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INTERVIEW

トップインタビュー【復刻インタビュー】BUNGEE JUMP FESTIVAL(2002年11月号)- 自主レーベルを立ち上げた以上は好きなようにやらないとね

自主レーベルを立ち上げた以上は好きなようにやらないとね

2002.11.01

歌うことによって、初めて笑える人間だと俺は思っているから

──今回のアルバム『WASTELAND』なんですが、どんな意味なんですか?

町田:荒地ですね。

──どうやってこのタイトルに決まったんですか?

町田:1年ぐらい前から構想があったんです。今回は『WASTELAND』の前に3枚シングルを出しているんですが、それらの曲に一連してある、イメージっていうのが『荒地』だったんですよ。それで、次のアルバムタイトル『荒地』ってのがいいんじゃないかなと思ってたんです。で、その後に『荒地のマーチ』っていう曲を書いて荒地っていう言葉を使ってるから、タイトルは『WASTELAND』にしよう! って。ただ、人それぞれ荒地って聞いてイメージするものが違うと思うんですよ。どういう荒地をイメージするかによって歌の内容もすごく違ってくるんじゃないかなって思います。僕の中にあるイメージって最初は人類が滅びたあとの地球のような荒地だったんですけど、アルバムを作る前ぐらいから心境が変わってきて、荒地の先には山があって川があって谷があって街があってっていうイメージに変わって、同じ歌を歌っても同じ収録曲でも自分の中でイメージが変わりましたね、途中から。こういう願いを込めて改めて付けなおしたのが『WASTELAND』ですね。

──その『荒地のマーチ』ですが、今回は珍しく1曲目からピアノを使っていてすごく新鮮な感じがしました。

町田:そうですね。今までのアルバムは全部ギターで始まってるから新鮮に聞こえるかもしれないですね。今回ピアノに上田サンを迎えて、曲を聞いてもらったんですが、「ええ曲やなぁ」って白熱して演奏してくれました。その時にアレンジも全部やってくれたんですけど、上田サンのピアノがこの曲をすごくよくしてくれてます。いつかライブに出てもらって、あれを再現してほしいなと思いますね。

──あと、とても気になっていた曲がM-5の『スカートめくり』なんですけど、どういう意図で作られたんですか。

町田:パッて浮かんだんですよ。小学生の時、ある女の子で絶対スカートめくりの対象になる子がいたんですよ。そういうことを思い出してて、「ほんとに無邪気だったな、あの時」って思ったんですよ。僕は過去を振り返りながら今の自分にダメ出しをするクセがあって、寝る前に「あの子のことを全然考えてなかったよな、内心はすごく嫌だったのかもしれないな」って。でも興味をもったらペロってめくっちゃうような行動力とか無邪気な心っていうのはすごくいいなと思ったんですよ。

──それでスカートめくり?

町田:ふとノートにスカートめくりって書いたんですよ。それでずっとその文字を眺めていて、詩を書いてみるか! って。最初は詩だけだったんですけど、のちのち曲にしようと思って。小学生の俺と中学生の俺と今の俺っていうのをすごく照らし合わせて、今の気持ちでスカートめくりっていうテーマで書いてみようと思ったんです。内容は聞いてもらえばわかるんですが・・・。

──ところで、前回のアルバムから全体的なイメージがかなり変わったと思ったんですが。

町田:2nd.アルバムとミニアルバムは石田(小吉)さんが関わっていたのはかなりデカかったですからね。今回はセルフプロデュースだし、そのへんのことも音の手ざわりってのもだいぶ違うと思います。

──私は前作もすごく好きだったんですが、今回はまたそれを上回る出来だと思いましたよ。

町田:『more vegetable! (2nd.アルバム)』を作り終わったときにすごく手応えがあったんです。ひとつドアを開けたというか、もっといいもの作れると思ったんですよ。『more vegetable! 』が俺の裸同然のアルバムなんですよ。だから醜態さらしているところもあるし、ホントにトラウマみたいなことも歌ってるし。裸をさらすことはすごく怖かったんで、ずっと一歩引いてっていうタイプだったんです。でも、もっと俺は深いことを唄えるんじゃないかと思って曲を書き始めたんですよ。それで『不良少年マーリー』っていう曲ができて、『イノチガケ』ができて『ノーフューチャー・ノーホープ』ができて『七月七日』ができて、すごく今回のアルバムは思った通 りのものができるなっていう確信はありました。

──詩の感じもガラリと変わりましたしね。

町田:そうですね。やっぱり『From here,so far...(1st.アルバム)』はそれなりの良さがあって、まだ歌を書き慣れてないとか、自分を表現しきれてないけど伝えたいことがあるっていうエネルギー感みたいなものがあってすごく僕は好きだった。『CAPTAIN PAPA(ミニアルバム)』の時は、ある意味自分を客観的に見て自分が書くべきモノを書いた。だから僕はあれはあれでいいなと思うんですけど、そこに自分ってものがあんまり入り込んでなかったとすごく思ったんです。もっと自分がこうしたい! こうありたいっていうような歌を歌いたいなって。今回詩に関してはそれを進化させたっていう感じはしますね。

──でも詩の内容が、もがいている感じがすごくするんですよね。

町田:ずっともがいているんですよ。10代からずっともがいているんです、結局は。もがいている自分を否定したかった。そういうエネルギーがスタジオにあって、それゆえに混乱の極地にあったと思うんですよ。自分の中で出したいけど出し切れない、でも出したくてっていう混乱の中でやってたので、それが吹っ切れた。別 に迷いを迷いとして出すことを恐れなくなったんです。いいことなのか悪いことなのかはわかんないけど、僕としてはそれで可能性が広がったというか・・・。よかったですね。さまよってるとかそういうものも全部生きている間に吐き出しとけ! ってことなんですよ。

──歌で吐き出すことによって、自分がラクになったりとかはするんですか?

町田:気持ちは軽くなりますね。それで次のステップにも行けるし。いつも自分を押さえて押さえてっていう曲を作っていると次に何かに出会いたいって思わなくなっちゃうから・・・。ずっと同じところに滞っているような気持ちになっちゃって、袋小路にはまっていっちゃうんじゃないかなって。自分の中の進化ができないんですよ。今、迷っていること、悩んでいることを全部と思えるまでぶつけたいなと思うんですよ。今回全力でぶつかりましたね。

──そしたら、さっき言ったような荒地の後の街が出てきたってところなんですかね。

町田:そうそう。そういうこと。いつも楽しく明るく生きていたら別に歌う必要なんかないや! って思いますよ。歌うことによって、初めて笑える人間だと俺は思っているから。

──詩はどういう時に作ってます?

町田:だいたい、夜ですね。いきなりパーっと書けるときもあれば、書かなくちゃな~って思って書いていくうちにダメだダメだって。そこで「お! これはいいかも! 」って思えるときもありますし。

──堀越君は?

堀越:曲を作ろうと思って書くこともあるし、生活の中で感じることがあって、これは届けておきたいなっていうのは書いておいて。あとで曲を作ろうと思ったときにそれを引っぱり出しているってかんじです。

──純平君から見て二人の曲とか詩とかってどう思ってます?

田辺:つかみ所がない・・・。え~~~~~~っと、大変ですよ、俺も。

──じゃあ2人の曲をどうやって解釈していってるんですか?

田辺:解釈してないんじゃないかな。音があるから叩くみたいな。だいたい歌詞がわからないまま現場に入るから知らないって、世界観は知らないまま・・。別 にね世界観を知らないままやっても大丈夫なんです。弾いてる時点でそれなりの雰囲気は出してるから、それがリンクしない曲は没になっていく。それがかみ合った曲はレコーディングされて作品になって残るってかんじ。

町田:曲のイメージは伝えているんですけどね。歌詞とか意外とレコーディングする直前まで決まってなかったりするときもあるんで、曲のイメージだけうまく伝わって、気持ちがリンクしあえば曲ができるって感じですね。そうそう、今回ブックレットの絵を僕が描いてるんですよ。

──何でもできますね。

堀越:そんなことないですよ。

町田:おまえが言うなよ(笑)。まあ数少ないことでもできることからコツコツと。「この道を行けばどうなるものか 危ぶむなかれ。危ぶめば道はなし、踏み出せば その一足が道となる。迷わず行けよ 行けばわかるさ」。ホントそういう感じでやれることからやっていこうかなと。せっかく自分達のレーベルだし。そういうことから、始まるんじゃないかなぁ。自分のできることから自分ができるんじゃないかなって思ったことがあったあったら始めて、それからいろんな可能性が広がって行けばいいなと思いますね。

──今回のジャケも凝ってますしね。

町田:なんかね、ジャケほめられると嬉しいんですよ。曲もそうなんだけど・・・。ジャケはなにげにいろいろと考えてる。とにかくアルバムは・・・聴け!!!!!!!!!

堀越:まあ、すごい大傑作ができたのでぜひとも聞いて欲しいですね。バリエーションも豊かなので1曲1曲いろんな気持ちになると思いますんで1曲1曲聞いてみて下さい。

田辺:よくできました。

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