むかし、ものすごく聴いていた音楽、たぶん、3カ月くらいは、毎日必ず聴いていた。その後も、ちょくちょく聴いていて、たぶん、1年間くらいは、聴き続けていた。けれども、その後、だんだん、忘れてしまっていき、まったく聴かなくなってしまった。人間関係に例えると、急激に仲良くなったけれど、いつの間にやら、会わなくなってしまった友達といった感じの音楽ってありませんか? もちろん恋人でもないから、別れたというわけでもないので、キッパリ会うのをやめようと考えたわけでもない、いつでも会えるけれど、会わなくなってしまった(まだ人間関係の例えは続いています)。でも、そのような友達と、何年かぶりに、偶然会ったりすると、恥ずかしいような、嬉しいような、不思議な感覚になります。そんな、音楽がわたしにもあります。
でもって、この前、上に記したような感覚に陥ったのが、Ellen McIlwaineの『Up From The Skies: The Polydor Years』というアルバムでした。
このアルバムは、やたらと聴いていた時期がありました。最初聴いたときは、「ああ、これ、全部好きな曲じゃないか、なんだか、全てが己にヒットする。もう、世の中の音楽、自分が聴くのは、このアルバムだけでいいのではないか!」などとえらく感動したものです。しかし、聴かなくなって何年も経ち、先日、偶然聴いた、わけですが、やはり、とても素晴らしく、なんだか、恥ずかしいような、そんな気分になりました。
Ellen McIlwaine、日本語で書くと、エレン・マキルウェインと、早口言葉みたいな名前ですが、改めて聴いてみたら、彼女のギター演奏、歌声、なにもかもが素晴らしく、やはり、わたしのツボにビシビシ刺さってくるのでした。
このようなわたしにとってドツボの音楽を、どうして聴かなくなったのだろうか、真剣に考えてみたのですが、途中で、まったく聴かなくなったのは、実は、聴きすぎて、飽きてしまったからなのだという考えに行きつきました。つまり、人間関係でいえば、「飽きたから」という理由、己の身勝手で関係を断ち切った最悪の人間でした。
しかし、改めて聴くと、やはり、とんでもなく素晴らしく、わたしは、「飽きたから」なんて思い、申し訳ない気持ちになりながら、聴いています。もちろん、まったく聴かなくなった音楽で、久しぶりに聴いてみたら、「なんで、こんなの好きだったんだ?」というものもあります。でも、『Up From The Skies: The Polydor Years』は、とんでもなくお薦めできるので、ぜひ聴いて欲しいのです。