国際的反戦歌手として来日したバーバラ・デインさんの話に続き、こちらも国際的女優として知られるジェーン・フォンダさんの話。彼女の来日に付き合い、岩国基地をはじめ各地への活躍にご一緒させてもらうことになった。
ジェーン・フォンダと言えば、言うまでもなくこれまた『怒りの葡萄』『荒野の決闘』などで知られる有名な米国俳優、ヘンリー・フォンダを父に持つ女優であり、自分も大好きな『世にも奇妙な物語』や結婚したロジェ・ヴァディムの監督した、自分も楽曲のタイトルに使っている『獲物の分け前』で知られているが、世間的に一番有名なのは『バーバレラ』だろう。悪党デュラン・デュランと対決したり、手を合わせるだけでオルガスムスに達するセックスだったり、オルガスマトロンという性的拷問装置だったり、『バーバレラ』はかなり話題になったものだった。
しかし本人の魅力もそれは強力なものもあったが、自分にとっては大好きなピーター・フォンダのお姉さんだということだけでその存在感は揺るぎないものがあり、彼女を見る自分の目つきはかなり怪しいものがあったのではないかと今でも気恥ずかしい思いがよぎる。
そんな彼女の来日だったのだが、同行してきた若い俳優がおり、名前はドナルド・サザーランド。今ではもうハリウッドの重鎮として大活躍する大俳優となっているあのドナルド・サザーランドなのだ。当時、朝鮮戦争を茶化した『M★A★S★H マッシュ』という映画が話題になっており、その『M★A★S★H マッシュ』での大活躍で知られたドナルド・サザーランドなのだった。
そんな彼女とドナルド・サザーランドも加えたスタッフらと基地を回るバス・ツアー。紫の煙のなかを走るマジカル・ミステリー・ツアーのようなバス・ツアー。運転手も夢の中を走っているように右に左にハンドルを躍らせる。そんな夢のような反戦ツアーだったので、どこで何をしたのか、どんな話をしたのか、今となってはまったく記憶にないのが残念だが、ある意味、忘れてしまって幸運だったとも言える。
人生であり得ない出来事はあるものだというマジカル・ミステリー・ツアーは、これ以上ないエクスタシーを与えてくれた『バーバレラ』の夢の中の出来事だったのかもしれない。
ありがとう、ルネ・・♪♪♪・・♬