青天の霹靂とはまさにこのことだ。Co/SS/gZ(COPASS GRINDERZ/コーパス・グラインダーズ)、実に15年ぶりとなる復活。再結集は二度とないと思われていたオルタナ・ジャンク・ノイズ・ハードコアの雄がまさかの蘇生を果たしたのだから、これは大事件である。
改めて説明するまでもないが、ZERO(vo, g)、名越由貴夫(g)、ブラッドサースティ・ブッチャーズの吉村秀樹(g)、ビヨンズの大地大介(ds)という驚異かつ脅威の面子から成るコーパスは、ベースレス=トリプル・ギター+ドラムという特異な編成が投下する超重量リズムと凶暴なヘヴィ・リフで、国内のみならずUSインディー・シーンからも絶大な支持を得た怪物バンドだ。昨年6月にZEROが突如ツイッターでコーパス復活を宣言、5月に新代田フィーバーで行なわれる自主企画『TASTE presents LIVE AKTION 1 "WHO KILLED...?"』で完全復活を遂げる。それに合わせるように、ブッチャーズのトリビュート・アルバムへの参加、『Kr/A/sH!』と『rock'n'roll』のリマスター再発と、にわかにその周辺が慌ただしくなってきた新生コーパスの貴重な肉声を本誌は奪取。復活に至る経緯、"WHO KILLED...?"というタイトルに込めた思い、当時の知られざる逸話の数々に至るまで、15年分のブランクを埋めるべく大いに語り倒してもらった。(interview:椎名宗之)
何が追悼だ、このヤロー!
──今から4年前、本誌の『kocorono 完全盤』のインタビューで名越さんが活動休止だったコーパスについて言及したことがありましたよね。「しこりをずっと引きずってる感覚」であると。
名越:うん。「いつかやんなきゃな」ってずっと思ってた。
ZERO:俺もその気持ちはあった。あったけど、名越君の連絡先が分からなかったの。当時の俺は行方不明状態だったし、昔付き合いのあったバンドマンの連絡先はほとんど分からなかったから。で、その頃名越君と関わりのあったミュージシャンのホームページを見つけて、そこにメールしたわけ。「名越君の連絡先を教えろ! 教えないと承知しねぇぞ、このヤロー!」って脅すような感じでね(笑)。そしたらすぐに返事が来て、名越君に電話できたんだよ。「コーパス、そろそろやんなきゃね」って。
大地:いつ頃?
ZERO:『kocorono 完全盤』が出た頃だっけ?
名越:いや、もっと前だね。
ZERO:いずれにせよ、ここ数年は名越君と年に1、2回は連絡してた。ただ、俺のなかでは「大地がいねぇよな」っていうのが引っかかってたの。せっかくまたコーパスをやるなら大地と一緒にやりたいと思ってたから。
──再始動に踏み切ったのは、やはり吉村さんの逝去を受けてですか。
ZERO:それは俺、ツイッターで知ったのね。普通の生活してるとブッチャーズの情報なんてほぼ入ってこないから、ようちゃんの痩せて変わり果てた風貌にまずびっくりしたんだよ(笑)。で、みんなこぞって追悼、追悼、追悼、追悼…なんてつぶやいてるのを見て、だんだん腹が立ってきてね。何が追悼だ、このヤロー! って思った。あと、「名越由貴夫と吉村秀樹を中心に結成されたコーパス・グラインダーズ」とか書いてあるサイトを見つけて、それでまた腹が立ってさ(笑)。これはまたコーパスを始めて、何も分かっちゃいないヤツらをぶっ倒すしかねぇなと思ったわけ。それで名越君に「会える?」ってすぐ連絡して、会いに行って「とにかくコーパスをやろう」ってことになった。それが去年の6月かな。
──大地さんとの再会はどのタイミングで?
ZERO:名越君がようちゃんのお別れ会(『吉村秀樹会』)で大地と会ったんだよね。
大地:それが十数年ぶりの再会で。
名越:一度、東北新幹線でばったり会ったけどね(笑)。
大地:ああ、あったね。7、8年前に。ようちゃんのお別れ会で名越君から「コーパスをまたやるんだけどさ」って聞いて、「エッ! マジで!? 俺もやりたい!」って言ったんですよ。「エッ、やる?」って逆に訊かれたから、「是非やりたい!」と答えたんです。それで名越君に連絡先を伝えて。
ZERO:そんな話を名越君から聞いて、大地に早速連絡したんだけど、大地は最初、俺のことが分からなかったんだよね(笑)。
大地:そう、一瞬「誰!?」と思った(笑)。
──もう1人ギターを入れようとは思わなかったんですか。
ZERO:最初は考えた。入れるなら全然違う畑の人がいいなと思って、ヘヴィメタをやってるような女のギタリストが入ったらヴィジュアル的に格好いいなとか考えてたの。マイケル・ジャクソンのバックで弾いてたオリアンティみたいなさ。オリアンティをツイッターでフォローして、「やってくんない?」って訊いてみようと思ったんだけど、みんなから「それはやめたほうがいい」って止められたんだよね(笑)。
──結局、名越さんとZEROさんのツイン・ギターに落ち着いたと。
ZERO:葛藤があってね。俺は名越君のギターを際立たせるコーパスをやりたかったから。9月に初めて3人でスタジオに入ったんだけど、その時に大地が「名越君のギターを聴いて鳥肌が立ったよ!」って言っててね。それを聞いて、「ああ、大地を満足させられないから新しくベースを入れるのはダメだな」と思ってさ。
大地:ごめんなさいね(笑)。でも、名越君のギターがホントに凄かったんですよ。ゾクッときましたからね。
名越:久しぶりにスタジオに入ったけど、何となく覚えてるものだなと思ったね。
ZERO:ブランクは感じなかったな。先週もスタジオに入っていたみたいな感覚だったから。
名越:忘れてる部分はもちろんあるんだけど、久しぶりに自転車に乗ったら乗れた、みたいな感じはあったね。
──その時点でもうライブをやることは決まっていたんですか。
ZERO:うん、決まってた。5月にやるフィーバーでのライブは、去年の6月のうちに決めてたのかな。でも、ライブを5月にしといて良かったよね。これが去年の12月だったら、仕上がりが追いつかなくてかなりヤバかったと思う(笑)。
──今はどれくらいのペースでスタジオに?
名越:月に1、2回くらいかな。
大地:良くて2回(笑)。
ZERO:しかも、今月はまだ入ってないからね(笑)。