愛を持って接すれば愛が返ってくる
──インストア・イヴェントも続々と決定していますね。
柴田:いろいろとやらせて頂きます。他にも12月にバニラビーンズさんとSAWAさんと一緒にライヴをやらせて頂くんですけど、一人なので心細さは正直ありますね。まだそれほど一人で場数を踏んでいないのもあるんでしょうけど。だからまぁしぃ(大谷雅恵)は凄いなと思って。対バン形式のライヴにも結構出ているし、凄く度胸が据わっていますよね。
──でも、ソロとして初舞台となった去年の『YOU & I』発売記念イヴェントでの柴田さんも堂々としていたじゃないですか。
柴田:いや、あの場はホームでしたから。今は他のアーティストさんのファンの方の前でどこまでアピールできるかなと思っていますね。何で私がステージに立つとドSになるかと言えば、緊張の裏返しなんですよ。堂々としているように見せる裏では足がガクガク震えていたりするし、楽屋に帰ると心臓がバクバクだったりするし、それを隠すためのドSキャラなんです。
──まぁ、適度な緊張は保ったほうがいいのかもしれませんけどね。
柴田:でも、あまり緊張しすぎるのも逆にダメかな…思って。私の歌を聴きたい人たちが見に来て下さるわけだから、その人たちのために楽しく唄えばいいんですよね。だけど、どうしても緊張してしまう。
──そういう自分自身の弱い部分を歌詞のテーマにするのもいいんじゃないですか。
柴田:なるほど。じゃあ、今後はそういう楽曲にもチャレンジしてみようと思います。歌詞はなるべく自分で書きたいし、必ず自分自身のステップアップにつながるはずなので頑張りたいですね。
──ソロ・シンガーとして第一歩を踏み締める楽曲の中でも「私は明日も愛をうたうよ」と唄われているし、“愛をうたう”ことが柴田あゆみのテーマなんでしょうね。
柴田:譲れないテーマかもしれないですね。10年間メロン記念日として活動させてもらって、解散を機にそれまでお世話になっていた事務所を辞めたことが自分としてはとても大きな決断だったんですよ。その事務所の方々とは今も交流があるし、それは仕事に関係なく人と人のつながりだし、愛を持って接してくれるからこちらも愛を持って接するし、こちらが愛を持って接すれば向こうも同じように愛を返してくれる。ソロとして活動するようになって、そういった愛や絆の大切さを改めて感じるようになったんです。家族や友達、今のスタッフさんたちの支えもそうだし、みんなの存在がなければ今私はここにいないと思っているんですよ。NACK5さんの番組もそういう人と人の絆がきっかけでやらせて頂くことになったし、こうしてルーフトップさんの誌面を飾らせて頂くことも人と人の絆ですし、私はいろんな人たちに活かされているんだと思います。
──以前から“周りに活かされて良さが出るタイプ”だと仰っていましたよね。
柴田:そういうタイプの人間なんですよね。本当は私を活かして下さる一人一人に感謝の言葉を贈りたいところなんですけど、せっかく歌詞が書けるのならその気持ちを昇華させて、一篇の歌として聴いて頂こうと思って。
いつまでもナチュラルでいたい
──柴田さんに限らず、メロン記念日のメンバーは皆どんな立場の人間に対しても分け隔てなく誠意を持って接してくれたし、そうやって育んできた絆はソロとして再出発する今こそ活かされると思うんですよね。柴田さんの新たな門出のために一肌脱ぐ関係者やメディアは殊の外多いじゃないですか。
柴田:それは感じますね。本当に有り難いことです。自分ではもう忘れられているんじゃないか? とか思ったりもするんですけど、BiSの皆さんやバニラビーンズさん、AKB48の柏木由紀ちゃんといった人たちがメロンを好きだったと言って下さって、凄く嬉しいんですよ。ソロ・デビューが決まってニュースとして掲載して下さるメディアも多くて、解散してから「実はメロン記念日が好きでした」と言われることが多いですね。
──柴田さんはメロン記念日を対象化できているし、今はただ前を向いて突き進んでいくのみですね。
柴田:そうですね。ただ、過去を振り返りたい時は振り返るし、忘れることはないです。
──4月には解散以降初めて4人が公の場に姿を見せて、『負けるものか!! 頑張れ東北!!!』と題された東日本大震災の募金活動もありましたね。あれも4人の絆の深さがあってこそ実現したものだと思いますが。
柴田:この間も4人で会ったばかりなんですよ。朝の9時にファミレスに集まって昼の2時くらいに解散したんですけど、私はラジオ明け、まぁしぃはバイト明けで徹夜だったんです(笑)。その時、『メロン記念日物語』みたいに誰か私たちに気づいてくれるかな? と思ったんですけど、まるで気づかれなくて(笑)。
──10年後に期待しましょう(笑)。漠然とした質問ですが、この先、どんなシンガーになっていきたいですか。
柴田:やっぱり、ナチュラルでいたいですね。歳を重ねても、偽りなくその時々の柴田あゆみを表現していきたいので。「エッ? こんな曲を柴田が唄ったの!?」と聴いた人が驚くような、メロン記念日でも唄ったことのないような曲にもチャレンジしたいですね。型にはまらず、いい意味で裏切りたいですし。それと、「次の楽曲はこれで行きます」と自分からしっかり発信できるようになりたいです。ここまで幅広い楽曲を唄わせて頂いた上で、次にどんなタイプの楽曲で行くのかが重要になってくると思うんですよ。最近ちょっと気になるのは、YUIさんみたいにアコギを抱えながら唄うスタイルなんですよね。
──弾き語りに興味があると?
柴田:全然弾けませんけどね(笑)。
──ピアノは弾けるじゃないですか。
柴田:ピアノだとドレッシーな雰囲気になるし、アコギはピアノよりラフなんですよ。弾きながら歩いて唄っても絵になりますしね。ああいうことを自分がやったら面白いだろうなとか思ったりもします。
──ジャケットの衣装ならウクレレも合いそうですけどね(笑)。
柴田:それじゃ「あ〜、やんなっちゃった」になっちゃいますよ(笑)。昔、メロンのライヴのソロ・コーナーで洋楽のカヴァーを唄うことがあったんです。まぁしぃがセリーヌ・ディオンの「マイ・ハート・ウィル・ゴー・オン」、ひとみん(斉藤 瞳)がマドンナの「ライク・ア・ヴァージン」、むらっち(村田めぐみ)がカーディガンズの「ラヴフール」をそれぞれ唄って、私はアヴリル・ラヴィーンの「コンプリケイテッド」をカヴァーしたんですよ。その時に当て振りでエレキ・ギターを抱えながらスタンドマイクで唄ったんですけど、凄く楽しかった記憶があるんですよね。
──そんな弾き語りのスタイルを視野に入れつつ、まずは12月のライヴに向けて生バンドをしっかり引っ張っていかないと。
柴田:まぁ、そうは言いつつも結局は引っ張って頂く部分も多々あると思うんですけどね(笑)。さっきも言ったように、私は周りの人たちから活かされて持ち味が出てくるので。とは言え、頑張ります。優しいパスは出せるんですけど(笑)、締めのゴールまでしっかりと自分で決められるようになりたいですね。