前号に続いて今号もエンタメじゃない。とても悲劇的な震災があった。震災に遭われた人たちに追悼と励ましの気持ちを伝えたい。それ自体は環境問題ではなかった。しかしそれをさらに増幅させたのが福島第一原発群からの放射能放出だった。天災が引き起こした人災、いや電力会社の傲慢さが引き起こした環境破壊だ。今や原発を推進する側は「原発がイヤだったら代わりは停電だ」と脅している。こんなどっかの独裁者の言いそうなセリフを、原子力安全・保安院の西山英彦が述べるのだ。安全保安院なのだから、保安しそうなものだが逆の脅しをする。保安官になぞらえると、「オレが法律だ、さもなくば無法者に殺されろ」と言うようなものだ。
友人が言った。「今回の事故でイヤなことに気付いた。自分は自由に生きているつもりだったが、実はその命は電力会社の賭けに使われていたのだ」と。こんな不自由な社会が生きるに値する場なのかどうか悩むのだ。
ではどこに電力会社の権力があるのだろうか。よくメディアがまともな報道をしないと言われる。原発推進の国に遠慮し、大スポンサーである電力会社に遠慮して。「都市伝説」なんじゃないかと思って調べてみた。東京電力は、近年急激に広告宣伝費の支出を減らしてきた。そこで上位20社から名前を消す前の2007年のデータで見てみよう。第18位(2006年は16位)で約286億円出していた。それ自体はトップではない。しかし電力会社は沖縄電力を含めて全国に10社ある。だから10倍なんて乱暴な計算はしない。東電は全国の電力供給の3分の1を占めるのだから全社で3倍と計算してみよう。ここまでで858億円になる。それ以外に電力会社の集まりである「電気事業連合会」があり、さらに政府広報も参加する。最低でも1000億円を下ることはないだろう。すると第1位のトヨタと並ぶか超えるかの数字になる。そう、やっぱり最大の広告主なのか、そのおかげで私たち被抑圧民は本当のことが知らされないのだ。環境問題の敵はカネなんだなと納得する。こんな仕組みは壊さなくちゃダメだろう!