どうして、こんなアルバム名なのだろう? いったいどんな人が歌っているのか? 歌詞は外国語であるけれど、どんなことを歌っているの? いつごろ録音されたのか? …などなど以前は、いろいろな疑問を持ったまま音楽を聴いていました。インターネットのなかった時代、簡単に調べる手立てがなかったのです。ですから知りたいときは、そのジャンルに精通した音楽好きの知り合いに尋ねてみるとか、古本屋さんで雑誌をむさぼって、記事を探すなどしなければなりませんでした。それでも、わからない場合もあり、そのようなときも、わからないまま、もうどうでもいいやと楽しんでいたものです。真実、詳細はわからないのだけれど、勝手に想像を膨らませていました。要は、勘違いで楽しんでしまおう、勘違いでも構わねぇ、といった気持ちがありました。
歌詞に関しての勘違いでは、以前も書いたかもしれませんが、トム・ウェイツの「Had Me A Girl」という曲があって、歌詞に「And my doctor says I'll be alright」つまり「医者は大丈夫だと言ってる」というのがありました。わたしは、これがよく聴き取れず。「dog says I'll be alright」つまり「Doctor」が「Dog」で、「犬が大丈夫だと言ってるよ」だと思いこんでいました。
そこで、さすがトム・ウェイツ! 詩人だ! などと感心していました。なんてったって、犬に励まされているんだから最高です、などと思っていたら、だいぶ経ってから、わたしのヒアリング違いと知るのです。自分の勘違いを棚に上げ、「医者に言われてりゃなんの面白味もないじゃないか」などと、残念に思ったりしていました。
他にも、あまり詳しいことがわからないままでしたが、大好きで、よく聴いていたアルバムがあります。それが、Rare Side Of Rock Steady With Phil Pratt & Friendsの『Safe Travel』というものです。どうしてアルバム名が、“セーフ・トラベル”なのか? いまだにわかりませんし、この中に入っている、「I Used To Be A Fool」という曲が素晴らしいのです。
「I Used To Be A Fool」=「わたしはバカだった」=「わたしは愚か者でした」といった意味だと思うのですが、歌詞の内容は詳しくわかりません。
ジャケットも、ダンボールみたいな色の紙に赤い列車の走っている絵が描かれていて、これまた雰囲気がよろしい。
いまだにきちんと調べてないのでわからないけれど、ロックステディの名曲を集めたこのアルバム、そろそろ夏を迎える季節に最高なので、ぜひとも聴いてみてください。なにはともあれ、なんだかよくわからないまま、素敵な曲を聴けるのって最高ですが、これを書いていたら、やはり知りたいと思い検索野郎になってみたものの、『Safe Travel』の日本語情報のサイトが、あまりないので、結局よくわからないままでした。