Rooftop ルーフトップ

INTERVIEW

トップインタビューmaster+mind presents 中島卓偉 × mitsu【完全版・後半】

芯を持つ2人のステージでのぶつかり合いで、どんな化学反応が起こるのか…。
是非お見逃しなく!!

2018.02.14

いろいろ取り入れる精神

卓偉:バンドで1回デビューして、mitsuくんみたいに途中からソロになる人の方が、多いかもしれないもんね。

mitsu:今は特に、やりながらやってる方もすごく多いですし。

卓偉:そうそう。例えばキャリアがある方で言っても、矢沢永吉さんもそうだし。やっぱりキャロルあっての矢沢永吉さんなんで。氷室さんもBOØWYあっての氷室京介さんだから。最初からデビューしてソロっていうのは確かに少ないですね。

mitsu:すごく少ないですよね。今そうやって聞いてみて、本当に少ないです。

卓偉:ソロだけどバンドっぽくやるっていうのが難しかったんだと思う。ソロの人はちょっとテレビっぽいっていうか…。分かるでしょ?

mitsu:はい、分かります。

卓偉:だから、僕みたいに音だけ聴くとバンドに聴こえるっていうのが、ちょっとイレギュラーだったのかもしれないね。

mitsu:でもそこにまた、少なからず魅力もあったりとかしてたんですかね?

卓偉:話が戻っちゃうけど、自分は10代の頃から普通にDavid BowieとかLenny Kravitzとか、そういうものをリアルに感じて、これでもソロ名義なんだっていう感覚があるわけじゃないですか。音だけ聴けばバンドだっていう。だからその形に拘ってるのは、聴いてる人だけだなっていうことに、早くから気付いてたんだよね。

mitsu:今バンドを組もうとしてるって話でいろいろお誘いがきたりとか、未だにお話を頂く時も、自分の嫌な癖があって。嫌なことだなって反省してる部分なんですけど、どうしたらいいかなって言われた時に、何でまず4人集まらなきゃいけないのって言っちゃうんですね。それは多分自分がどっかで驕ってる部分でもあるのかなって思って。今まで自分がそうだったから。固定概念とか決まりがあって、それが揃わないと動けない、どっちかっていうとそれがいいんだっていうよりは、そうしなきゃみたいな意見を聞くことがものすごく多くて。なのですごくそこに引っ張られないようにしようと思って。

卓偉:分かるよ。すごく分かるよ。自分が音楽業界にいながら思うのは、今言った固定概念っていうのをどれだけ取っ払うことが出来るかっていうね。そういうことじゃないと、多分新しいことって絶対生まれないんですよね。自分も結局若かった時とか20代だった時ってのは、経験も少ないからさ。経験者である年上の方とか先輩とかから、「これはこういうもんだよ」とか言われると、一瞬ちょっと「ん?」って思うよね。経験してる人からするとそうなのかなって思って立ち止まるけど、自分は経験してないことを納得出来ないわけじゃないですか。「あなたはそうだったかもしれないけど。今僕がやってみたら違う答えが出るかもしれないじゃないか」って言うと、今度はそれをエゴだとか言われたりして。だからやっぱり違う答えを出すためには、従来のやり方を踏んでても何も変わらないっていう意識は常に持ってないと、ライブにしてもバンドにしてもソロにしても、やっぱり続かないですよね。

mitsu:自分は若い時にデビューして、4社を回らせてもらったんですよ。4社回ったって上手く言っただけで、最短で首切られただけなんですよ。それが4社もあったんですよ。毎回その度に、何十人っていうチームが4回も変わったんですね。その時の自分は若かったので、みんなが「こうしたらいいよ」「こうするんだよ」「メジャーっていうライブはこうだよ」ってすごく言ってきて、そこに関して「あー、そうなんだ。なるほど、勉強になるな」ってことの反面、どちらかというとそれにすごく「こうだ!」みたいなのがついちゃうことが多かったんです。で、辞めて思ったのは、「なぜ自分と同じ立場に立っていない人間の意見を聞くんだ?」って思ったんです。

卓偉:本当、そうなんだよね。

mitsu:別に上下で見てるわけじゃなくて、ボーカリストとしてだったりとか、ステージに立ってる心って、みんな同じ人間なのに、それってすごいことだと思うんです。200人でも1000人でも10000人でも、何人の前でも同じ人間が何かをするってすごいことだと思うから。だからそうじゃない人間の「いや、こうでしょ」っていうことを聞いた自分が間違ったんだなって。いわゆる誰かのせいにしてしまっている。なので、卓偉さんの意見を自分が聞きたいなって思える部分は、自分が知らない中でもまずソロで19年だったり、そういうソロっていうものをやってきたっていうので、単純に知識とか体験談としてすごく面白くて。だからまだ未知なものを単純に知れる。逆にそれを自分がやった時に違う発見があるのかとかを、主軸を知れるっていうのがあって多分どんどん話を聞きたくなっちゃう。

卓偉:でもすごくいいことで、今ソロで3年って言われてましたけど、僕も19年やりながら自分の責任でやれるようになったのは、ここ10年なんですよ。20代の時は色々舵取りの人も多かったし、もちろん学ばしてもらったこともたくさんあったし、別に誰も恨んでないけど、上手くいかなかったことはたくさんあって。やっぱりその時のジレンマとか悔しかったことを思い出すと、誰かのせいにしてしまうって言うとちょっと言い方が悪いと思うけど、そういう風に聞こえてしまうのはやっぱり嫌じゃない? 自分にとってネガティブだから。だから誰のせいにもしたくはないっていう感覚は今でもあるから、むしろ全て今まで起こったことは感謝したいとは思ってるんですけど、自分自身が絶対ブレちゃいけないなとか、こうしたいんだって思う気持ちを、20代の時はちょっと後ろに置いてたのは事実なんだよね。20代の頃は自分がこうしたいって思うものを提示すると、上手くいかなくなっちゃったんだよね。自分がこうしたいって言えば言うほど、上手くいかなくなることが多かったの。その時の環境がそうさせてたのか。ただ今となっては、いい意味で俯瞰も客観もあるし、すごく冷静だし、自分がやんなかったらどうにもなんねえってのもすごく分かってるし。なおかつ自分がやることに責任感をよっぽど強く持ってるから、別に誰かの意見を聞かないとかじゃなくて、もうこうしかできないし、こうやることが一番パワーになるってことを自分で自分が分かってきたんだと思うんですよね。そうなると、今度危険なのはマスターベーションになってしまうとか、あとは人の意見を全く聞かなくなってしまうっていうのはこれはもう大問題なんだけど、そうなんないようにするために自分がアンテナだったりとか、音楽以外のことでいろんなものに影響され、いろんなことを取り入れることをやめなければ意外とラフになれるというかね。

mitsu:興味に変わると…。

卓偉:そうそう。だから、これしか出来ませんって言って、勉強してない人になると結構苦しいと思うんですよ。これしか出来ないけれどもいろんな要素を取り入れて、いろいろ考えた結果、これがいいと思いますっていうのとは、全然意味が違うんですよね。自分はここ10年、そういう感覚でいるから、売れてないけど誰よりも世界中の音楽を聴いてる自信があるんですよ。CDやレコードを聴いて、今どういうものが旬で来てるのかなと。それを取り入れるとなると自分も単なるミーハーになっちゃうから、自分の音楽にフィードバックする時に、どこを取り入れて、どこを取り入れなかったら自分らしく新しくなるのかなって。そんなことを常日頃考えて、そうやったりもするの。

mitsu:すごいですね!それをちゃんと続けられるっていうのは何か…。

卓偉:自分のフィルターだけなんですけどね。世間は分からないよ。

mitsu:いやいや全然。時間が経てば経つほど慣れるっていうのは、お客さんだけじゃなくてアーティストもだと思うんで、こなすことが簡単になるじゃないですか。こなせるようになる。いい意味でも悪い意味でも。なのでそこを追求出来るっていうのは自分の理想なので、そうやっていくためにどういう風な自分を持っていけばいいのかとか、今経験しておけばいいのかっていうのは自分のテーマなので、いや面白いです。

卓偉:嫌なことも、ある時ピタッと止めて切るっていうことも本当に必要で。いい例で言ったら、人気曲とかでもそうですよ。ファンのことを思うと古い曲をやってあげたいって今でも思うんですけど、いつでもやってくれる曲になっちゃうと、今度は今一つ爆発力に欠けてくるんだよね。自分がいつでも200%でやってても。

mitsu:不思議ですよね。自分の曲なのにね。これやってくれれば成功とか、これやってくれなかったら失敗みたいな見え方するのって、すごく…。まだ自分はソロではないんですけど、言ったら前のバンドの曲とかにも近いのかな。だからそれはアーティストの苦悩な部分でもあったりかなと。どれも自分が生んだ子供じゃないですか。自分はまだ子供がいないんで、そういうことを簡単に言ったらアレですけど…。生んだものなのに、なぜこれはやらないのかとか、これはやるのかとか、そんな…。

卓偉:分かる、分かる。やらなくなった理由は、お客さんのノリが悪いからやらなくなってるだけなんだけど(笑)、ある時その曲を久し振りにやったらすごくノリが良くなったりするのは、そういうサプライズ感だったりとかするんでしょうけど。ただそういうものに自分も甘えてないかと自問自答することも絶対必要ですね。

mitsu:ソロって、自分との会話がすごく増えますよね。今までは本当にそんなにしてこなかったんだなって思うんで。今まで宝くじを買ったことがなかったんですけど、別にお金がっていうよりも、宝くじを少し前から定期的に年に1回だけ買うようになったんですよ。

卓偉:いいじゃない! 買わないと当らないからね!

mitsu:当たるのももちろんそれはそうですけど、どっちかっていうと、お金の制限がなかった時に何がしたいんだっていうことを、本当にしたいことを見つめ直す時間がすごくもらえるんですよ。

卓偉:大事ですよ。

mitsu:じゃあお金の問題をどうにかすればいいやって。それさえ取っ払えれば、自分で自立することでやりたくても出来ないことっていうのは、まず一番最初に政治的なものとか、時間的なもの、経済的なものが先に来るんで、それをもしなくせば、最高が先に見えるじゃないですか。なのでそこから逆算して、今自分がどうやったら出来るようになるかっていうのを追求していくのが、今の自立っていうか、自分でやるっていう自主性っていうのが、すごく楽しい部分でもあるのかなって。

卓偉:すごいね。何かどっかの社長さんみたい(笑)。

mitsu:いや、なのでお金がとか、ビジネスがってのはあんまりないんですけど(笑)。

卓偉:いや、そうなんだよ。そういう引き算が出来る人が強いんですよ。

mitsu:前はいろんな方に「アーティストと経営は別だよ」「別物だから一緒にやっちゃうとやっぱ違うんだよ。アーティストじゃ上手くいかない」って、10人中10人に言われたんですけど、「じゃあ、どっちかしかとらない」っていうのは…。夢が、名声が、お金が、人気がとか色々あるじゃないですか。刀を研ぐみたいに1つに絞るのも武器ですけど、1つしか得ないって思うのはちょっと…。もっと欲張りでいいんじゃないかなって最近は思えていて。

卓偉:欲はね、いくつもあっていいと思うんですよ。欲がない人しか結局掴まないっていうのは、宝くじは買わないと当たらないのと一緒だと僕は思ってて。いいと思います。そういう考えの人の方がやっぱりクリエイティブには絶対繋がると思いますよ。

mitsu:宝くじがっていうのが先に来るとまたちょっと違った意味に聞こえちゃうんですけど(笑)。

一同:(笑)

 

 

中島卓偉_1.JPG

Photo:Nagisa Kamiya

 

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LIVE INFOライブ情報

Shinjuku Loft「master+mind」presents【Rock is Culture 2018】

2018年02月15日(木)新宿LOFT

OPEN 18:15 / START 19:00

前売り 4000円 / 当日 4500円(共にドリンク代500円別)

※未就学児童入場不可

【出演】

中島卓偉 / mitsu(50音順表記)

【前売りチケット:発売中!】

・ e+一般(Bチケット)

・ LOFT店頭(Bチケット)

・ ローソン(Cチケット/L:73077)

【入場順】

1. Aチケット(e+プレオーダー/受付終了)

2. Bチケット(e+一般・LOFT店頭)の並列

3. Cチケット(ローソン)

【主催・企画・制作】

新宿LOFT / master+mind

【協力】

ライカエジソン / 自主盤倶楽部 / ZEAL LINK / ブランドエックス / little HEARTS.

【お問い合わせ】

新宿LOFT 03-5272-0382

 

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