No Regret Lifeのフルアルバム『Discovery』が9月21日にリリースされた。自主レーベル"spiral-motion"を立ち上げると同時にミニアルバム『Magical Destiny e.p.』をリリースし、常にライブを行い、全国を駆け回っていた彼らが、いよいよ新しい作品を世に放った。『Discovery』とは、直訳すると"発見"。バンドは結成から10年、レコードメーカー・事務所から独立して1年。自分たちだけでバンドを動かし、メンバー内でも新たな発見を日々感じながら辿り着いたこの作品からは、より強く音楽に向き合い、リスナーと向き合い、No Regret Lifeという3人が決意と希望を胸に、足並みを揃えて歩いている姿が想像出来る。
様々な思いを込めて制作された『Discovery』を引っさげて、彼らは約4ヶ月にも渡るツアーを敢行する。そして、10年の活動歴にしてツアーファイナルは初の渋谷クアトロワンマンを決行。ただただ愚直に前だけを向いて歩いてきた彼らが、ツアーでより強くなってクアトロのステージに立った時に、次の進路をどう見据えるのだろうか。(interview:やまだともこ)
音に人間味が滲み出るようになった
──ようやくフルアルバム『Discovery』がリリースされますが、自主レーベルを立ち上げて初のアルバムは手応えとしてはいかがですか?
橋口竜太(Dr&Cho):自主レーベルからのフルアルバムは初になりますが、その前にミニアルバム『Magical Destiny e.p.』を作れたのも大きかったし、あのリリースツアーを回れたのも大きかった。今までのツアーとはライブのクオリティーも全然違ったし、意識が変わったんだろうなと思います。
── 自分たちでも実感出来るぐらいの?
橋口:それぞれがしっかりと役割分担出来た。ここを押さえれば良いライブが出来るっていうのが明確になったかな。だからどういうライブでもどういうイベントでも、“俺らのスタイルはこれなんだ”って自信を持っていける。前も一生懸命やってましたけど、今は自分たちが動かしているというところで、もう後ろ盾がないわけで、一本一本の積み重ねで良いものを作ろうという意識がしっかりしたかな。
松村元太(Ba&Cho):バンドを客観的に見るという作業を一度することができたのかなという感じもします。自分たちがどういう見られ方をしたいか、どういう曲をやりたいか、どういうバンドになりたいか、ボヤーンとしていたものを3人で揉む時間があって、そこを和奏がうまいこと曲にしてまとめ上げたのが前回の『Magical Destiny e.p.』。それを経て今回さらに濃縮された感じがする。今32歳なんだけど、3年前に『Wheels Of Fortune』を出した頃はあんまりわかってなくて、自分はこうなりたい、こういうことしたいという気持ちが強かったけれど、もっと俯瞰で物事を見れるようになったんです。だから、さらに自分たちがやってる曲に自信が持てるようになった感じはしています。
橋口:変わったよね、アプローチが。前は音数を増やしたりとか、目立とうとすることで安心していたプレイが、シンプルになったし、それでも自分を出せるんだという、飛び込んでいいんだと思えるようになった。
松村:俺が頑張らなきゃは大事だけど、3人いて初めて成立する。音楽を共有する感覚が自分1人じゃなくて、ここにはギターが来て、ここにはドラムが来て、最終的に歌があって。
橋口:そこに飛び込むのをびびっていた気がする。“飛び込んじゃえ!”って『Magical Destiny e.p.』のレコーディングでウワーってやったけど、飛び込んでみたら、これで良いんだって。今まで『Can't Explain』のシングル作って、『Wheels Of Fortune』のアルバムまで作ってきたところは無駄じゃなかったなと。
── 今までを経てここに来れた、と。
橋口:自信にもなったし、だからすごく楽しいんですよ。
── 外から見ていても、今おっしゃったように3人がちゃんとバンドとして転がろうとしている感じが、前よりももっと応援したくなるんです。
橋口:生きてる感じがあるんでしょうね。
── 人肌感もあるし。曲にそれぞれの人間が滲み出てるというか、それがわかりやすくなった感じがします。
小田和奏(Vo&Gu):今までもそうだったんだけど、露出の仕方として見えづらくしていたのかなとは思います。今は自分らでやってますというのが見えてるというか、だからこそ頑張ってもらわんとなとまわりが思ってくれているのかもしれないし。アーティストパワーというか、マンパワーが音楽に滲み出るようになっていたら嬉しいなというのはありますね。
── ライブの動員も増えているような気がしますし。
橋口:あと、最近対バンのお客さんがライブを見てCDを買ってくれるようになったのも嬉しいです。来てくれる人も増えたし、その場でCD買ってくれる人が増えたんですよ。見に来てる人は、チケット代だけじゃなくて交通費もかけて見に来てくれるわけで、しっかりしたものを見せないとという意識も上がったから、伝わってるのかなって思います。当たり前のことなんだろうけど。それがやっと出来るようになった。
松村:まだちっちゃいコミュニティなんだけど、何かをきっかけに炸裂するんじゃないかという感じはやってて思う。リリースを目前にしてライブに普段見ない顔の人が来てくれたりとか、エネルギーが高まってる感じが、それをパンって弾けるようにするのは3人なんだろうから。
橋口:そうなった時にちゃんと掴めるという気持ちは前より強くなったよね。