのライブは見てたけどね。会ったら挨拶はするし(笑)。
亜子:仲悪かったわけじゃないし(笑)。
──じゃ、今一緒にやっているのは、どんな感じの流れで?
島:俺が42歳で弁護士を目指すことにした時、音楽もやり続けるぞって、そんな確固たるものはなかったのね。ロック弁護士になろうと思ったんだけど、それは音楽をやらなくてもいいわけでしょ。ロックンローヤー(lawyer=弁護士)ね(笑)。ロックな弁護士になって、国とか権力を相手にハデにやってやろうって(笑)。
——以前は、バンドは企画(『JUST A BEAT SHOW』ほか)も含めて活発でしたよね。で、弁護士になって音楽を継続してやるって確固たるものはなかったということですが、やっぱり続けていくわけで。続けるきっかけは?
島:司法試験に合格した後、修習で10カ月間、高知に住んだんだけど、そこでなんとなく音楽活動も始めちゃってさ。こっちに戻って間もなく、弁護士になって3カ月ぐらいで原発事故が起きた。それで反原発の集会で唄わないかって誘いがいくつかあって。最初は弾き語りでやってたんだけど、一人じゃ寂しいからthe JUMPSのドラムだった吉田(吉田スパイシー雄三)を誘って。パーカッションやってよって。吉田も同じ大学のサークルだったの。次はサックスの福島ピートも呼んで3人でやって、やっぱり音が多いのは楽しいなって。その後、ライブに吉田が来られない時があって、それじゃ亜子を呼んじゃおうってジャンベで参加してもらって。その時が初めてだよね、一緒に音出したの。
亜子:そう。ホント一緒に音出したのは初めて。
──長い付き合いなのに(笑)。
亜子:私がしばらく音楽を離れていて活動を再開し始めたタイミングとちょうど合ったんです、誘いがあったのが。
島:亜子のジャンベがなかなか気持ち良くて。そしたらピートが「次は吉田さんと亜子さん、2人に来てもらいましょう」って言いだして。そういうのもありだなって俺も思って。さらにthe JUMPSの最初のギタリストのクロス(the LEATHERS)にも声かけたりして、なんとなく気持ちいいサウンドができていった。最初からバンドやるぞ! って気持ちでやっていたらこうはならなかったと思う。形を決めずに自然に始めたから良かったんだね。
亜子:私は音楽活動を再開してからはドラムも叩いてたんです。でもキクちゃんから誘いがあった頃には、パーカッションが面白くなってきてて。
──パーカッションは島さんとやるようになってから本格的に始めたんですか!?
亜子:再開後に始めたんです。だから最初はパーカッションをずっと極めてきた方々のようにはいかないけれど、そこはニュー・ウェイヴ育ちなので(笑)、気持ちからイケル。このバンドはそれがOKで、そこが大事だったので。そうしたらどんどん面白くなっていって、アコースティック・パンクだ!って。
島:ZELDAも後半はパーカッシヴなバンドになっとったもんね。
亜子:そうそう。
島:ZELDAはメンバーみんなが興味あることに自由に向かって行くバンドだったよね。
亜子:そうそう。だから私自身、こっちに行くのは自然なんだなって。