ある友人から、「まじめにコメ作りしている会津の農家が困っている」と相談された。農家は「すとう農産」といい、農薬を使わず、合鴨農法できっちり安全なおコメを作ってきた。ところがそこに福島第一原発事故が襲った。早速収穫したおコメを調べたのだが、幸い会津地域のその合鴨米は全く汚染されていなかった。気になるのでさらに精度の高い機器で調べた。それでも不検出だった。しかし消費者からは「同じ福島県産」ということで契約をキャンセルされ、窮地に追い込まれてしまったのだ。味は抜群、しかも無農薬、汚染されていないのに売れない。その相談を受けて、早速現地に向かった。
合鴨が水田に入るのは、わずかひと月半ほどだ。合鴨はせっせと虫や水生昆虫、余分な雑草を食べて育つ。そのコメ自体もお湯で殺菌するだけで、薬品は使わない。しかも水田に撒かれている栄養分は、精米したときに出る「ぬか」を微生物発酵させたものだ。
須藤さんは言う。「農業は自然の生物の輪の中に、ちょっとだけ入れてもらって分け前をいただくのだ」と。ぼくもそう思う。先週、山の手入れの手伝いに、宮城県に出かけてきた。そこでは下草を牛が食べ、光が射した土地にすくすくと苗が育つ。生物の輪の中に入れてもらう育林だ。森の間伐などの手助けに、少しだけ人が手伝う。
この間伐材や端材からストーブ用のペレット燃料を作った。しかしペレットは重くて場所を取る。そこで、「1300円で買ってもらったハガキに住所を書いて送ると、宅急便で玄関内に送られてくる」仕組みを作った。「ハガキの交換券」だ。これが人気が出て、販売のお手伝いを担うことができた。同じ仕組みを須藤さんの合鴨米にも入れてみた。2kg、5kg、10kgで、それぞれ3千円、5千円、9千円のハガキだ。コメは精米すると味が落ち始める。須藤さん曰く「1ヵ月以内に食べてほしい」と。それならハガキが届いてから精米して、すぐ届けられれば美味しく食べられる。その仕組みで応援を始めた。非営利の天然住宅バンクでやっているので、可能なら協力してほしい。
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