「master+mind」が主催する年始のROCKフェスティバル【Rock is Culture 2019】にて、2月3日に新宿LOFTで、椎名慶治と中島卓偉の三度目となる競演が実現する。
ボーカリストとして、そしてトークでも引け目をとらない2人の関係性やターニングポイントなど、いろいろな内容が盛り沢山な対談になっている。
熟練したボーカリスト同士の競演、是非お見逃しなく!![interview:河西香織(新宿LOFT)]
2人の出会い
——お2人の出会いやその時の印象をお聞きしたいのですが…。
椎名:どうだったっけな? 卓偉のレギュラーのラジオだと思うんだけど…。
卓偉:僕のInterFMのラジオですよね。
椎名:お互いに認識はしてるけど、直接挨拶をしたことはなくて。でも「ゲストにSURFACE(椎名の別ユニット)来て下さいよ」って言ってくれたと思うんだよね。それでゲストで行った時にどこかの地下のスタジオで会ったのが初めましてじゃなかったっけ?
卓偉:SURFACEの解散の1年前とかでしたよね?
椎名:まだ解散が決定する前だったかな?
卓偉:『Invitation No.6』が発売する前のアルバムのプロモーション時だったと思いますよ。
椎名:2007年とか2008年っぽいです。
卓偉:10年前くらいですよね。SURFACEは1998年、僕は1999年がデビューで、それこそニアミスで昔の『ポップジャム』とかのテレビ番組で、収録が1部・2部とかで分かれてて、同じ日にいたけど楽屋も違って、放送日も違ってとかっていうのは、よくあったと思うんですよね。
椎名:何で卓偉のことを知っていたかって言うと、俺の元カノが卓偉のことを好きだったんですよ。
一同:(笑)
卓偉:そういう話はしなくていいんだよ(笑)。しかもすごい遡る元カノじゃないですか。
椎名:4人くらいね(笑)。しかも当時は格好付けて『中島』を抜いてるんですよ。英語で『TAKUI』ってね。
卓偉:格好付けてねーっすから(笑)。でも、作詞・作曲のクレジットはずっと『中島卓偉』なんですよ。
椎名:「ロケット」って付くタイトルのシングルがなかった? そのシングルが家にあったもん。彼女のせいでね!
卓偉:知らんし(笑)。
椎名:ちょっとメイクしてるの。すごい元気でカラフルなジャケットなんですよ。カラフルな服を着てて。何だったっけな〜。だから知ってたんですよ。
卓偉:まあ、「ロケット」って付くタイトルはないんですけどね。
一同:(笑)
椎名:なかったっけ? えーとね、「ダイブ」!
卓偉:ないですね。
椎名:ないね。OK、OK!
一同:(笑)
卓偉:何と一緒になってるんですか(笑)。
椎名:『ROCKET DIVE』だ。あっ、これはhideさんかな。
一同:(笑)
卓偉:これがね、慶治です(笑)。
椎名:彼女はね、俺がミュージシャンだってことを知っていて付き合ってたんだけど、その時に好きなのが俺じゃなくて卓偉って言われると、ある意味嫉妬…。
卓偉:そんなのあるんですか!? ないでしょ、兄さんだったら。
椎名:「そうなんだ、へ〜。どんな奴なのか聴いてみる」って聴いてみたら、「めっちゃ歌が上手い」って思って(笑)。
卓偉:有難うございます(笑)。
椎名:それが最初に卓偉を認識したことで、その後の2007年か2008年のラジオで会ったんだよね。
互いの印象
——実際に会った時の印象はどうだったんですか?
卓偉:それこそ僕は歳も下ですし、デビューも遅いですから、SURFACEや椎名さんだっていうことは一方的に知っていて。デビュー前はカラオケ屋で働いていて、SURFACEのシングルが出る度にプロモーションビデオが必ずでかい画面でいつも流れてて、「これがニューシングルなんだな」ってことも分かってたし。あとは椎名さんが出てこられた時代って、16ビートの跳ねた曲をやってる人が本当に少なくて、僕はそっちが好きだったし、すごくAメロの歌詞の滑り具合とかっていうのが良くて、すごく異色だったので、やっぱり目立って聴こえましたね。
椎名:有難いですね。
卓偉:あと、永谷(喬夫)さんのギターが歪んでなかったんですけど、これが本当に良かったんですよ。みんな歪んだディストーションの音の中で、永谷さんのギターはすごくシャキシャキしてて、カッティングが多くて、16ビートの感じのギターを弾かれていたので、ファンキーなものがヒットチャートに入るっていうのが、10代の自分から見ててもすごく格好いいことでしたね。それで当時、自分がInterFMのラジオをやっていて、毎週ゲストを呼んでいたんですけど、やっぱりリリースのタイミングじゃないとみんな出てくれないから、どこからか情報を得て、どうやらアルバムが出るらしいっていうタイミングでお願いしたら、すんなり出てくれたって感じでしたね。
椎名:そうか、それが『Invitation No.6』か。まさかそのアルバムが最後で解散することになるとはね? ね?
卓偉:いや、それは僕のセリフね。
一同:(笑)
卓偉:そのアルバムが出る前のプロモーションで来て頂いて、「3ヶ月後くらいにファイナルでBLITZ(現マイナビBLITZ赤坂)があるから、そこまでに仕上がってるから観に来てよ」って誘ってもらって観に行ったら、何かBLITZがちょっとしんみりしてるんですよ。今思えばもう解散の方向に向かってたんだろうなって。
椎名:(笑)そうだね〜。もうそういう匂いはあったね。
卓偉:その後、国際フォーラムで終わるんだよって話を聞いて。あの1年半くらいはあっという間でしたね。
椎名:そうだったね。解散を決めたのは、俺のせいではないんですけどね。続けたかったけど2人組ってなると、どっちかがやる気がないと無理なので。やる気がないっていうと言葉が悪いんですけど、次の道を示唆されちゃうと、「もう引き止めても無理かな」とか、いろいろあった時期でしたけど、何でしょうね…。8年でもう再始動してますけどね!
卓偉:豊洲PITも盛り上がって。
椎名:ね! で、卓偉にしたら俺は先輩だけど、卓偉のことは俺の中では横文字だった時の『TAKUI』のままでいて、そのあと『中島卓偉』って名前でもうやってたんですよ。「こいつ、今さら格好付けるのをやめたな」って思ってて会ったんで。
卓偉:別に格好付けてねーし(笑)。
椎名:(笑)そういうイメージでいました。「自分の本名をフルネームでいくんだな」っていうのを会った時は思って、潔いなって。会う前から抜群に歌が上手いなっていうのは認識してて、ロックな人間だっていうのも何となく歌から感じてたんだけど、会ってみたら俺と同じ口から生まれた人間だから(笑)。
卓偉:そんなことねーし(笑)。
椎名:2人ともベラベラ喋ってて。でもそれがあったからこそ、今でもこんなに仲がいいんだろうなとは思いますけどね。
卓偉:お互いに格好付けてることをネタにしながらステージに立つっていうのは、ちょっと軽いんですよね。だからステージは精一杯頑張って歌うし、でもやっぱり喋ると砕けるっていう方が楽だし好きなんですよね。その方が会話も弾むっていうか。ラジオに来てもらった時も、分かりやすいくらい砕けてくれたんで、ラジオもすごく盛り上がって。
椎名:そうだね、楽しかったね。
卓偉:そういうとこでしたね。