バンドを始める土壌
seek:のってぃは、学生の時にライブとかはやってなかったんですか?
靖乃:「軽音部の定期ライブがあるから出てみたら?」って言われて、初めて出してもらった時にLUNA SEAのコピーバンドをやったんだよね。「やり始めやから2曲分の時間をあげるよ」って言われて、それこそ『ROSIER』と『TRUE BLUE』をやって。その時の俺の狭い思考回路の中で考えうるだけのヴィジュアル系のイメージは、黒いスキニーのパンツに上半身裸で叩くっていうことしかなくて(笑)。完全にYOSHIKIさん(X JAPANのDr)だったね。
seek:考えようによっちゃあ、江頭2:50にも共通するね(笑)。
一同:(笑)
靖乃:遠目に見たらね(笑)。それが1stライブで、徳島のJITTERBUG(現club GRINDHOUSE)でやって。
seek:ちゃんとライブハウスでやったんですね。
靖乃:その時はライブハウスでやって。それ以外でも学校の文化祭の時は、学校の屋外ステージみたいなところでライブをやらしてもらってて。その時は頭を染める勇気がなかったけど、真矢さん(LUNA SEAのDr)に憧れてたから、1日で落とせますみたいなカラースプレーで赤に塗ってとかってやってた。
seek:そこら辺の時代背景が俺らも一緒で、俺らも染めてましたね。何か分からないですけどSさんが比較的、多分それもその時代的なことだったと思うんですけど、「俺は、髪の毛立てれるで」とか、そういう情報を持ってて、スタイリスト的な位置のことも他のメンバーにやってて。
S:全然、できないんですけど。
一同:(笑)
S:中学校の同級生の友達のお姉ちゃんが、インディーズバンドの追っかけをやってたんです。コスプレをして、Sleep My Dearさんの全国のライブに行くっていうお姉ちゃんがいたんですよ。
一同:おー!
S:Sleep My Dearさんの髪型って、バーって立ってるじゃないですか。それでそのお姉ちゃんが、中学生たちの髪の毛をみんな立ててたんですよ。そのやり方を見てたんで。当時はダイエースプレーっていうのがあって、「これで髪の毛を立てるんだよ」とか、いろいろ教えてもらってて。それを聞いてたからできると思って、AYA&keijiとかにやるんすけど、全くできなくて。
一同:(笑)
靖乃:それっぽくスプレーかけて、シャッ、シャッやってるだけやんっていうね(笑)。
S:そう。そんな時代でしたね。
seek:音楽の練習もさることながら、俺らはまず、「アー写撮ろうぜ」っていうのが早くて(笑)。対してライブもないし、まだコピーバンドやのに、わざわざ友達の家で後ろにシーツを吊って写真を撮って(笑)。
靖乃:でも、ちゃんとしてる(笑)。
seek:そんでチラシを作って、姫路Betaに貼りに行くみたいなことをその当時はやってましたね。
S:それで、ちょっとずつオリジナルの曲とかをやっていき出すと、Betaから「頑張ってるね」っていう話になって、ツアーでBetaに来られるバンドとかに当てられるんですよね。高校生みたいなモンなのに。その当時、僕が一番震えたのは、Plastic Treeさんと、SEX MACHINEGUNSさんと、俺らの3マンっていうのがあって。
一同:おー!!
——高校生の時ですか?
S:多分、高校生ですね。
靖乃:それこそ向こうは、雑誌とかに載っててっていう時だよね。
S:そうです。多分、keijiさんのオリジナルの曲で一緒にライブをやりましたね。
seek:姫路ブランドじゃないですけど、先輩方が築き上げたものがあって、当時はよくツアーバンドさんが来られてたんですよね。
靖乃:姫路は押さえとかなって感じがあったもんね。
seek:MASCHERAさんやTRANSTIC NERVEさんがいて、そういう皆さんがいてみたいなのが、ちゃんと出来上がってたから、あそこに行けばお客さんがいるだろうっていうトラップに引っ掛かったんやろな(笑)。
一同:(笑)
seek:俗に言う後生のコピバンから毛が生えたようなね。
S:多分、めっちゃムカついたと思いますよ。
seek:「地元バンドが、全然客呼んでへんやんけ!」みたいなね。
S:なると思う。
seek:でもその日は、すごい客が入ってたよね。
S:当時の動員記録が出ましたね。
seek:やっぱりプラトゥリさん(Plastic Tree)やセクマシさん(SEX MACHINEGUNS)が、沢山呼んでくれてた時代やったんやろな。
S:やったんやと思う。
seek:そういう土壌が、比較的俺らは地元に出来てたのは、バンドを始めるのにあたっては大きかったんちゃうかなって、今思うんですよね。
景夕:静岡は何にもないですよ。バンドをやり始めるっていう文化がそこまで広がってなくて、先輩とコアに繋がってる友達が、「ちょっとやってみるか」っていうので数人やってるくらいだったので。その流れでたまたま誘われたっていうところが大きかったんで。それがラッキーなのか、不幸だったのかは分からないですけど。