かつて東京都のごみ問題を解決するのに、「ライフスタイルで」と言われたが成功しなかった。だが事業系のゴミ袋を有料にしてからぴたっとゴミが減った。なぜなら増加していたのは「毎週水曜日は燃えないゴミの日」に、タダで出していた事業系のゴミだったからだ。町中に散乱するペットボトルや空き缶をなくすにはどうしたらいい? 市役所に拾わせたんでは税金がいくらあっても足りない。店に戻したら10円もらえるようなデポジットを入れたら、その日から消えるだろう。だって10円で売れるならみんな拾うからだ。10円余分に払って10円返してもらう。違うのはその後の処理を税金でするのか、メーカー自身が払うのかだけだ。計算してみると、ビールのようなリターナブルびんのほうが安くなる。だから缶やペットボトルは一部にしか使われなくなるのだ。もちろん必要なら自分で詰め替えて使えばいい。そうすればゴミが減り、資源量が減り、税金も安上がりになる。だから今の缶は実質的に、ゴミ処理費を税金から補助してもらってるんだ。こんなものはぼくらも腕まくりしてシャツのエリを立てて、事業仕分けしてしまおう。
批判や掛け声じゃ変わらない。社会の中に仕組みを入れてしまえばいいのだ。批判は創造的に見えて実は効果ない。もう一歩踏み込んで、解決する仕組みを提案しよう。たとえばドイツの仕組みが面白い。ドイツは“いいことすると得する仕組み”を作っているのだ。ゴミを減らせば得する、自然エネルギーを入れれば得する、省エネすれば得するのだ。逆に言うと得するように暮らしていると、勝手に環境が良くなったり税金がいいことに使えたりするのだ。そっちのほうが良くないか?
これを英語で言うと“システム思考”になる。これを日本でせっせと広げているのが枝廣淳子さんだ。彼女と国立環境研究所の江守征太さん、ぼくらのことを『絶望に効く薬』というマンガで取り上げてくれた山田玲二さんとともに、年末大晦日にNaked LOFTで“絶望に効くトークライブ”する。すごくいい音楽ライブと一緒に年越ししないか。