"Märchen ROCK"を根底のコンセプトとして掲げ活動しているVo.景夕、Gt.タイゾ、Ba.結良、Dr.靖乃の4人編成ロック・バンド、Kra〈ケラ〉。
彼らにとって思い入れの強い渋谷公会堂での14周年ワンマン・ライブが9月11日に行なわれ、まだ1週間経っていない中でのあの日の感想や、ニュー・アルバム『次の物語』のリード曲「カウントダウン」という曲名の言葉の意味、アルバムの注目点などをずばり聞いちゃいました!(interview:河西香織[新宿LOFT])
今までのKra、そしてこれからのKraを見せることができた渋谷公会堂
——では最初に、先日終えられた14周年の渋谷公会堂でのワンマン・ライブの感想を教えてください。
景夕:14周年は、今までのKra、そしてこれからのKraを見せていく上で大事なライブだったので、自分の中で今までのライブ以上に緊張していたところがあって…。と言うか、終始ずっと緊張してて、頭の中がずっとテンパリっ放しだったんですよ。「こういうことを言おう」って決めてはいたけど、「あっ、この言葉は忘れたらダメだ」とか考えてたら、歌詞のほうに飛び火しまして。「なんで俺、今ここで唄ってるんだろう」っていうくらい、初めてステージに立った時みたいな感覚でずっといましたね。でもライブを終えて、作り上げてきたセットリストも含めてお客さんが「この先のKraを期待することができたいいライブでした」っていう声をくれたので、結果的にはその緊張感も良かったのかなって自分の中では落ち着いてますけど、できればもうちょっと余裕のある感じを見せられたら良かったなっていう気持ちは残ってますね。
——余裕がないようには見えなかったですけど、他のメンバーさんから見てどうでした?
靖乃:個人的には後ろから見てて、ちょっと固かったかなって(笑)。でも自分自身も固かったから、同じやなって思いつつだったけど。
——記念のワンマンですもんね。
景夕:記念のワンマンは毎年やってたんですけど、今回は渋谷公会堂っていうのもあるし、心持ちがちょっと違いましたね。
——メジャーの初ワンマン・ライブも渋谷公会堂だったんですよね?
景夕:そうなんですよ。Kraとしてやってきた14年間の中でも思い入れのある場所だし、特になくなってしまうっていうのもあって、メンバー各々4人がそれなりに緊張感を持ってやってたと思うんですけど、ただただ自分がもう震えそうなぐらい、ちょっと怖かったですね(笑)。
——結良さんはどうでしたか?
結良:僕はいつも通り緊張して、いつも通りやったんですけど。今回、お友達招待券を抽選で何人かのお客さんにプレゼントするスタイルだったんですけど、平日だからなかなか見つからなかったっぽくて、でも頑張って探してくれてたりとか、お父さんやお母さんを連れて来てくれたりとかがステージから見て分かって。最前にお父さんがいたりっていうのもあって、「あれっ、こんなところに大人の方がいる。お父さんかな? 招待券で連れて来てくれたんだぁ」って思って。そのお父さんも終始楽しそうに観てくれていたんで、良かったかなって感じですね。
——親を連れて来れるバンドっていうのが、いいですよね。若い頃って、親に自分の好きなバンドとかを見せるのが恥ずかしいって時もあるじゃないですか?
結良:恥ずかしいし、「ショータイム」みたいな曲ばっかのバンドだったら、ちょっと呼びづらいよなっていうのもあるし、やっぱり何周年までやっても大丈夫な曲が揃ってるって思ってるから良かったのかなって思いました。
結良:演奏面は、ちょっと前に先輩のIKUOさん(BULL ZEICHEN 88/Rayflower)の家に遊びに行って、ベースの練習方法とかを聞いてきて良かったなって思ったのが、やっぱり基礎練習をIKUOさんも今でもウォーミングアップで凄いやってるって言ってたんですよ。それが教則本とかに載ってるようなやつなんですけど、「えっ、それがそんな速さで出来るんですか!?」ってくらい、異常に速いんですよ。で、ライブ前にそれを常に弾いてるって言っていて、昔はやってたんだけど、ベースを始めて10年を越したくらいから、気付けばライブ前にやってなかったなって思って最近またやり出したら、今までは1曲目ってガチガチに固かったんですけど、それがなくなってスムーズに出来るようになって、ウォーミングアップってやっぱ大事だなって思い知らされた感じですね。
——ちょっと初心に戻った感じですか?
結良:戻れましたね。良かったです。
——では、タイゾさんは?
タイゾ:自分がKraに入ったのは2011年だったんですが、そこから考えても結構な月日が経ってるなって思いながらライブをしている瞬間も実はあったんですが、MCでも言ったんですけど、期間がどうこうって言うよりは、その時にメンバー4人でできる精一杯のことは表現してきたつもりだし、渋公のライブの曲目に関しても新旧バランスよく織り交ぜて、昔からの人も最近の人も楽しめるような内容にはなっていたと思うので、手応えはありましたね。ライブをやった後に手応えがあったなって思うことってなかなかないんですけど、あの日は、その後に送ってくれたファン・メールとかも影響して、ああ、良かったなって思いましたね。
——1部で景夕さんがラストの曲って言った時に、「えっ、もう!」って思ったんですけど、時計を見たら90分も経っていて、楽しいからあっという間に感じたんだなって思いました。
タイゾ:そうですね。やってるほうも結構あっという間に1部も終わって、2部も割とあっという間に終わったんで、いい意味で凄い楽しんでプレイできてたのかなって思いますね。
——では、靖乃さんお願いします。
靖乃:渋公がなくなっちゃう前に、今現在のKraできっちりワンマンをやるのが果たせて良かったなっていうのが率直な感想ですね。このスケジュールを切らしてもらった時に、やっとできるなっていうのと、このタイミングでちゃんとケリつけさせてもらえて良かったなっていうのが、自分の中には凄く強くあったんです。長く観てくれてる子は特に、同じような空気感かなとは思うんですけど。やっぱり、やっとかなあかんステップだったので。タイゾが加わってからの4年半くらいの間で築いてきたバンドの空気感の中で、特にここ2年くらいの、ライブを積極的にいろいろトライしてきた中の経験値を存分に盛り込めて、今の、2015年9月っていうタイミングでのKraっていうバンドのベストと言うか、持ってるポテンシャルは発揮できた日になったかなって思ってます。あとはいちメンバーとして、サプライズというかプレゼントをもらったなって感じだったのは、ステージとか照明とか、音響含めて造り上げてくれているスタッフの愛を改めて感じました。
——ステージ、凄かったですもんね!
靖乃:凄かったですね。俺は当日まで、PDFの画像でしか見てなくて。長年ずっとやってくれてるスタッフなので、ゲネの時にもそうだし、その人たちが気持ちで凄い注ぎ込んでくれたなって。いいステージをこいつらに踏ましてあげたいって思ってくれてる気持ちがもの凄い伝わってきたので。ステージセットもそうだし、後ろにかかってたバックドロップ1個をとってもそうだと思うし。お客さんの気持ちと、みんなの愛に支えられてるなっていうのを、もの凄く実感した1日だったなって思いました。
——いつもライブを観に行かせてもらって、お客さんからの「Kraが好き」っていうパワーを凄く感じますし、マネージャーさんやスタッフさんのバンドに対する愛も凄く感じました。やっぱり長く続けられることの中には、周りのそういう力も凄く大きいのかなって感じました。
靖乃:家族みたいな空気感がどっかしらであるんやと思うんですよね。ステージで演者としてやってます、それを観に来てます、っていうことだけではステージができひんような気がしていて。スタッフも、仕事だから来てますみたいなそういうことというよりも、みんながこれを好きで一緒に作ってるっていう感じがしてます。
——みんなが一緒に楽しんでる感じがしますよね。
靖乃:そんなに誰しもに与えられるもんでもないのかなって思うと、本当に有難いなって思います。