ソロでの悩み
SHIN:卓偉さんはすごく長いことソロをされてるじゃないですか。ソロは全部自分の責任じゃないですか。僕は悩むと内に入っちゃうタイプで、爆発するくらいになるんですけど、そうなった時ってどうなさってるんですか?
卓偉:そうですよね。バンドだと、4人いたら4分割したり出来るしね。
SHIN:メンバーに言えるじゃないですか。だから怒れるって幸せなことだなって思うんですよね。ブチ切れようにも、今はどうしたらいいか分からず…。
卓偉:バンドの時は喧嘩とかしたんですか?
SHIN:僕は、傍観者でした。喧嘩はしてるんですけど、ソロになってからようやく心が人間らしくなったというか。それまでは全てを傍観しているような感じだったんですけど。
卓偉:バンドメンバーって傍観者も必要だからね。
SHIN:だったんですけど、今になってすごく…。ソロって、そうならざるを得ない状況っていうのもあるじゃないですか。いいこともあれば、悪いこととか、いろいろなものが湧き出てきて、それが悪い時だった場合…。
卓偉:要するにモヤモヤして、ネガティブになってしまうってことだよね?
SHIN:はい、そうです。
卓偉:う〜ん、でもこう思うんですよね。最初にも言ったことですけど、結局は自分の責任だってことが自分で分かってる訳じゃない。尚かつ、自分が作詞・作曲をしていて自分が書かないと始まらないプロジェクトだってことじゃないですか。ここに結局自分の考えが行き着くと、もう駄目だと思うんだったら自分が書かなきゃいい訳で、書かなくなる=ここでストップだなって単純に思うだけで、このプロジェクトは終わりなんだろうし。それでもやっぱり自分には、言いたいこと、書きたいこと、パフォーマンスしたいことがあると思えば、やっぱり書くんだと思うんですよね。そこに行き着けなくなるから、人って多分終わるんだと思うんですよね。書く人でも。僕は中学生の頃に自分で曲が書けるって分かってからずっと書いてて、今も曲を書きたくないって思うことがないから。詩はすごく時間が掛かるし、いつまでに書かなきゃいけないってなると、そりゃ苦しくなるけれども、結局ステージに立ってる時に、自分の言葉、自分のメロディでパフォーマンスするっていうことじゃないと、胸が張れないっていうのが分かってるから、自分がやんなきゃ始まらないしっていう開き直り、そういうところにいつも行き着くように出来てる気がしますね。あとは傷ついた理由とか、ネガティブになる理由を紐解いて行くと、他人に言われたことでそうなってることがほとんどなのよ。自分自身は自分のことを傷つけたりしないし…、傷つけることもあるのかもしれないけど。結果そういう邪念で自分が立ち止まっているなってことに気付くんですよね。「そんなことを気にして何になるんだろう?」っていうことが分かると、「全然ネガティブになる理由はないな」とか、そういうことにまた行き着いて。行き着くところでポジティブな気持ちが待ってれば、大丈夫だと思いますけどね。
SHIN:すごい勉強になります。
卓偉:ただ最初の2年で、まだ自分の中で苦しいこととか、晴れないことって当然あると思いますし。19年やってても、今だにソロとかよく分からないからね(笑)。
一同:(笑)
卓偉:5年目の時もよく分からなかったし、10年経っても「10年か」って思うし。別に答えもないというか。ただ僕がデビューした当時は、ソロでバンドっぽくやってる人って0で、「バンドで出てください」ってなるからイベントは出れないし。ソロなんだけど、後ろにメンバーがいてそういう形でやってるんですよって言っても伝わらないし。世間に対するプロモーションもしづらいとレコード会社からも何年も言われ続け…。とは言ってもやっていくと、中島卓偉って人は自分で曲も書いて、一緒にパフォーマンスもしてやってるから、そういうジャンルなんだろうねっていう風に言ってくれる人がちょっとずつでも増えればいい訳じゃないですか。僕なんかは、「何でそんなことを言われるのかな?」と思ってたけどね。じゃあ、「レニー・クラヴィッツはどうなんだ?」とか「デヴィッド・ボウイはどうなんだ?」って話をしても、伝わらないんだよね。ソロでバンドっぽくやってる人は、海外を見たら5万といるのに。やってる人がいないと同じような道が打てないって言われちゃうのが、最初の5年くらいは困りましたね。
SHIN:確かにそうですね。僕も今、同じ状況です(笑)。
卓偉:だから「ソロなのに」とか「バンドなのに」とか、2人組とか3人組とかのバンドとまでは言えない人数のユニットとか、そういう人数でやることに関して、それはデメリットもメリットもあるんですけど、結局は自分が、「これがやりたいし、これがやりたいから今このポジションで」とか、ソロなら「ソロなんです」とか、「メンバーが全員集まらなかったから、3人でいいじゃないですか」とか、そういう風に胸が張れるかどうかっていう方が重要かと思いますね。
SHIN:なるほど。有難うございます!
卓偉:とんでもないです。