採算度外視の限定Tシャツ付き先行チケット
──逆境をも笑い飛ばす逞しさがBALZACにはあるんですね。
HIROSUKE:その場では悲壮感でいっぱいなんですけどね。でも、ヘンな楽器が届いてきたらもう笑うしかない(笑)。
ガラ:あと、その時はギターのATSUSHIさんがジーンズを穿いてましたよね(笑)。
HIROSUKE:何故か衣装もちょっとずつ欠けてたんですよ(笑)。機材の中に衣装を入れたままだったみたいで。ATSUSHIの手元にあったのはピック2枚だけで、AKIO(ベース)はピックすらなくて、ATSUSHIから1枚借りたんです。2人とも落としたらもう終わりっていう(笑)。TAKAYUKIはたまたま練習用のスティックを一組持っていて、それも落としたらオシマイという有り様で(笑)。しかも、届いたベースが酷くてね。パンクスはシド・ヴィシャスみたいに下のほうで弾きたがりますけど、そのベースはストラップが短くて上のほうで弾かなければならなくて、まるでドリカムのベースみたいになっちゃって(笑)。ドリカムかC-C-Bか!? みたいな(笑)。そんな感じでゲラゲラ笑いながら、何とかやれればいいやと思ってましたね。まぁ、結果的には悲惨でしたけどね(笑)。その日は日本から追い掛けて見に来てくれたファンの子がいたんですけど、「“バルザック”じゃなくて“パルサック”みたいな感じだった」って言ってましたから。「点々が取れて尖ってなかったです」って(笑)。
ガラ:逆に貴重なライヴを見れましたよね(笑)。仮に僕らが機材のない状況だったら、みんなただ暗くなってるだけだと思いますよ。
HIROSUKE:僕らもホテルではそんな感じだったよ。「どうすんの、今日!? ライヴやめる?」なんて言ってたし。
ガラ:そこまでのピンチを僕らは経験したことがないですね。海外に行っても日本と変わらない環境でライヴをやれているし、ただ場所が違うってだけで何一つ不自由がないですから。そういうBALZACの話を聞くと、自分たちが行った海外とはまるで違う印象ですし、ピンチに遭ったほうがバンドの経験値が上がっていいのかもしれないですね。
HIROSUKE:いや、何も好きこのんで苦労しなくてもいいでしょ(笑)。まぁ結局ね、楽しめればいいんですよ。海外へ行ってメンバー同士でケンカもするし、それが原因で解散しちゃったバンドもいるけど、僕らの場合は「もうしょうがないな、これはこれで試練だな」って思うんですよね。
ガラ:よく聞きますよね。海外へ長いツアーに出ると、メンバーがガッチリ仲良くなるか、もの凄く険悪になって解散するかしかないって。
HIROSUKE:まぁでも、どれだけ困難な状況でも、何かしらの楽しみを見いだせればいいんですよ。
──BALZACはこれまでMISFITSやCOCOBAT、雷矢などとスプリットを発表していますが、ここまで来たらMERRYとも是非一枚出して欲しいですね。
ガラ:ああ、それはいいですね!
HIROSUKE:いつかやりたいですよね。僕は一度MERRYの作品に参加させてもらったことがあるんですよ。
ガラ:ちょっと前に出した『コールing』(2006年12月発表)というシングルの中に入っている「陽の当たらない場所〜陽の当たらない闇〜BALZAC vs MERRY re-constructed version」ですね。それがまさにBALZACの“ウォウ、ウォウ”節を入れて作った曲で、BALZACにリアレンジして頂いたり、一緒に唄わせて頂いたんですよ。そんなコラボレーションもあったので、今回の2マンでも何か一緒にできればいいなと思っています。
──SHOCKERで限定Tシャツ付き先行チケットが販売されていますが(現在は完売、販売終了)、このシャツでもコラボレーションを果たしていますしね。
ガラ:デザインが凄く格好いいんですよ。プリントも大きくて目立ちますし。チケットの前売りにTシャツを付けることはやったことがなかったので新鮮でしたね。HIROSUKEさんに「たとえばTシャツを一緒に作れないですか?」と訊いてみたら、「前売りに付けてやってみようか」とすぐに応じてくれたんですよ。
──しかも、Tシャツが付いて4,500円って凄く安いですよね。採算度外視なんじゃないですか?
HIROSUKE:商売としてはダメですよね(笑)。でも、ファンの子たちがそのシャツを着てライヴへ来てくれたらいいかなと思って。ガラ君の「Tシャツを作りたいです!」っていう気持ちに応えたかったし、なおかつファンの子たちが楽しんでくれたら充分だと思ったので、Tシャツ代だけ乗せることにしたんです。
ガラ:以前BALZACとコラボしたシャツを着てライヴに来るお客さんが今もかなりいるし、ファンも喜んでもらえると思ったんですよね。
──それにしても、せっかくの共演が1日で終わるのは何とも惜しいですよね。
ガラ:そうなんですよ。前回みたいにツアーをやれたら最高なんですけどね。
HIROSUKE:今度の2マンをやったら、「また次にどこかでやろう!」という気持ちに絶対なると思うんです。そうやって次に繋がっていけばいいんじゃないかなと。
──MERRYにとっては結成10周年のメモリアル・イヤーの総決算としても相応しい2マンになりそうですね。
ガラ:そうですね。今年の7月に『Beautiful Freaks』を出した時もHIROSUKEさんから温かいコメントを頂きましたし、いい流れですよね。10周年を迎えて、今まで以上にフットワークの軽いスタンスでいろんなバンドからいろんな刺激をもらえたらいいなと思っています。これから数年先にバンドがどう進化しているのか、自分たちでも楽しみなんですよ。
──BALZACは、結成20周年を迎える来年は活発な動きになりそうですか。
HIROSUKE:まだ何も考えてないですね。20周年で何か特別なことができたらいいかな? という程度で。それもまた、なるようにしかならないのかなと思ってます(笑)。