Rooftop ルーフトップ

INTERVIEW

トップインタビューBLOODEST SAXOPHONE「日本屈指のジャンプ・バンド、結成20周年! テキサス・オースティン録音盤2作品で提示したリズム&ブルースの本懐」

日本屈指のジャンプ・バンド、結成20周年!
テキサス・オースティン録音盤2作品で提示したリズム&ブルースの本懐

2018.12.20

“ヤングコーン”を名乗ることになった理由

──ストレイ・キャッツのカバーでも知られる「THAT MELLOW SAXOPHONE」はソウルマン・サム・エヴァンスさんがボーカルで参加していますが、これは伸太郎さんとカズ・カザノフさんの日米テナー対決も楽しめるし、武骨さと猥雑さが極まった名演で、本作でも屈指の出来ですね。

甲田:そう言ってもらえると嬉しいですね。カズ・カザノフはテキサスで活躍しているテナー・サックス奏者で、アルバート・コリンズやジュウェル・ブラウンのバックを務めてきた凄腕なんです。彼ももちろん〈イーストサイド・キングス・フェスティバル〉に出演していて、僕らの音が止んでいる時に向こうのほうから爆音のテナー・サックスが聴こえてきて、あれは間違いなくカズが出している音だなと思いました。その時はまだ彼と対面していなかったんですけどね。スタジオにカズが来た時、最初はちょっと気難しい人かなと思ったんですけど、一緒に音を出してからはお互いを理解し合えて、すごく仲良くなりました。彼はナイス・ガイですよ。

カズ・カザノフ T.SAX.JPGソウルマン・サム Vo.JPG──ソウルマン・サム・エヴァンスさんはどんな人なんですか。

甲田:レコーディングの数日前、何かのパーティーでサムが唄っているのを観て、「このおっさん、すげぇな!」と思って。とにかくものすごい存在感だったんです。ステージが終わった後にサムと話す機会があって、その時に「今度おまえらのスタジオに行くからよろしくな」と言われたんですよ。「『THAT MELLOW SAXOPHONE』を唄うのは俺だ」って。そんなこと初耳で、びっくりしましたね。彼とのセッションもすごく楽しかったです。

──「THAT MELLOW SAXOPHONE」が日米テナー対決なら「COCKROACH RUN」は日米ギター対決で、Shujiさんとジョニー・モエラーさんのバトルが大きな聴き所ですね。

甲田:ジョニーはモエラー・ブラザーズというテキサスで人気のある3ピース・バンドのギター&ボーカルで、テキサスへ行く前から共演することが決まっていて、「COCKROACH RUN」は向こうからのリクエスト曲だったんです。レコーディングの初日からずっと一緒にやっていたニック・コノリーというキーボード奏者がいて、彼がこの曲をやる時に「頭からかまそうぜ!」と言って、その言葉で僕は一気にスイッチが入ったんです。おかげでかなり燃えました。ジョニーのギターも素晴らしいし、いつかモエラー・ブラザーズとブラサキでツアーを一緒に回れたら面白いだろうなと思いました。

ジョニー・モエラー.JPGニック 鍵盤.jpg──ブラサキのセルフカバーを収録したのは、結成20周年記念アルバムであることを意識した部分もありますか。

甲田:そうですね。キラキラした部分を再録しようと思って。とにかくやる曲が多くてなかなか新曲を入れられなかったんですけど、僕は今回のために3曲書き上げて、他の曲とのバランスを考えて「BLUE CORN」を入れたんです。あと、トロンボーンのCohは「LATE SUMMER IN AUSTIN」を、ギターのShujiは「SOMETIME AGAIN」をそれぞれ書いてきて。新曲のアレンジに関しては向こうに行ってから固めました。

──「BLUE CORN」は渡航前の伸太郎さんがテキサスをイメージして書かれたそうですね。

甲田:まだ見ぬテキサスという地を思って書きました。テキサスに所縁のある映画を見たり、大陸感のある小説を読んだりしてイメージを絞り出しましたね。

──ちょっとメランコリックな雰囲気があるのは、ライ・クーダーが音楽を担当した『パリ、テキサス』の影響もありますか。

甲田:『パリ、テキサス』は一番最初に観ました。あの映画の冒頭の荒野をさまよう孤独感、漠然とした大陸感、荒野の岩肌のイメージはだいぶ影響を受けたと思います。

──古くからのファンにとって「走れヤングコーン」は嬉しい再録だと思いますが、伸太郎さんはそもそもどんな経緯で“ヤングコーン”を名乗ることになったんですか。

甲田:当時、僕とCohがラーメンにハマっていて、あるとき食べたラーメンの具になぜかヤングコーンが入っていたんです。それがものすごい異物感で、しばらくジッと見ても慣れなかったんですよ。その翌日にメンバーに「昨日食べたラーメンにどういうわけかヤングコーンがのっててさぁ…」と話して、それがすべての始まりですね。たしか名古屋のライブだったと思うんですけど、「テナー・サックスの甲田“ヤングコーン”伸太郎です!」と挨拶したらそこそこウケたんですよ。自分としては2、3カ月くらい経ったら外すつもりだったのに、それを察したメンバーがヤングコーンとかコーンの付く曲をたくさんつくってくるようになって外せなくなってしまって(笑)。最初の1、2年は嫌でしょうがなかったけど、今はすっかり愛着がありますね。テキサスでもヤングコーンが力を発揮して、覚えやすい名前だからなのか、客が「ヤングコーン! ヤングコーン!」と連呼するんですよ。未熟なうちに摘み取ったトウモロコシという決して格好いい言葉じゃないのに、ここまで来るともう絶対に外せませんね(笑)。

 

このアーティストの関連記事

BLOODEST SAXOPHONE feat. TEXAS BLUES LADIES
『I JUST WANT TO MAKE LOVE TO YOU』

2018年11月21日(水)発売
SPACE-016
価格:¥2,500+税
LABEL:Mr.Daddy-O Records
発売元:株式会社スペースエイジ

amazonで購入

iTunesStoreで購入

【収録曲】
01. I'VE GOT A FEELING(vocal:Diunna Greenleaf)
02. I'LL BE THERE(vocals:Lauren Cervantes & Angela Miller of the Soul Supporters)
03. I JUST WANT TO MAKE LOVE TO YOU(vocals:Diunna Greenleaf, Crystal Thomas, Lauren Cervantes, Angela Miller & Jai Malano)
04. YOUR EYES(vocal:Crystal Thomas)
05. WALKING THE DOG(vocal:Jai Malano)
06. FEELING ALRIGHT(vocals:Lauren Cervantes & Angela Miller of the Soul Supporters)
07. I DONE DONE IT(vocal:Jai Malano)
08. ONE GOOD MAN(vocal:Crystal Thomas)
09. THE GRAPE VINE(vocals:Lauren Cervantes & Angela Miller of the Soul Supporters)
10. YOU DON'T MOVE ME NO MORE(vocal:Crystal Thomas)
11. JUST LIKE A FISH(vocal:Crystal Thomas)
12. I GOT SUMPIN' FOR YOU(vocal:Diunna Greenleaf)
13. DON'T HIT ME NO MORE(vocals:Lauren Cervantes & Angela Miller of the Soul Supporters)
14. IT'S YOUR VOODOO WORKING(vocal:Jai Malano)
15. A LOSING BATTLE(vocal:Crystal Thomas)
*Additional Musicians:Nick Connolly(Piano / Organ)

BLOODEST SAXOPHONE
『IN TEXAS』

2018年12月5日(水)発売
SPACE-017
価格:¥2,500+税
LABEL:Mr.Daddy-O Records
発売元:株式会社スペースエイジ

amazonで購入

iTunesStoreで購入

【収録曲】
01. BLUES FROM LOUISIANA
02. RUN JOE(vocals:Lauren Cervantes & Angela Miller of the Soul Supporters)
03. THAT MELLOW SAXOPHONE(vocals:Soulman Sam Evans)
04. GATE WALKS TO BOARD
05. 走れヤングコーン
06. LATE SUMMER IN AUSTIN
07. COCKROACH RUN
08. SOMETIME AGAIN
09. BLUE CORN
10. 暗がりでツイスト
11. EVERYDAY I HAVE THE BLUES(vocal:Birdlegg)
12. PORK CHOP CHICK

BLOODEST SAXOPHONE feat. TEXAS BLUES LADIES
『YOUR EYES』

2018年11月3日(土)発売
SPACE-015
定価:¥1,600+税
LABEL:Mr. Daddy-O Records
発売元:株式会社スペースエイジ

amazonで購入

【収録曲】
SIDE-A:YOUR EYES(vocal:Crystal Thomas)
music:Tatsuro Yamashita, lyrics:Alan O' Day
© 1982 by Smile Publishers Inc./ © 1982 by WB MUSIC CORP
SIDE-B:THE GRAPE VINE(vocals:Lauren Cervantes & Angela Miller of the Soul Supporters)
music & lyrics:Carl Erskine, Henry Glover

LIVE INFOライブ情報

テキサス・ブルース・レディースを代表するシンガー、クリスタル・トーマスが緊急来日決定!
ブラサキ presents Snuck宇宙

出演:BLOODEST SAXOPHONE / BLOODEST SAXOPHONE feat. CRYSTAL THOMAS
DJ:EZ / MIYAKO
Live Drawing:早乙女道春
料理:植野広生 / めん亭はるもと / 甲田伸太郎
2018年12月22日(土)下北沢440
OPEN 19:00 / START 20:00
前売¥3,000 / 当日¥3,500(共に別途1ドリンク代¥600)
チケットはイープラス、440店頭にて発売中
問い合わせ:下北沢440 03-3422-9440

ブラサキ2・Xmas&年忘れスペシャルLIVE!!
LIVE:ブラサキ2&スペシャル・ゲストが2人も!
スペシャル・ゲスト:CRYSTAL THOMAS / KIMINORI OOZAWA
DJ:SAKAMOTO(GALCIA)
2018年12月25日(火)music & dj bar メンフィス兄弟。
OPEN 20:00 / START 20:30(ステージ入れ替えなし)
前売¥2,000(別途ドリンク代)
問い合わせ:メンフィス兄弟。 03-5486-3461

ビッグ・ジェイに縁のあるアーチストやブラック・ミュージックに影響を受けたアーチストを招き、ビッグ・ジェイのレパートリーをたたみ掛けるようにお届け!
BIG JAY McNEELY トリビュートLIVE
supported by BLUES & SOUL RECORDS

出演:BLOODEST SAXOPHONE
スペシャルゲスト:
伊東ミキオ(Piano)
浦朋恵(B.sax)
KOZZY IWAKAWA from THE COLTS, THE MACKSHOW(Vo., Gt.)
サンコンJr. from ウルフルズ(Dr.)
Sugar Spector(Vo.)
藤井康一(T.sax)
... and more!!!!!!(50音順)
DJ:ピーター・バラカン
Live Drawing:早乙女道春
2019年1月7日(月)渋谷クラブクアトロ
OPEN 18:30/ START 19:30
前売¥3,000 / 当日¥3,500(税込 / 整理番号付き / ドリンク別)
チケットは、チケットぴあ(Pコード:134062)、ローソンチケット(L コード:72766)、イープラス、クラブクアトロ店頭にて発売中
問い合わせ:渋谷クラフクアトロ 03-3477-8750

RECENT NEWS最新ニュース

休刊のおしらせ
ロフトアーカイブス
復刻