今回の対談が初顔合わせとなった中島卓偉とSHIN。
今まで混じり合ったことのない2人ではあるが、自分で全ての責任を背負うという決心を持って臨んでいるという共通点を感じた2人の2マンライブでは、何が起こるか楽しみである。
まずは対談を読んで、互いのファンの方にも、2人を初めて知った方にも、中島卓偉、SHINというそれぞれのアーティストのことを感じとって欲しい。[interview:河西香織(新宿LOFT)]
ソロを始めたきっかけ
——ソロを始めたきっかけや、その時の思いだったり決意を教えて下さい。
SHIN:元々僕は、ViViDっていうバンドをやってたんです。その時は有難いことにいろいろな場所に立たせて頂いたり、初めての経験ばっかりで。メジャー・デビューもしましたし、アニメのタイアップとかもやらせて頂いて、その中でバンドが解散して本当に自分が何もなくなった時に、「自分の核って何だろう?」「自分の本当にやりたいことって、本当は何なんだろう?」って立ち返った時に、「ソロなんじゃないかな」って思ったんですよ。自信はなかったんですけど、生きるか死ぬかだったらやってみるかって感じで始めて、今2年目になりました。ソロはすごい楽しいですし、人生で一番自分のやりたいことを表現出来てるのかなっていうところではあるので、ここから自分のやりたいことが表現出来るようにもう少し柔軟に活動してみたいなとも思っています。今年は特に、自分が育った畑じゃないジャンルの方たちとよく対バンをさせて頂いたり、初めてフェスに出たりするんですけど、音楽の世界って広いなって感じて。すごくいい音楽がいっぱいあったり、素敵な人たちがいっぱいいたりするんで、今回の卓偉さんとの出会いも僕はすごくそう感じるし、そういうふうなライブになったらいいなって思います。すいません、飛躍しました(笑)。
卓偉:いやいや、全然。バンドは何年くらい続けてたんですか?
SHIN:前のバンドは6年くらいなんですけど、バンド歴は10年くらいです。
卓偉:10年くらいはずっとバンドだったけど、ある時にやっぱりソロだなって思ったってことなんですね。
SHIN:そうですね。僕は人がいると自分の意志があんまり伝えられなくなっちゃうんですよ。例えばメンバーとかがいると、いい意味で意見を聞いて「じゃあ僕はこうしたい」っていう感じで、自分の意見をベースにするってことがあんまりバンドではなかったんで、ソロになってみて、意外と自分はこんなにやりたいことがあったんだなって(笑)。5人バンドだったんで、それぞれの価値観があったり曲を書いているのが僕ではなかったりしたんで、自分がやりたい曲調だったりメロディだったり、今はその世界観が全部自分で構築出来てるっていうのがすごいやりがいがあるなって思ってます。
卓偉:僕は自分のキャリアも考えた時に矛盾してるように聞こえるかもしれないんですけど、本当はバンドをやりたかったんですよね。バンドでデビューすることが目標であり夢だったんですけど、15歳とかで東京に出てきて、アルバイトをしながら東京でバンドを作ろうってやってたんですけど、いい出会いというか、運命も働かず、やっぱりどこか妥協しながらバンドをやっていて。自分が今やっているバンドで自分自身は自信を持てても、メンバーに対する思いとか、曲を書けるのが自分しかいなかったりっていうのもあって、ずっとジレンマというか、歯車が上手く回らない状態で、他のバンドのメンバーは早くデビューしようぜみたいなノリだったんですけど、そこにプロ意識とかっていうズレがあって、それで自分の責任は自分で取るべきというか、自分で曲も書いて自分で歌うというか、自分が作らないと何も始まらないっていうポジションで生きてきたので、バンドっていうとそれだけの責任も背負えないし、すぐに解散してしまうくらいだったら、デビューする必要もないしバンドでいる必要もないというか。途中で駄目だということが分かっているんだったら踏み込まないっていうところがありまして。高校も受験をしなかったのは、そういう理由で。辞められるじゃないですか、そして自分の意志じゃないところで辞めさせられもするわけですよね。だったら行かない、受験もしないっていう。だからバンドも「天才の集まりだし、才能の集まりだから、やってみよう」「どっかで爆発して解散なら、それでもいい」っていうのならやったんでしょうけど、納得もしてないのにバンドでデビューして、しかも曲を書いてない奴が途中で辞めるって言って、自分の責任じゃないところで駄目になるのはもう嫌だなっていうか、そういうポシャり方が嫌だったんですよね。それだったら、自分の責任で全部やれることで言うと、もうソロだなっていう感じで。10代の頃にバンドをやっていて、それが20歳くらいだったんですけど、そこからもう1回下積みして、デビュー出来るところまで漕ぎ着けたって感じですかね。もう20年前なんで、うろ覚えですけどね(笑)。
ボーカルとして譲れないこと・崩せないスタイル
——ボーカルとして譲れないことや、崩せないボーカルのスタイルはどんなことですか?
SHIN:譲れないこと…、今は手を抜かないことですかね。
——何に対してもですか?
SHIN:はい、全部ですね。
——崩せないボーカルのスタイルはどうですか?
SHIN:自分が憧れたGACKTさんとか、hydeさんのようなビジョンを目指してるんですね。昔はそうなりたいって思ってたんですけど、そういうような存在とか、今はああいう人はいないじゃないですか。自分のスタイルというか、何を歌っても、この格好やこの見た目でずっと居続けようかなってとこですかね。そこはブレないでいきたいところですね。
——卓偉さんはどうですか?
卓偉:う〜ん、「これは譲れねー」って胸張って言うと、本当に譲れねー奴って思われるのも嫌なんで(笑)。ボーカルにせよ、どのパートの楽器にしても、基本譲れる人の方が僕は分かっているいいミュージシャンだと思うんですよね。例えばギターソロとかでもいつまでも前に出しゃばって出るボーカリストっていうのは、ギターにスポットが当たってるはずなのに自分が前に出ようとする奴は、出たがりなわけで譲れないとかって言ってると、ちょっと意味が違うと思うんですよね。そういうところをサッと譲れるかどうかっていうオン・オフがあったりとか、出し引きが出来る人の方が僕は格好いいと思うから、譲れないっていうプライドを掲げてステージに立ってる奴は、ちょっと「う〜ん」って思うんですよね。何をしてなくても、引いた時でも格好良く見える方がボーカリストは絶対にいいでしょうし。そんなにこだわりはないですけどね。あと崩せないっていうことでいうと、これは自分自身の問題なんですけど、デビューした時から体重が1kgも変わってないです(笑)。
SHIN:(笑)それはすごいですね。
卓偉:ずっと鍛えてるから。自分が憧れた洋楽のミュージシャンとかが、時が経てば経つほどみんな太るし。顔にシワが増えて頭の毛が薄くなるとかは、それはもう人間ですからいいと思うんですよ。フォルムとかオーラっていうんですかね、そういうものを「これでいいじゃん」って開き直り始めて、ファンもそれを許してるっていう関係性が、自分にとっては美しい状況には見えなくてですね。ZIGGYの森重樹一さんは、今だにデビュー当時と同じフォルムでキーも下げずにやられてて、やっぱりこういうことだなって思いますし、ミック・ジャガーがやっぱりそうですから。75歳であれだけの筋肉と細い体を維持して、しかも2時間半や3時間のライブが出来る、ずっと踊り続けられるっていうのを見て、やっぱりすごいなと思うんですよね。そうなっていきたいってことでいうと、崩せないっていうのは一つ、フォルムとかスタイルとか、そこは自分に驕りたくないですね。自分のファンに、「やっぱり卓偉はそういうところを努力し続けてくれたよね」って言われるのはもちろん嬉しいんですけど、一番は自分が、まだ音楽論とかをよく分かっていなかった多感な10代の前半の頃に、Rock’n’RollだとかPunkだっていうところに心を鷲掴みにされた、格好いいって思った気持ちを、あの初期衝動を裏切りたくないですね。変わらないで居続けろってことじゃなくって、絶対誰でも歳を取るから変わってっていいと思うんですよ。だけど、自分自身の13歳の頃のあの初期衝動を裏切りたくないっていう気持ちが強いんで、もし譲れないところって言ったら、そういうところが譲れないかもしれないですけどね。そういうこだわりはずっと持ってますね。
11月20日公演への意気込み
——11月20日は是非最後にセッションとかをして頂きたいのですが…。
卓偉:もちろん! 何かやりましょう。
SHIN:はい、何かをじゃあ!
——有難うございます! それでは2マンライブへの意気込みを一言ずつお願いします。
SHIN:とにかくライブが出来るのが、今幸せなので。今回はこういうご縁で卓偉さんとご一緒させて頂くんですけど、常に僕はワンマンだろうがイベントだろうが120%でいくので、初めて観られる方も当然いらっしゃいますでしょうし、僕のファンの人もいると思いますけど、2年ソロをやってきて、本当に1回として同じライブはあったことがないんで、その日はその日ですごくいい空間に出来たらなと思うんで、楽しみにしていて下さい。
卓偉:今話が出たセッションとかでお互いの曲をカバーし合うとかもあってもいいのかもしれないですし、それも擦り合わせしながら、ジャンルが違っても成立するような、楽しかったねと言ってもらえるイベントに出来たらなと思いますね。
——有難うございます! 当日も楽しみにしてます。
・・・全文は後日webRooftopにて公開!