80年代中盤、東京モッズ・シーンの中核を担ったバンド、THE LONDON TIMES。キャッチーなサウンドと狂気をはらんだ歌やステージングで、モッズ・シーンはもちろんパンク・シーンからも大きな支持と人気を得ていた伝説のバンドだ。そのTHE LONDON TIMESが数十年の時を経て、遂に復活する。そして、報を受けたかつての仲間たちも結集した。7月22日、新宿LOFT『JUST A BEAT SHOW』がそれだ。出演する4つのバンドを代表し、the JUMPSからvo.の島キクジロウ、MAGUMI AND THE BREATHLESSからマグミ、JETZTから池上ヒサシ、そしてTHE LONDON TIMESから片岡ケンイチが集まり、久しぶりに語り明かした。その一部をここにご紹介したい。(interview:中込智子)
「ロンタイやる?」「俺もやりたい!」
一同:久しぶりー!カンパーイ!
──酔っぱらう前に皆さん全部話しておいてくださいね。というわけで、まずはすべての発端であるロンドンタイムス復活の話題から教えていただけますか?
片岡:はい。まず、ロンタイで最後にライブをやったのは、2002年の渋谷クラブエイジアかな。
マグミ:あれ? そんなに最近だったっけ?
島:最近じゃないぞ、17年前だぞ(笑)。
池上:でも感覚で言うと最近だよな(笑)。
片岡:まぁあれは再結成ライブだったしね。ロンタイは88年に解散して、それ以降の再結成ライブは実は2回しかしてなくて。どっちも『ジャスト・ア・ビートショウ』(笑)。
島:大事だな(笑)。
片岡:うん。で、今回の復活のきっかけは、ウチのキーボードのカメ(キャプテン・ティンカーベル)が、下北沢のみん亭(※みんは王民)という中華屋さんで昔バイトしてて、去年の夏に、そこでバイトしてた仲間で集まろうっていう話になったのね。今は有名になった俳優さんや、あとあそこはバンド関係が多かったんだけどさ、みんな揃ってた(笑)。で、実は俺もみん亭でバイトしてたことがあって、1年ぐらいなんだけど(笑)、とにかくそこに行ったわけ。
──ほぼバンドマン系の同窓会状態ですね。
島:まぁグレイス(コモンズ)はまだ働いとるけどな(笑)。
片岡:そう(笑)。で、そこでカメと、とあるバンドのメンバーと話してて、なんかそういう話になったんだ。「ロンタイやる?」って。とある人は「俺もやりたい!」って言って。
──とある人は、86年のオムニバス・アルバム『ジャスト・ア・ビートショウ』に、ジャンプス、レピッシュ、ロンドンタイムスと一緒に収録されているバンドのベースの方っすね。つうか伏せる意味あるんかこれ!
片岡:よくわかんないけど一応ね(笑)。しかもベーシストなのにギターやりたいって言って。
一同:えええええええ!
マグミ:俺、てっきりサンペイ(片岡の愛称)ちゃんがギター弾くもんだと思ってたぞ!
池上:俺も!!
島:まぁ俺はカメが練習テープ全部片っ端から送ってくるから知ってたけどな、凄いよな(笑)。
片岡:それでとりあえずライブも何にも決まってない状態で練習を始めてみたんだけど、そこからカメが「ロンタイやるよ!」ってあっちゃこっちゃに連絡し始めて、もちろん島くんにも。でも本当はしばらくやってなかったんでしょう? 『ジャスト・ア・ビートショウ』。
島:全然やってなかった(笑)。でもまぁ、カメと電話でいろいろ話してさ、やるっきゃないよな。
マグミ:俺もそんな感じ。ただ、先にキャプテンから連絡来たからさ、「早く島さんから連絡来ないかな!」って1週間ぐらい待ってたよ(笑)。
池上:うちは島さんから連絡もらって、ロンタイの復活で島さんも耕ちゃん(マグミ)も出るし、やらない? って言われて。
──実はイエッツも相当久しぶりのライブになりますよね?
池上:うん。実はだいぶ前にも1回誘ってもらったんだけど、その時はメンバー全員揃わなくて断ってたの。今回は連絡したら全員揃うってことで、「やるか!」と。ただ、うちのバイチがドラム叩くの、24年ぶりらしい(笑)。
一同:はははははは!
ブルーハーツってバンド、凄いんっすよ!
──皆さんは全員、84〜86年辺りに知り合い、対バンもしていましたが、改めて関係性を整理したいと思います。まず、島さんと片岡さんが最初に出会いますよね?
マグミ:そうそうそう、俺、知ってるよ、サンペイちゃんがスピルカ(ジャンプスの前身バンド)のドラムぶっ壊したの(笑)。
島:そんなことあったなぁ!
池上:サンペイさん、暴れてましたからねぇ。
島:思い出した、あれ『ジャスト・ア・ビートショウ』の4回目か5回目の時だ、新宿ACB! 「あいつらだけは許さん!」って思ったのに、ライブ終わったら誰も残ってないの(笑)。
片岡:(ニコニコしている)
島:あれ、頭狂ドールズ(ロンタイの前身)の時だっけ? そんでさ、スピルカからジャンプスになって、当時のジャンプスのサックスがモッズでさ、「ブルーハーツってバンドが始まったんだけど、あいつら凄いんっすよ、1回見に行きましょうよ!」っていうから行ってさ、そしたらホントに良くてさ、楽屋行って一緒にやろうって話してたらヒロトとマーシーが「ロンドンタイムスっていうバンドも凄くいいよ」って言ってさ、それでまた見に行ったんだ、「ちょっとヤだなぁ」とか思いながら(笑)。でさ、やっぱり良くてさ、「お前、片岡っていうの? カッコいいね。一緒にやんない?」って
一同:あはははははははははははははは!
──いい話です。そして対バンなどを行なう中、85年に『ジャスト・ア・ビートショウ』のレコーディング・ライブの話が持ち上がり、最初の録音が行なわれました。
島:何となく仲間を増やしていってた時期でさ、最初は単純にライブを一緒にやろうっていう話だったんだけど、そこからライブ盤を作ろうってなってさ。俺らとブルーハーツとロンドンタイムスと、あと昔から知ってたホルモンズでやったんだけど、俺の考えが甘すぎてさ、知り合いからもらったオープンリールをチェックもせずに持ってったら、録れてなかったんだよ!(笑)
──酷い(笑)。さぁそこでレピッシュの登場です。
島:もう1回録り直そうってなるんだけど、そのタイミングでホルモンズのメンバーが辞めてしばらく活動できないってなってさ、今度はうちのベースだった小高の推薦で「『熊本』っていうヒットナンバーを持ってるいいバンドがいるぞ!」って。
一同:はははははははははははは!
マグミ:ジャンプスとレピッシュって、練習で使ってた明大泉校舎のサークルの部室が隣同士で、小高さんが凄くウチのことを気に入ってくれてたんだよね。それで誘われてまずロンタイを見に行ったんだけど、すっごく覚えてるのがさ、サンペイちゃんリハで暴れすぎて本番で声出なくなってるんだよ!
片岡:手を抜くってことを全く知らなかったんだよ〜。
──はははは。そしてイエッツは当時、自分らで『グリーンドア・バザール』というビート系のイベントをやっていて。
マグミ:それプラス、早稲田のプロ研だよな。『ジャスト・ア・ビートショウ』とはそっちで繋がる。
池上:そう。それと俺の先輩が恭ちゃん(杉本恭一)と知り合いだったんだ。で、レピッシュを見に行こうってことになって、そっからだよね。
島:イエッツはバッド・コンディションの太田さんがさ、あいつらは学生バンドじゃない、ちゃんとやってるプロだ! って言い始めてさ。太田さんの目も節穴だよな、思いっきり学生だったじゃないかっていう(笑)。
マグミ:太田さん(笑)。